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オープンハウスが急成長を遂げた秘密とは?ビジネスモデルやテンバガー達成の理由を解説

新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの企業が経営に苦しむなか、都心に年間およそ4,000棟もの家を建て、9期連続最高益を見込む企業があります。

それが「東京に、家を持とう。」というキャッチフレーズをもとに、都心の一戸建てを一般的な価格のおよそ6,000万円よりも安い、5,000万円で販売しているオープンハウスです。

株価が10倍になった銘柄、またはなりそうな銘柄のことをテンバガーと言います。

オープンハウスはコロナ禍にも関わらずテンバガー企業となり、注目を集めています。

本記事では、オープンハウスに関する基本的な知識から都心の一戸建てを安く販売できる理由、またテンバガー入りを果たしたビジネスモデルの秘密を解説していきます。

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オープンハウスとは?

株式会社オープンハウスは、東京に本社を構える総合不動産会社です。

1996年11月に「株式会社アプローズ」として創業され、1997年に現在の商号に変更されました。

「東京に、家を持とう。」というキャッチフレーズで認知度が高まり、都市部を中心に、

  • 戸建関連事業
  • マンション事業
  • 収益不動産事業
  • 米国不動産事業

を展開し、テンバガー入りを果たすほどの急成長を見せています。

「都心の一軒家」と聞くと、「そう簡単に手に入るものではない」「富裕層しか買えない」というイメージがありますよね。

しかし、立地が良くお手頃な価格帯の戸建住宅を、富裕層ではない平均的なサラリーマンが次々と購入しています。

その都心の戸建住宅を販売しているのが、オープンハウスなのです。

オープンハウスは何がスゴい?

オープンハウスは2001年に新築戸建住宅の販売を始め、その後の売上は右肩上がりとなっています。

2013年には東証一部上場を果たし、2020年9月期の決算にいたっては売上高5,759億5,100万円(前期比6.6%増)を記録。

東急不動産ホールディングスや三井不動産などの財閥系や電鉄系がひしめく不動産業界で、業界第7位にランクインしています。

また、「オープンレジデンシア」というマンションブランドを展開し、2017年から2年連続で東京23区のマンション供給棟数の国内最多を記録。

さらに事業展開は国内に限らず、「アメリカに、家を持とう。」というキャッチフレーズをもとに、富裕層をターゲットとした「アメリカ不動産事業」も展開。

銀座の複合商業施設「GINZA SIX」のなかに「OPENHOUSE GINZA SALON」という拠点を持っています。

そして、2018年にはアメリカの経済誌フォーブスによる「アジアの優良上場企業50社」にノミネートされました。

オープンハウスが見せる急成長

オープンハウスが注目される最も大きな理由は、自社公式サイトでも自負しているように「常識を覆すような成長」にあります。

会社設立から上場までの平均期間はおよそ19年とされています。

しかしオープンハウスは設立16年目にして東証一部上場を果たしているように、平均より短期間で上場しています。

また、不動産業界は市場規模がおよそ45兆円という巨大な市場となっており、その成長率は7%とされていますが、オープンハウスの直近7年間の成長率は30%以上です。

圧倒的な成長率を支える強さの秘密

この類まれなる成長率を誇る強さの秘密は、同社が貫く「実力主義」にあります。

オープンハウスでは成果を上げることで、一般的な企業では考えられないスピードで昇進することができます。

実際に、多くの若手社員が20代で管理職になっているようです。

さらに、東洋経済が行った上場企業の平均年収の調査によると、20代の平均給与が他社に比べて最も高いということがわかりました。

このように徹底的に実力主義を貫いて、結果を出した社員には相応のポジションと給与を与えることで、近年まれに見る急成長を実現しているのです。

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オープンハウスはなぜ相場よりも安く提供できるのか?

「実力主義を貫いている」とはいえ、それだけでこの成長率を説明できるわけではありません。

オープンハウスの本当の強さは、都心で好立地な戸建住宅を相場よりも1,000万円も安く販売できることにあります。

では、なぜそれほど安く提供できるのでしょうか? その秘密は下記の3つにあります。

  • 全てを社内で完結する
  • 他社が手を出さない土地を安く仕入れる
  • 泥臭い足を使った営業手法

それでは1つずつ解説していきます。

全てを社内で完結させる

オープンハウスが好立地の住宅を相場よりも、1,000万円も安く提供できる1つ目の理由は「全てを社内で完結しているから」です。

不動産では大きく分けると、

  • 土地の仕入れ
  • 仕入れた土地をどのように使うかを考える
  • 考えたものをつくる
  • つくったものを売る

という分野に分けられます。

基本的には土地の仕入れは建売業者が行い、土地に家を立てるのは住宅メーカー、そして販売するのは販売仲介会社といったように、それぞれの分野で専門的な会社が役割を果たします。

しかし、オープンハウスでは土地を仕入れるところからなにを建てるかまで考えて、実際に建設に至ります。

そして販売するところまでの全てを、連結子会社の「オープンハウスアーキテクト」や「オープンハウスデベロップメント」を含めた社内で、一気通貫で行っているのです

一気通貫で完結させるメリット①

先述したように、土地の仕入れ、建設、販売といったフローごとに別の専門業者が担当することが一般的であり、それによっていくつもの中間コストが生じていました。

しかし、「製販一体モデル」を採用するオープンハウスでは、「土地の仕入れ」から「住居の建設」、「販売」をはじめから終わりまでを自社で完結させました。

これにより、この間に生じるマージンを無くし、相場よりも1,000万円も安く戸建住宅を販売することに成功しました。

これが、普通なら高くて手が出せない都心・好立地の住居を、一般的なサラリーマンでも手が出せる価格で販売できる理由の1つ目となります。

一気通貫で完結させるメリット②

自社で完結させる「製販一体モデル」のメリットはもう一つあります。

それは、顧客の意見をフィードバックしやすい点です。

通常であれば家の建設と販売は別々になっているため、販売の際に顧客から得た意見や情報を建設にフィードバックすることは簡単にはできません。

しかしオープンハウスは建設も販売も行っているため、販売の際に吸い上げた顧客の声を建設にフィードバックさせることができるのです。

また、どのような間取りが評判がいいのか、人気のエリアはどこかなど、生活者のニーズを把握して土地の仕入れや設計へ迅速に反映させることもできます。

つまり自社で完結することで、時代の流れや消費者のニーズをすぐに汲み取ることができるのです。

他社が手を出さない土地を安く仕入れる

都心・好立地の戸建住宅を手頃な価格で販売できる2つ目の秘密は、他社が手を出さない土地を安く仕入れることです。

先程解説したように、オープンハウスは土地の仕入れから行っていますが、一般的な企業が仕入れるような整った土地を仕入れるわけではありません。

三角形になっている土地や線路沿いの土地など、扱いが難しく他社が欲しがらない土地を優先的に仕入れているのです。

こうした扱いにくい土地は値段がつきにくく、安く仕入れることができます

そして、多少扱いにくい形だとしても、長年の経験によって学んだ技術や知見をもとに、その土地にあった最適な設計を実現させているのです。

これにより、オープンハウスは都心・好立地・快適という3つの条件を満たした戸建住宅を、安く販売することを実現させています。

泥臭い足を使った営業手法

土地の仕入れから家の建設、販売までを自社で完結させるというビジネスモデルだけでここまで成功できるなら、競合他社もすぐに真似をするはずです。

しかし、これだけではオープンハウスのように成長できるわけではありません。

実際、オープンハウスの執行役員で営業推進部長の矢頭肇氏は、同社の急成長は「泥臭い営業のたまもの」と語っています。

このように、オープンハウスが成長した秘密3つ目は、泥臭い足を使った営業手法にあります。

「不動産の営業」というと、一般的に「住宅を売る営業」をイメージするかもしれませんが、オープンハウスの場合は「土地の仕入れ営業」こそ強みなのです。

低価格な土地を手に入れるには信頼関係が重要

上記で2つ目の強みとして「他社が手を出さない土地を安く仕入れる」を挙げましたが、実は低価格な土地はそう簡単に手に入れられません。

まず、土地を売りたい地主の多くは地元の不動産会社に相談します。

そのエリアの売地について最も詳しいのは地元に根ざした小さな不動産会社となります。

したがって、自社にとって望ましい土地を仕入れるためには、そうした不動産会社への挨拶や情報交換が必須なのです。

しかし、一般的な営業の場合はベテランの営業マンが行ったり、「何かあればお知らせください」と電話だけ、という「待ちの営業」を行いがちです。

一方オープンハウスの場合は体育会系の若手営業マンは、不動産会社との接触時間や接触回数を増やすことで信頼関係を構築します。

これにより、他社では難しくても「オープンハウスなら」という認識をもってもらうことで、立地の譲渡につなげているのです。

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オープンハウスがコロナ禍でも業績を伸ばす理由

2021年、新型コロナウイルスの感染が広がるなか、オープンハウスはテンバガー(株価10倍銘柄)入りを達成しています。

新型コロナによって多くの企業が経営難に陥っているなかで、なぜ、オープンハウスは業績を伸ばし続けることができたのでしょうか?

その要因は、新型コロナがむしろ追い風になったことが挙げられます。

新型コロナウイルスが追い風となる

新型コロナウイルスによるリモートワークの普及に伴い、テレワークスペースに対するニーズが高まりました。

オープンハウスはいち早くそのニーズを汲み取ることで、戸建住宅にリモートワークスペースを設けたのです。

さらに、もともとオープンハウスは都心・好立地で相場よりも安く戸建住宅を提供できることが強みでした。

そのため、コロナ禍で需要が増えたリモートワークがしやすい環境にマッチしたことも追い風となりました。

追い風となったのはこれだけではありません。新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前から、マンション価格は上がり続けていました。

マンションの購入を考えていた人がコロナ禍をきっかけに、戸建住宅に変えるケースが増えているのです。

これによりオープンハウスの売上もコロナ以前よりも大幅に増えました。

AIを駆使してチラシを作成

不動産屋さんの前に行くと、物件のチラシが所狭しと貼り付けてあるのをよく見かけますよね。

オープンハウスが成長した秘密は、このチラシにもありました。実は、オープンハウスでは物件チラシをAIを用いて作成しているのです。

オープンハウスの松岡良恭氏によると、従来は物件チラシ1枚の作成に3時間もかかっていたのが、AIを使うことで数分でできるようになったといいます。

これにより、チラシ作りにかかっていた時間が無くなり、その分だけ他の業務ができるようになりました。

DXに取り組み、フィンテック事業への参入を果たす

AIで物件チラシを作成するなど、先進的な取り組みを行っているオープンハウスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組んでいます。

そして、コロナ禍の2021年にフィンテック事業への参入を果たしました。

事業内容は、入居時に必要なガスや電気といったライフラインの契約をワンストップで行うサービスの提供です。

こうした都心・好立地・狭小住宅に集中した戦略とDXへの取り組みが評価され、上場から8年で10倍以上の株価となり、コロナ禍でテンバガーを達成しました。

テンバガー企業の共通点

オープンハウス以外にもレーザーテックやベネフィット・ワンといった企業がテンバガーを達成していますが、これらの企業にはある共通点があります。

その共通点こそ、ニッチトップです。

ニッチトップとは、規模の小さい隙間市場において圧倒的なシェアを誇る企業のことを指しています。

コロナ禍においては、半導体などの分野におけるニッチトップ企業が評価される傾向にあります。

生き残るためにニッチトップ戦略を実践してみるのも良いかもしれません。

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まとめ

ここまで、オープンハウスに関する基本的な知識から、テンバガー入りを果たして圧倒的な急成長を実現したビジネスモデルなどを見てきました。

オープンハウスの今後の事業展開も気になるところですが、急激な成長のあとには急激な衰退が待っていることも。

今後の動向に、注視していきたいですね。

不動産業界の新しい風として大きな期待が集まっていることも事実なので、さらなる成長が楽しみです。

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