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働き方改革の流行とともに「スーパーフレックス」という言葉をよく耳にするようになりました。
しかし、言葉を耳にしたことはあっても、詳しい意味については知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、スーパーフレックスの定義からメリットまで詳しく解説します。
- 自社でもスーパーフレックスの利用を検討している
- 他社の動向を知りたい
- フレックスタイムとの違いを知りたい
上記のようにお考えの方はぜひご一読ください。
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スーパーフレックスとは
まずは、スーパーフレックスに関する以下の内容について解説します。
- 厚生労働省が定めるスーパーフレックスの定義
- スーパーフレックスの最低労働時間
- スーパーフレックスが取り入られるようになった背景
スーパーフレックスの基本情報について理解を深めておきましょう。
厚生労働省が定めるスーパーフレックスの定義
厚生労働省ではフレックス制度を以下のように定義しています。
フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。
「スーパーフレックス制度」は、上記の定義に加えて、コアタイムが存在しないさらに自由度の高い勤務形態を指しています。
スーパーフレックスの最低労働時間
スーパーフレックスを用いて勤務している場合でも、月間で規定の労働時間を必要とします。
したがって、基本的には「8時間 × 営業日数」の労働時間が最低労働時間ですが、企業によっては最低労働時間を別途定めている場合もあるため注意が必要です。
スーパーフレックスが取り入られるようになった背景
スーパーフレックスの必要性が問われるようになった背景には、働き方改革があります。
働き方改革で、働きやすい環境の整備が重要視されつつあります。また、日本が抱える問題のひとつである、少子高齢化も影響しています。
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スーパーフレックス制度の特徴
スーパーフレックス制度の特徴は以下の2つです。
- 労働時間を自由に決定可能
- 休みを自由に設定可能
2つのスーパーフレックスの特徴について解説します。
労働時間を自由に設定可能
スーパーフレックスの特徴として、労働時間の決定を自由に行えることが挙げられます。
1ヶ月に必要な労働時間さえ守っていれば、1日の出社時間と退社時間を自由に設定できるのがスーパーフレックスの強みです。
スーパーフレックス制度はフレックス制度と違い、出勤しなければいけないコアタイムも存在しないため、より自由な勤務体系が実現できます。
休みを自由に設定可能
スーパーフレックス制度の場合、1日の間で休みも自由に決められます。
したがって、突然具合が悪くなったときに、午前中は病院に行って、大丈夫そうであれば午後から就業するという働き方も可能です。
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スーパーフレックスと混同される言葉として、以下の2つが挙げられます。
- 労働裁量制
- フレックス
スーパーフレックスについて理解を深めるために、他の言葉との違いについても理解しておきましょう。
スーパーフレックスと似ている2つの言葉について詳しく解説します。
労働裁量制との違い
労働裁量性は「実際に働いた時間に関わらず、契約した時間で労働したことにする制度」です。
したがって、契約時にみなし労働時間を8時間と決めた場合、実際の労働時間が6時間でも8時間働いたことになります。
労働裁量制を導入すると「仕事の効率が悪いときは早く退社し、仕事に集中して取り組めるときに長く働く」というような勤務形態が実現可能となります。
スーパーフレックスは「変形労働時間制」であるため、1日の出勤時間などは自由ですが、1ヶ月の間に定められた労働時間を確保する必要があります。
フレックスとの違い
フレックスは必ず出勤しなければいけない「コアタイム」と、出退社が自由に定められている「フレキシブルタイム」が特徴です。
コアタイムの間に出社していれば、フレキシブルタイムにいつでも出退社ができます。
スーパーフレックスの場合、フレックスで定められている「コアタイム」が存在しません。
したがって、スーパーフレックスの方がより柔軟な働き方が実現できます。
スーパーフレックス制度のメリット
スーパーフレックス制度のメリットは以下の3つです。
- パフォーマンス向上
- 長時間労働を回避
- 優秀な人材の確保
スーパーフレックスを取り入れることで、会社と社員双方にメリットがあります。それぞれのメリットを詳しく解説します。
パフォーマンス向上
スーパーフレックスを導入することで、今までよりも柔軟な働き方が期待できます。
今までの職場環境では、早朝の通勤ラッシュや残業の強制があったため、社員が大きなストレスを抱えることも多くありました。
ストレスフルな生活は、ビジネスにおいてパフォーマンスの低下を引き起こす恐れがあります。
しかし、スーパーフレックスは労働開始時間と終業時間を自分で決定できるため、より自分主体の働き方を実現できます。
そのため、結果としてパフォーマンスが向上する可能性があります。
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長時間労働を回避
長時間労働は、日本の大きな問題のひとつであり、社員が過労で疲弊する要因でした。
スーパーフレックスを導入すると、ライフスタイルに合わせた労働ができるため、集中できる早朝に出勤するなど、労働時間の調整が可能になります。
優秀な人材の確保
現在、社員が職場を選ぶポイントとして、職務内容の他、労働の柔軟性も挙げられます。
スーパーフレックスを取り入れ労働体制をより柔軟にすることで、企業のイメージ向上につながるため、優秀な人材を社外から確保できます。
また、社内の人材が、仮に介護や育児で今までの働き方ができなくなった場合でも、柔軟な働き方を整えておけば、社内の人材損失を避けることもできます。
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スーパーフレックスのデメリットは以下の3つです。
- 勤怠管理が困難
- 顧客との労働時間のズレ
- 社内コミュニケーションの欠如
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
勤怠管理が困難
社員が自由に労働時間を決められるスーパーフレックスでは、自宅で仕事をすることも多いため、アナログタイプのタイムカードが使用できません。
したがって、スーパーフレックスで在宅勤務をしている場合、社員が仕事をいつ始めていつ終わらせているかが直接的に見えません。
勤怠管理を正確に行うためには、PCのログ管理で勤務時間を図るなどの、勤怠管理システムの導入が必要です。
顧客との労働時間のズレ
顧客と労働時間が合わない可能性があることもスーパーフレックスのデメリットです。
スーパーフレックスで自由な働き方ができる反面、顧客と労働時間が合わずに、コミュニケーションが困難になる可能性があります。
顧客から緊急で対応を求められることもあるため、スーパーフレックス導入する際は、体制や仕組みを構築しておきましょう。
社内コミュニケーションの欠如
スーパーフレックスは、勤務時間や場所を自由に決められる制度であるため、社内でのコミュニケーションが取りづらくなります。
特に、急な案件やクレームが発生した際に「対応しなければならない上司がスーパーフレックスで既に退社している」などの問題が発生しないように、社内整備を整えておく必要があります。
スーパーフレックスの求人が多い職種
スーパーフレックスの求人が多い職種は以下の3つです。
- エンジニア
- 研究職
- デザイナー
それぞれの職業について、紹介します。
エンジニア
エンジニアは、スーパーフレックスなどの柔軟な働き方がしやすい職業として、近年注目を集めています。
パソコンを使った作業が主であり、チャットツールによるコミュニケーションで仕事を進められることが魅力です。
今後もエンジニアの需要は増えていくため、さらに働きやすい制度が構築されると予想されます。
研究職
研究職もスーパーフレックスで働ける職業のひとつです。研究職は、同僚とのコミュニケーションも必要な職業ですが、基本的には一人で作業を行うことが大半です。
したがってなかにはスーパーフレックスを採用している研究職の会社もあります。
デザイナー
デザイナーは、一人で集中して作業に取り組む時間が多いため、場所や時間を選ばずに仕事に取り組めます。
デザイナーの場合、作業をする前に顧客との打ち合わせを通して、イメージのすり合わせを行います。
しかし、近年では、オンライン会議ツールが広く導入されているため、直接顧客と会う必要もなくなりました。今後、ITの発達によってより柔軟な働き方が実現できるでしょう。
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組織風土と組織文化の違いとは?似てるようで違う2つをわかりやすく解説スーパーフレックス制度を導入している企業の事例
スーパーフレックス制度を導入している企業として挙げられるのは、以下の3つです。
- NTT
- ソフトバンク株式会社
- 味の素株式会社
それぞれの導入事例について詳しく解説します。
NTT
NTTは、日本最大の電気通信事業社です。NTTでは仕事とプライベートの両立に重きをおいており、グループ全体で多様な働き方の推進に力を入れています。
実際、NTTデータグローバルソリューションズでは、1日の最低労働時間を3時間と定め、柔軟な働き方ができるスーパーフレックス制度を福利厚生として導入しています。
この他、リモートワークの制度も活用しているため、社員がより柔軟に働くことができる仕組みが整えられています。
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は、無線通信サービスなどを手がけている、日本を代表する企業のひとつです。
ソフトバンクでは、スローガンとして「Smart & Fun!」を掲げており、社員がITを活用して今までよりも「楽しく」「賢く」働けることを重視しています。
スローガンに伴い、IT技術を用いた作業の効率化や、柔軟な働き方の実現に力を入れており、スーパーフレックス制度も導入しました。
スーパーフレックス制度の導入時には、社員が1万人もいるのにも関わらず、一斉にスーパーフレックスを取得可能にしたことで注目を集めました。
味の素株式会社
味の素株式会社は、日本に拠点を置く大手食品メーカーです。
味の素株式会社は、10年近く前から働き方に関する取組みを始めており、ペーパーレス化やフリーアドレスの導入をしていました。
現在では、完全にリモートワークで働ける環境構築に成功し、スーパーフレックスも取り入れています。時間をかけて組織内での働き方に対する意識を変え、実現に成功した事例です。
スーパーフレックス制度に関してよくある質問
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- 中抜けは可能なのか
- 休憩の取り扱いはどうなるのか
- 遅刻は存在するのか
- 半休は取得できるか
それぞれの質問について詳しく解説します。
中抜けは可能なのか
スーパーフレックスの場合、中抜けは可能です。
中抜けは、勤務時間内に何かの理由で、業務から一時的に離脱することを指します。
スーパーフレックスの場合、定められた時間内で働けばよいため、子供の送り迎えなどで、一時的に業務を離れることも問題ありません。
休憩の取り扱いはどうなるのか
スーパーフレックスでも、休憩時間の取り扱いは特に変わりません。
労働基準法34条によって、労働時間が6時間を超える場合は45分間の休憩、8時間を超える際は、1時間の休憩を取る義務があります。
しかし企業によっては「休憩を各自の決定に委ねる」と規定している場合もあるので、労働規定を確認しておきましょう。
参考:労働基準法三十四条 | E-GOV法令検索
遅刻は存在するのか
スーパーフレックス制では、遅刻は存在しません。
なぜなら、1ヶ月に必要な労働時間を割り出して、自分で1日の労働時間を決められるからです。ただし、コアタイムが存在するフレックス制の場合は、遅刻があるため、注意が必要です。
半休は取得できるか
スーパーフレックス制を取り入れている企業では、半休の制度がないことが多いです。
スーパーフレックスは午前と午後に関わらず、勤務時間を自由に決められるため、半休制度を導入しても、あまり意味を成しません。
ただし、半休制度がある場合は休暇を取得する権利があるため、スーパーフレックスで働いていても半休を取得可能です。
まとめ
スーパーフレックスは、働き方の変革が求められている日本において、注目度の高い制度です。
スーパーフレックス制度を取り入れることで、より柔軟な働き方が実現できるため、人材の確保や労働環境の改善につながるでしょう。
スーパーフレックスを導入する際は、メリットやデメリットをしっかりと理解し、事例から、導入方法を学んでおくことをおすすめします。
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