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マイナス金利とは?生活への影響やFRBパウエル議長の姿勢や今後の動きを解説

突然ですが、下記のような疑問を感じてはいませんか?

  • 「マイナス金利政策ってなに?」
  • 「マイナス金利っていうくらいだから、銀行にお金を預けるとお金が減るの?」
  • 「FRBのパウエルさんはマイナス金利に対してどう考えているの?」

日本で「マイナス金利政策」が金利政策として初めて導入されたのは2016年。すでに5年以上も政策が続いています。

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済や情勢が大きく変動するなか、マイナス金利が私たちの暮らしにどのように影響を与えているのか。

また、アメリカはどのように動くと考えられるのでしょうか。

本記事ではマイナス金利について基本的な知識から、私たちの暮らしに与える影響、アメリカの動向などを解説していきます。

関連記事:アメリカ中間選挙はどうなる?日本経済にもたらす影響までをわかりやすく解説!

預けたお金が減る? マイナス金利とは

まず、「マイナス金利」について解説する前に「金利」についておさらいしていきましょう。

「金利」や「利子(利息)」とは

仮に、あなたが銀行からお金を借りた場合、あなたは利子を上乗せして銀行にお金を返さなければなりません。

あなたが銀行にお金を貸す(預ける)ことで、利息が付くことも同じ原理です。

このように、借りたお金(借入額)の使用料として上乗せして支払う利子や利息の割合のことを「金利」といいます。

銀行のように業務としてお金を貸し出しているのであれば、「金利」が「収益」となります

ちなみに、「利子」と「利息」は基本的には同じ意味合いと理解して問題ありません。

実際、金融庁が中学生向けに発行している発行している副教材では、下記のように説明されています。

利息借りたお金の使用料として、借りた人(貸し主)に支払うお金のことで、「利子」ともいう

マイナス金利では預けたお金が減る

このように、本来であればお金を貸す(預金する)と、金利に応じてお金は増えていくのです。

しかし、マイナス金利政策では、お金を貸すことで逆にお金が減ってしまいます。

このように聞くと自分たちのお金が減ってしまうように聞こえますが、一般的な人が使う預金にはマイナス金利は適用されないため、安心してください。

マイナス金利の対象となるのは、銀行や証券会社などの民間の金融機関が日本銀行に預けている「日銀当座預金」のうち「政策金利残高」のみで、かなり限定的です。

ちなみに「日銀当座預金」とは、日本銀行が取引先の金融機関などから受け入れている当座預金のことで、全部で3つの階層に分けられています。

このうちの「政策金利残高」のみにマイナス金利政策が適用されます。

したがって、私たちが日常的にお金を預けている一般的な預金にマイナス金利が適用されてお金が減ることはありません。

マイナス金利政策は誰が、なぜ導入したのか?

結論からいうと、日本の物価を上昇させて消費を拡大させるために、日本政府と日本銀行の金融政策決定会合がマイナス金利政策の導入を決定しました。

つまり、長年続くデフレから脱却することを目的として導入されたのです。

それでは、まず「金融政策決定会合」と「デフレ」について解説していきます。

金融政策決定会合

金融政策決定会合とは、日本銀行の最高意思決定機関である製作委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合のことです。

年に8回、各会合とも2日間開催されます。

会合では下記のような内容が話し合われます。

  • 金融市場調節方針
  • 基準割引率、基準貸付利率および預金準備率
  • 金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)
  • 経済・金融情勢に関する基本的見解等

なんだか小難しい言葉が並んでいますが、簡単にいうと「経済の活性化」や「物価の安定」を目指した政策です。

市場に対する影響力は大きく、金融政策決定会合の決定が金融市場を左右することもあります。

(参考:金融政策決定会合とは何ですか? いつ開催されるのですか?丨日本銀行

デフレ

デフレとは「デフレーション」の略です。

私たちが日常的に買っている日用品やサービスの値段(物価)が全体的に下がる現象のことで、「モノに対する貨幣の価値」が上がっている状態を指しています。

「モノの値段が下がるのは良いことではないの?」と感じる方もいるかもしれませんが、デフレに陥るとモノが売れなくなり不景気になります。

不景気になると企業の業績は悪化して、従業員の給与が減ったり、リストラによって失業者が増えることもあります。

日本経済は長い間デフレが続いており、物価も賃金も上がらずに苦しんでいるため、これらを解消するためにもマイナス金利政策が導入されました。

関連記事:FOMCとは?わかりやすく解説!米国金利が日本で注目される理由

マイナス金利がデフレ対策になる仕組み

「マイナス金利がデフレ脱却のために導入されたのは分かったけど、どういう仕組みになっているの?」

と感じているのではないでしょうか。

確かに、「民間の金融機関が日本銀行にお金を預けるとお金が減ること」が「物価上昇・消費拡大」につながるといわれてもピンときませんよね。

ここではマイナス金利がデフレ対策になる仕組みについて解説していきます。

民間銀行の立場になって考えてみる

マイナス金利政策について理解するには、民間銀行など金融機関の立場になって考えてみるとわかりやすくなります。

まず、マイナス金利政策が導入されるまでは金利がプラスだったため、民間の金融機関が日本銀行の日銀当座預金にお金を預けていたとしても、お金がとられることはありませんでした。

しかし、これがマイナス金利になると、お金を預けているだけでコストになってしまいます。

そこで、民間の金融機関は「日本銀行にお金を預けると利子負担が発生するから、民間の融資に資金を回して利益を得たほうが良い」と考えるようになります。

その結果、民間銀行は企業に対して積極的な融資をするようになるので経済活動が活性化する、という仕組みです。

マイナス金利政策で本当にデフレは脱却できたのか?

当時の日本銀行は「2%のインフレ目標達成のための特効薬」としてマイナス金利政策を導入しました。

デフレを阻止することを目的としたマイナス金利政策は、ヨーロッパではすでに導入されていました。

しかしマイナス金利の導入に消極的とされていた日本銀行が導入したことは、市場にとって驚きとなりました。

また、導入当時は「預金をするとお金が減る」という点ばかりが注目されたことも相まって、市場には動揺が広がりました。

そして、新型コロナウイルスの感染が拡大し続ける2021年の段階では、デフレは脱却できていません。

したがって、マイナス金利政策にどのような効果があるのかは未だに不明です。

関連記事:資金調達とは?資金調達の方法をわかりやすく解説!

マイナス金利政策は私たちの生活にどう影響する?

マイナス金利政策の導入によって、直接的な影響があるのは民間銀行などの金融機関です。

したがって、私たちの暮らしが大きく変わるようなことはありませんが、間接的に影響を受けることがあるため、そのあたりを見ていきましょう。

銀行からお金を借りやすくなる

マイナス金利によって民間銀行のローン金利などが下がり、利息負担が減るため借り手である生活者にとっては恩恵があるといえます。

しかし、その一方で預貯金金利が下がることがあり、利息収入が減ってしまうこともあります。

これにより、預貯金以外での資産運用が増えるかもしれません。

金融機関の収益悪化

マイナス金利政策によって金融機関の収益が悪化した場合、私たちにも悪影響が及ぶことがあります。

実際に、金融機関は2019年から少しずつ各種手数料の値上げを含む料金改定を行っています。

  • 一定期間使用されていない預金口座に管理手数料が課される
  • 時間外の現金引き出しや振込手数料の値上げ
  • 通帳発行の有料化

住宅ローン金利の低下

住宅を購入しようか考えている人にとっては、マイナス金利政策の影響が大きいかもしれません。

住宅を購入する際には基本的に住宅ローンを組みますが、住宅ローンの固定金利と日本銀行の金融政策は密接な関わりがあります。

なぜなら、固定金利型の住宅ローン金利は、長期金利(10年国債金利)基準となるためです。

長期金利は日本銀行が金利誘導をしており、マイナス金利政策と同様に金融政策決定会合で審議・決定されます。

日本銀行がマイナス金利政策をやめずに、金利上昇を抑制する場合は住宅ローンの固定金利は上がらない可能性が高いでしょう。

しかし、日本銀行がマイナス金利政策を取り止めて金利を上げる動きを見せるなら、住宅ローンの固定金利は上がるかもしれません。

関連記事:金融緩和とは?金融緩和の目的やメリットについてわかりやすく解説

FRBのパウエル議長のマイナス金利に対する姿勢

日本銀行や欧州中央銀行はマイナス金利政策を導入していますが、アメリカはマイナス金利政策を導入していません。

なぜ、アメリカはマイナス金利政策を導入しないのでしょうか?

頑なにマイナス金利政策を導入しない、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関・FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長。

「パウエルさんはマイナス金利が嫌いなんじゃないか」という声が挙がるほど、FRBは導入に反対しています

新型コロナウイルスの感染が拡大するなかのFRBの動き

2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大からアメリカ経済を守るため、FRBは世の中の金利の基準となる政策金利を0%にするゼロ金利政策を実施。

これにより、資金繰りに苦しむアメリカ企業がお金を借りやすくなることが期待されます。

しかし、当時のアメリカ大統領であったトランプ氏は、さらに経済を活発化させることを目的に、日本銀行や欧州中央銀行が導入しているマイナス金利政策を、FRBも導入するように求めました。

しかし、パウエル議長は「それは有用でも適切でもない」とバッサリ

日本やヨーロッパが導入しているマイナス金利政策を、なぜFRBは頑なに拒んだのでしょうか?

FRBがマイナス金利政策を導入しない理由

マイナス金利政策を導入することで、中央銀行にお金を預けると金利を取られるので、民間銀行は個人や企業に対して積極的に貸し出すようになります。

このような仕組みであれば、新型コロナウイルスの感染拡大によって低迷する経済を救う手立てになるように思えます。

しかし、マイナス金利政策は通常は実施しない異例の政策でもあるため、問題点も多く抱えているのです。

ここに、FRBが導入に反対した理由があります。

確かに大きな効果を見込めますが、強力なクスリは副作用も強烈であるのと同様に、マイナス金利政策にも大きなデメリットがあるのです。

マイナス金利政策の副作用とは

政策金利は市場金利のスタンダードとなるため、マイナスになることで企業への貸出金利や個人の住宅ローン金利などのさまざまな金利が下がります。

これにより資金繰りに苦しむ企業や個人は救われますが、その代償を負うのは銀行です。

銀行の主な収益源は貸出金利と預金金利の差ですが、貸出金利が0%ほどになったとしても、預金者は預金が減るマイナス金利を受け入れないので、預金金利の大幅な引き下げはできません。

これにより、銀行の利ざやが縮んでしまうのです。

このような副作用があるため、金融政策に詳しいBNPパリバ証券チーフエコノミストは「マイナス金利政策の弊害を考えれば、FRBが導入する可能性はほぼゼロに近い」と指摘しています。

(参考:FRBのパウエルさん、マイナス金利に反対のワケ丨日本経済新聞

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FRBの今後の動き

2020年3月にゼロ金利政策を始めたFRB。

2022年1月26日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の会合後の声明で、「利上げはまもなく適切となる」と公表しました。

さらに3月に開かれる会合で、事実上のゼロ金利政策を解除する意向を示しています。

FOMCとは、FRBの金融政策の方針を決定する会合のことです。

基本的に、FRBは景気が悪くなるとゼロ金利政策などの「金融緩和」というアクセルを踏み、景気が過熱すれば利上げなどの「金融引き締め」というブレーキを踏みます

FRBの方針とは

なぜ、FRBはゼロ金利政策を解除する意向を示したのでしょうか?

その理由は、2021年には世界でインフレが加速し、アメリカはインフレ率が39年ぶりの高水準に跳ね上がったことが原因です。

これを受けて、早めに金融引き締めを行い、物価上昇圧力を抑え込むのがFRBの方針となっています。

(参考:米、3月にゼロ金利解除へ 利上げ「間もなく適切」―物価圧力を抑制・FRB丨時事ドットコムニュース

まとめ

ここまでマイナス金利について基本的な知識から、導入する目的や副作用について見てきました。

日本では5年以上もマイナス金利政策を導入していましたが、その効果が現れることなく新型コロナウイルスの感染と、それに伴う社会の変化が訪れました。

そこでようやく世界的なインフレが進みましたが、日本の消費者物価指数の伸び率は未だに2%に届いていません。

しかし、各国の中央銀行はインフレを受けて利上げを進めているため、日本銀行もいずれは金融正常化に向かうのではないかと考えられています。

関連記事:金融緩和とは?金融緩和の目的やメリットについてわかりやすく解説

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