突然ですが、このようなことを感じてはいないでしょうか?
- 「弱い組織と強い組織の違いはなに?」
- 「従業員の結束が弱い気がする」
- 「強い組織にするためにはどうすればいいの?」
環境の変化が激しく、社会的制約が増しつつある現代においては、弱い組織のままでは、激しい競争に打ち勝ち生き残ることが難しくなってきています。
したがって、多くの企業は自社を強い組織にするために、組織力の向上に取り掛かっています。
本記事では、強い組織と弱い組織の違いや、組織力を強化する方法について解説していきます。ぜひ強い組織にするための参考にしてみてください。
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強い組織に求められる組織力とは?
まず、「強い組織」や「弱い組織」について解説する前に、組織力について解説します。
組織力とは、個人では難しい目的の達成に対して、メンバーが協力することによって発揮される力のことです。
例えばスポーツの世界では、「一人ひとりのメンバーの能力では相手チームに負けているが、メンバーが協力して組織力を高めることで勝つチャンスはある」というようなことが言われます。このように、メンバー一人ひとりが持っている能力の総和以上の結果を出すために、必要になるのが組織力です。
組織力を高めるには、リーダー一人だけや、メンバーの一人だけが努力しても高めることはできません。なぜなら、組織力の向上は個々人の協力なくして実現不可能だからです。
その一方で、メンバーの誰かが手を抜いたり、コミュニケーションを混乱させる人が一人いるだけで、組織力は簡単に損なわれてしまいます。したがって、強い組織にするためには強い組織と弱い組織の特徴を把握して、どうすれば組織力を向上できるのかを理解しておかなければなりません。
「組織力」と「チームワーク」の違い
組織力と似ている言葉に「チームワーク」がありますが、この2つはどのように異なるのでしょうか?
チームワークは組織力を構成する要素の1つであるといえます。したがって、チームワークは組織力そのものではなく部分的なものであり、チームワークを高めたとしても組織力の向上には直接的にはつながらない可能性があります。
つまり、弱い組織を強い組織に変えるためには、チームワークに注目するよりもまずは組織力にフォーカスして理解、強化していくことの方が重要です。
また、もしあなたの企業が成長している途中であれば、組織力の向上により効果的に規模の拡大が可能になります。
現在すでに規模が大きい企業だとしても、組織力の見直しは新たな課題の発見や成長のきっかけになるため、どのような企業においても組織力について考えることは欠かせません。
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近年、弱い組織から脱して強い組織へとなるために、組織力の向上に力をいれる企業が増えてきました。なぜ、組織力の向上が強く求められるようになったのでしょうか?
その理由は下記の2つにあるような、環境の変化に原因があります。
- ビジネス環境の変化が激しく予測がつかなくなった
- 働き方改革や新型コロナウイルスによるリモートワークやDXの推進
それでは一つずつ解説していきます。
ビジネス環境の変化が激しく予測がつかなくなった
まず組織力の向上が求められる要因1つ目は、組織や事業を取り巻く環境の変化が激しく、複雑化しており、予測がつかなくなってきたからです。
このような時代は「VUCAの時代」と呼ばれ、従来のビジネスモデルや価値観が通用しない時代とされています。「VUCA」は下記の4つの単語の頭文字をとっており、それぞれ予測が難しく先行きが不透明な要因を指しています。
- V:変動性(Volatility)
- U:不確実性(Uncertainty)
- C:複雑性(Complexity
- A:曖昧性(Ambiguity)
VUCAの時代より前の時代では、上記の要素が少なかったため、安定的で先行きを見通しやすく、物事はシンプルで単純明快だったのです。
したがって、ビジネスモデルやマーケティングなどはあまり複雑なものを用意しなくても、オーソドックスなやり方や正攻法で進めていけば、ある程度の成果が得られる「わかりやすい時代」でした。
ですが、2010年代になると環境の変化が激しく社会情勢の先行きが読めない時代に入り、ビジネスの世界で「VUCAの時代」という言葉が頻繁に用いられるようになるとともに、いままでの「正攻法」では成果をあげにくくなったのです。
これにより、あらゆる企業はどうすればVUCAの時代で利益をあげられるのかを模索しなければならなくなりました。なぜなら、VUCAの時代では誰も「正攻法」を知らず、そもそも正攻法が存在するのかもわからないため、自分で答えを見つけなければならないからです。
また、新型コロナウイルスにより2020年以降はさらに先行きが不透明な時代となりました。このような状況のなかで、組織が生き残るためには、新たなチャレンジを続けながら成長できる、強力な組織力が求められるようになりました。
働き方改革や新型コロナウイルスによるリモートワークやDXの推進
そして、組織力の向上が求められるようになったもう一つの理由は、社会的制約が増えたことです。
数年前から働き方改革によって働ける時間が減ったため、生産性を上げる必要性が急増し、その実現のために組織力の強化が重要な意味を持つようになったのです。
また、リモートワークやDXが推進され、ビジネスモデルや消費者の価値観も大きく変わったため、企業もこれに対応しなければなりません。
リモートワークでは業務の連携が難しいため、これまで以上に組織力の向上が欠かせなくなりました。
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弱い組織と強い組織の違いや特徴とは?
強い組織によくみられる風潮としては「打てば響く」ということが挙げられます。組織のトップが伝えたことを、従業員は自分ごととして考えて自主的・積極的に動くようになり、マネージャーも経営者が発信したことを推し進めるようにすることなどが強い組織の特徴です。
しかし、弱い組織ではこのようにはならず「笛吹けども踊らず」と言われる状態に陥ります。上司や社長が言うことに対して不満が出たり、従業員同士の信頼関係が構築できていないことが、弱い組織の特徴です。
それでは、さらに強い組織と弱い組織の特徴をそれぞれ詳しく解説していきます。
強い組織に見られる特徴や共有点
強い組織では、従業員一人ひとりが協力することで、組織として事業を進める強い原動力を生み出せることができます。
そのような組織においては、下記のような4つの特徴がみられます。
- 従業員の足並みが揃っている
- 人材の最適な配置ができている
- 従業員同士に信頼関係がある
- 上司と部下との間のコミュニケーションが活発
それでは1つずつ解説していきます。
従業員の足並みが揃っている
まず、強い組織の従業員は皆、足並みが揃っているという特徴があります。
組織には組織として何らかの目標や目的があり、経営理念やビジョンとして掲げられています。強い組織ではこれが組織の隅々まで浸透していることで、従業員が同じ方向を向き、足並みを揃えることができます。
スポーツに例えるなら、メンバー全員が優勝に向かって努力しているような状況です。組織においては、この「優勝」に代わる組織としての目標や経営理念を明確にし、従業員に浸透させなければなりません。
そうすることで、従業員の結束が強くなり、組織が掲げる目標に近づけるでしょう。
人材の最適な配置ができている
強い組織力を発揮するには、組織に所属する人材一人ひとりの能力が最大限に発揮されていなければなりません。なぜなら、人にはそれぞれ得意なことや苦手なこと、つまり強みと弱みがあるからです。
この個人の特性を把握したうえで、その人に最適な業務や役職を与える必要があります。こうすることで、誰かの弱みを補うことができる仕組みができあがったり、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。
また、自分が得意なことで組織に貢献できることは、従業員のエンゲージメントを高めるため、これもまた組織力の向上につながります。
従業員同士に信頼関係がある
強い組織においては、従業員同士の信頼関係が欠かせません。
先程解説した人材の最適な配置ができていたとしても、従業員同士の人間関係が悪く信頼関係が構築できていないのであれば、仕事を進めるうえで必要な連携が取れず、組織力が損なわれてしまいます。
また、従業員同士に信頼関係が構築できていれば、同僚が失敗した際に責めたりするのではなく、失敗を補えるように支援する助け合いが起こりやすくなります。このように組織内で協力する関係が自然と生まれることで、組織力が高まるのです。
上司と部下との間のコミュニケーションが活発
従業員同士の信頼関係があることも重要ですが、特に重要な人間関係は上司と部下の上下関係です。
上司と部下との間で信頼関係が構築できていれば、コミュニケーションが活発になります。つまり、部下が上司に対して意見を言いやすくなり、風通しの良い組織となるため、新しいアイデアやヒントを得やすくなります。
しかし、部下が上司に自分の考えを伝えられない組織だと、部下は主体的に動けるようにはなりません。自立的に動ける人材は強い組織において必要不可欠なので、上司と部下との間では活発なコミュニケーションが求められます。
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上記で見てきたような要素があれば、どのような企業でも機能するだろうと感じるはずです。では、対して弱い組織ではどのような特徴や共通点があるのでしょうか?
弱い組織の特徴が、下記の2つです。
- 組織のビジョンが従業員に浸透していない
- 従業員同士でコミュニケーションがとれていない
それでは1つずつ解説していきます。
組織のビジョンが従業員に浸透していない
強い組織では組織のビジョンや経営理念が従業員に浸透していますが、弱い組織ではそうではありません。
ビジョンが浸透していない、理解できていない場合は従業員の行動がバラバラになってしまいます。
従業員同士でコミュニケーションがとれていない
従業員同士のコミュニケーションがとれていなければ、当然ながら強い組織にはなりません。
同僚との関係や上司と部下との関係を良好に保ち、お互いに助け合い、信頼し合うためにも、ある程度のコミュニケーションが必要になります。
弱い組織から強い組織に変えるためにするべきこと
上記の強い組織と弱い組織の特徴をみて、あなたの組織はどちらにあてはまったでしょうか?
もし弱い組織だとしたら、これから弱い組織から強い組織に変えるためのするべきことを解説しますので、是非参考にしてみてください。
組織のビジョンや経営理念を設定する
まず、強い組織にするためには従業員の足並みを揃える必要があります。そのためにも、組織のビジョンや経営理念を設定しましょう。
組織がどのような価値を創造し提供するのかを明らかにして、行動の指針となるようなビジョンを掲げることにより、従業員が目指すべき方向が定まり、「組織において自分がするべきこと」が明確になるため、一致団結しやすくなります。
組織の課題を明確にする仕組みをつくる
組織力を強化するには、組織に潜む課題や問題点を明らかにしなければなりません。
したがって組織が今、どのような状態にあるのかを理解して課題を探り、明らかにしたうえで、解決のための対策をする必要があります。
課題を解決する際の注意点としては、一度解決したら終わりではないという点です。組織の運営においては課題は絶えず発生するため、課題を明らかにして解決し続ける仕組みを構築することが求められます。
従業員のモチベーションを保ち続ける
強い組織にするためには従業員のモチベーションを保ち続けることが重要です。
気をつけるべきことは、従業員のモチベーションを「上げる」のではなくて、「保つ」ことにあります。なぜなら、「高いモチベーションを保つ」ことは難しいことだからです。
したがって、現時点のモチベーションを下げることなく維持し続けることがポイントになります。
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