アルバイト店員が勤務先で迷惑行為を働き、その様子を撮影して発信するバイトテロ。
バイトテロに関するニュースはさまざまなメディアで取り上げられています。バイトテロが一度発生すれば会社のブランドイメージが傷つき、顧客が離反することにより業績も悪化してしまいます。
「バイトテロが起きませんように」と日々悩む経営者も少なくないでしょう。本記事では、バイトテロが起きる原因とその対処法について解説します。
目次
バイトテロの発生原因
そもそも、なぜバイトテロが発生してしまうのでしょうか。それは、大抵の場合組織環境に原因があります。
バイトテロを起こす人には悪気がありません。悪気がないからこそ平気で悪事を働いてしまうわけであり、たとえその人をとがめたとしてもバイトテロはまた発生してしまうでしょう。
そのため、彼らが悪いと責め立てるのではなく、そういう環境にしてしまっていた側に問題があるのだと自覚することからスタートしましょう。
次に、経営者側はどのような行為がバイトテロにあたるか明確な線引きをすることが大事です。
これがはっきりしていなければ、「このくらい大丈夫だろう」と考えた従業員がバイトテロを起こす恐れがあるからです。どういう行為がバイトテロに当たるかを社内で定義して、周知徹底させるのです。
口頭で伝えることももちろん大切ではありますが、人は忘れる生き物です。
目につく場所に注意喚起の文章や画像を貼っておいたり、あるいは実際にあったバイトテロの動画を定期的に見させたりすることで、バイトテロを起こしたらどうなるのかを意識させ、それを抑止する環境を整えましょう。
抜本的な対策
ただ、何がバイトテロに該当するかを周知するだけでは、抜本的な対策とは言えません。バイトテロの発生を防ぐには、常日頃から従業員に当たり前のルールを徹底して守らせることが不可欠です。
ルールとは本来守るためにあるものです。例えば、赤信号なのに進んでしまうドライバーがいたら、そのドライバーが事故を起こしてしまうのは時間の問題ですよね。
組織運営も一緒です。ルールが形骸化している組織では、必ずと言っていいほどルール違反者が発生し、会社に大きな損失を与えます。「組織の一員である以上、ルールは必ず守らねばならない」という意識を社員の間に醸成するために、ルール違反者に対しては、反省文や始末書を書かせるなど、何かしらの罰を与えてください。
そうするのがかわいそうと思う人もいるかもしれません。
しかし、その人の将来を考えたとき、注意しないことにより改善の機会を奪ってしまうことの方がよほどかわいそうではないでしょうか。
もし、あなたの組織に形骸化しているルールがあるとすれば見直してみてください。そして、当たり前のルールを社員に順守させることにより、バイトテロのような行為が防げるという意識を持ち、しっかり指導していきましょう。
バイトテロの具体的な対策:3つのルール設定のポイントを守る
- 牛丼チェーン店でのバイトテロ
- コンビニエンスストアでのバイトテロ
- 老舗そば店でのバイトテロ
もはやバイトテロは他山の石ではなく、従業員を抱える企業が孕む目下の問題です。
バイトテロをなくすためには「当たり前のルールを守らせる」ことが大切だと前章にてお伝えしましたが、具体的にどうすればいいのでしょうか。
大切なのは「ルール設定のポイント」に留意することです。
- 曖昧なルールを避ける
- 繰り返し伝える
- ルールは必要に応じて追加する
それぞれ、具体的に解説します。
曖昧なルールを避ける
バイトテロを避けるためには「曖昧なルールを避ける」ことが管理者に必要とされます。
例えばよくある曖昧なルールには
- 挨拶は大きな声でする
- バイト前の打刻は早めにする
- 気づいた人がレジに入るようにする
などが挙げられます。
それぞれ
- 「大きい」は人によって変わる
- 「早め」は個人の主観に委ねられている
- 「気づく」スピードは人次第であり、「気づかなかった」という言い訳ができてしまう
上記のような問題を抱えており、それらが「個人のルール=ここまでだったら許されるだろう」という誤解を生んでしまいます。
バイトテロを起こす人は「それが絶対悪」だということをわかっていません。
「これは大丈夫だろう…」というような誤解を生まないためにも、ルールは誰が見ても認識がずれないようにしてください。
例えば
- 挨拶は店の反対にある従業員通用口まで聞こえる声の大きさでする
- バイト前の打刻は必ず5分前に
- ○○さんがいる場合には、○○さん→△△さんの順番でレジに入る
等で、認識のズレないルールの設定が可能になります。
繰り返し伝える
ルールを制定しても、ルールを守ってくれない…という悩みをお抱えの方は多いでしょう。
しかしルールを設定したら、守るまで言い続けなければなりません。
ルールが形骸化する要因は、従業員ではなく管理者にあります。
例えばルールを守らない従業員を諦め、この従業員にはルールを守らせる、この従業員にはルールを守らせない…といった、人によって異なる対応をしてしまえば、愚直にルールを守る社員に不信感を与えてしまいます。
ルールを守らない従業員はつけあがり、より一層「自分ルール」で行動してしまう機会がふえるでしょう。バイトテロの火種はこうして育っていくのです。
なお、ここでの「繰り返し伝える」とは「ただ守ってください」と繰り返すのみです。
なぜルールを守れないのかを聞いてしまえば「理由さえあればルールを破ってもいい」のだとバイトは誤解・錯覚してしまいます。
ルールが守れなければただ「守ってください」と言い続ける。
バイトテロの撲滅のためには根気強さが管理者に求められます。
ルールは必要に応じて追加する
初めの段階で完璧なルールを作ることはできません。
ルールは必要に応じて適宜追加していきましょう。
例えば、仕事中に携帯をいじってしまうバイトがいるのであれば、ルールとして携帯をバイト中に触らないことをルール化する。
組織内に「なんとなく」という暗黙のルールを容認しては、バイトテロを引き起こすきっかけづくりになってしまいます。
そして、ルールを追加したら誰でも見れるよう、ルールを周知。いつでもルールを確認できるようハード面を整える必要があります。
守れなくても感情的にならず、ダメなら罰則を用意する
ルールを守らないバイトがいると、管理者としては「なぜ守れないのか」とイライラしてしまうこともあるでしょう。しかし、感情的になってはいけません。
よくあるのが「なぜこんなこともできないのか」とバイトにつらく当たってしまう事例です。
昨今、パワハラなどの問題が横行していますが、その多くが感情により発生しています。
管理者に求められる態度は、ただ事実を淡々と伝えることです。
もし、管理者の考える普通を大きくした回っていると感じるのならば、それはルールが不足している状態です。再度、ルールを設定するしかありません。
それでもなおバイトがルールが守れないなら、最終手段として罰則を用意しましょう。
例えば
- シフトに入れる回数を減らす
- 減給をする
といったものが挙げられます。
また、基本的なルールが守れていない状態は「やる気がない」だけです。
ときには、組織から排除するといった方向にもっていかざるをえません。
管理者として、重要な局面では決断する勇気をもちましょう。
取り返しがつかない事態になる前に
バイトテロは昔からありましたが、昨今その情報が拡散されやすくなっています。SNSツールが増え、誰でも全世界に情報を発信できる時代が到来したからです。
いったん世に出た情報を完全に取り消すことはほぼ不可能と言えるでしょう。それゆえ、バイトテロの被害は以前よりも深刻なものとなりやすく、場合によっては取り返しのつかない事態にまで発展するかもしれません。
そうなる前に、バイトテロを抑止する組織環境を整えることがとても大切です。よりよい会社の未来のために、今日から対策に乗り出してください。