パナソニックを創業した松下幸之助は、歴史にその名を刻む一流の経営者です。
亡くなって30年以上が経った今でも、彼の言葉やエピソードから学ぶべき点は多々あります。
目次
松下幸之助とは
1894年、和歌山県に生まれた松下幸之助は、パナソニックを創業し、同社を世界的なメーカーへと成長させました。松下は、大阪市にできた路面電車に感銘を受け、電気に関する仕事に携わることを決意したと言われています。
16歳で、現在の関西電力にあたる大阪電灯に入社し、7年間勤務しました。そして1918年、24歳のときに松下電気器具製作所を立ち上げます。これが、現在のパナソニックの原型です。
創業当初は配線器具の製造と販売に従事します。その後、電池式の角形ランプや電気アイロン、ラジオなど、数々のヒット商品を生み出しました。
創業から17年後の1935年に法人成りし、松下電機産業が誕生します。同社は、白物家電を中心に世界中に製品を拡販。大企業への階段を上っていきました。
1961年、松下は66歳で社長を退任し、会長に就任します。1973年には会長職を辞して相談役に就き、事実上経営の一線から退きました。
松下が立ち上げた松下電気器具製作所は、現在はパナソニックとして全世界で6兆円を売り上げる日本屈指の家電メーカーにまで成長しています。
では、そんな松下の経営哲学とはどのようなものだったのでしょうか。ご紹介していきましょう。
「やった分だけ成功する」
うまくいくこともあればいかないこともあり、利益を出せるときもあればそうでないときもある。こういう考え方は実に一般的です。しかし、松下の考え方は違いました。
「やった分だけ成功する」
※松下幸之助経営塾|PHP研究所
これが、松下の経営哲学です。努力したから必ず成功するわけではありませんが、やればやるほど成功確率が上がるはずです。
ただし、単に数を増やすだけではなく、一回一回の行動の質を高めることも忘れてはなりません。
つまりは、意識的な努力の回数を増やすということです。努力の方法と質を変えて行動することにより、成功する確率が高まります。
「人をつくっている」
何を作っている会社なのか。こう聞かれた際に、松下が回答した内容が興味深いものです。それは、
「人をつくっている会社」
※松下幸之助経営塾|PHP研究所
というものです。松下は必ずこう答えていました。
経営者であれば「家電製品を作っている会社」と答えることが分かりやすく、一般的ではあるものの、松下にとってそれは大事ではなく、あくまでも人を第一に考えたのでした。
「人をつくり、人を大切にする」という考え方が根底にあったからこそ、成長を続けることができたのでしょう。
松下はほかにも、数多くの名言を残しています。例えば、
「とにかく、考えてみることである。工夫してみることである。やってみることである。失敗すればやり直せばいい」
※松下幸之助経営塾|PHP研究所
経過の質を上げることの大切さを説いています。そのために、まず所属するコミュニティの構成員として、当たり前のことを行うべし、ということです。
たとえ失敗しても、失敗を「不足している状態」と捉え、その不足を埋めようとすることで、さらに成長できるということでしょう。
今までと同じようなことをしていたら、同じ結末しか待っていませんが、やり方を変えてやってみることで、待っている未来も変わるはずです。
個人の責任を明確にする
「それは私の責任です」
※松下幸之助経営塾|PHP研究所
松下はこの発言を重んじたと言われています。責任の所在が明確になっているからこそ各個人は目の前の仕事に真剣に取り組むことができます。それによって、個々の行動の質が最大化されるのです。
個人が自らの責任を明確にし、必要な権限を上司に提言して獲得します。そして、新しいアイデアや製品を生み出し、世の中に提供することができるのです。
その最初の一歩が、責任の明確化です。松下は、各人が「それは私の責任です」と言える組織風土を醸成したのでした。
また、
「万策尽きたと思うな。自ら断崖絶壁の淵にたて。その時はじめて新たなる風は必ず吹く」
※松下幸之助経営塾|PHP研究所
という言葉があります。
道は無限にあるということです。万策尽きることなどそうそうなく、むしろそう思ったときにこそ新たな道を見つけることができると松下は説きます。
この道を開いていくためには、先述した責任の所在を明確にすることと、責任を果たす使命感を持つことが肝要です。義務感ではなく使命感です。
使命は、命を使うと書きます。責任を果たすために使命感を持って仕事に取り組む姿勢が大切なのです。
松下が手掛ける会社は、どんなに規模が大きくなろうが、どんなに社会が変わろうが、理にかなった経営を行っていました。
社会をよりよくすること、お客様のために活動すること、それが社員に還元されていたからこそ、今があるのです。