『規律なき拡大は破滅への道』識学がもたらしたトップの変化|株式会社 美咲 代表者 宮川傭平

ー御社の事業について簡単にお教えください。

認知症高齢者グループホームを中心とした介護事業を関東・関西、合わせて15施設、運営しています。従業員数は正社員・パート合わせて約300名。創立15年目で代表者は私が3人目になります。

ー宮川さんのこれまでの経歴を簡単にお教えいただけますか?

私は主に介護業界、デザイン業界経験を経て、現在所属のグループに入社しました。

今年で13年目になります。現場管理者を経験した後、本社に異動となり、部長として8年間、運営管理部門や新規事業開発部門に携わりました。

その後、3年前に株式会社美咲の代表取締役に就任し、現在に至ります。

ー代表取締役に就任されたとき、どのような点に注力していこうと思われましたか?

社長就任時は、私を含めた美咲の社員が利用者様にとっての第二の家族となり、利用者様や、そのご家族たちが「人生の最終章をここで過ごせて良かった」と想って頂ける場所をつくりたい。そう思いました。

その為にまずは、自分が先頭にたち、今まで以上に社員に寄り添い共に頑張っていくことが大切であると考えていた気がします。

美咲10周年に開催した謝恩パーティーでは、社員のみんなと楽しい時間を過ごし、その想いや考え方はさらに強くなっていきました。ところが肝心の業績が上がるどころか、横ばいからやや下降気味だったんです。でも、その原因はすべて自分の中にある数々の錯覚のせいだったんですね。

ーそこに向けて、何か問題点や課題感はお持ちでしたか?

今思えば、大きく二つあって一つ目は輪が崩れる恐怖を感じていたように思います。

しかしながら本来、会社は仕事をする場所であって仲良く過ごす場所ではありません。それにもかかわらず私は、社員の働きやすさばかりを考えていたように思います。その結果、不必要な飲み会を開催したり、モチベーションをどうすればあげられるのか?そんなことばかり考えるようになっていました。まずはそこを解決しないと業績は上げられないと考えていたのですが、実は順番が逆だったと。

つまり「良い成果が出たから」「試合に勝ったから」「目標を達成したから」モチベーションが上がるというのが正解ですよね。

もう一つは、非常に属人的な組織だったことです。以前は仕事の内容が特定の人に偏ったり、依存するようなスタイルでした。その為、重要な役割を担っている人が交代する度に、仕事のやり方やルールが変わってしまいました。結果、現場を右往左往させてしまう事も多かったと思います。その原因として考えられるのは、役割に人をつけるのではなくて、いわゆるデキる社員、適格者に役割をつける。そんな人事・組織作りをしてきたからかもしれません。でもこのやり方では、退職や人事異動などで人が抜ける度に、組織が回らなくなります。

だから結局自分が全部やる。みたいな感じで独り相撲状態でしたね。ついには「宮川さんは何でもかんでも手を出し過ぎですよ」と社員から怒られちゃったこともありました。良かれと思ってやってたんですけどね(笑)

ー識学を学び始めたときは、どういう印象をお持ちだったでしょうか?

導入前は「絶対にやりませんよ」と営業の方に断りをいれた上でお話を聞きました。

というのも識学的には「上司は部下のモチベーションを上げなくてもいい」とか、「プロセスは評価をしなくていい」いうことだったのですが、それらは自分の考えとは完全に真逆だったからです。

その一方で、もしかしたら自分に原因があるのかもしれない。という気持ちがふつふつと湧いてきたことを今でも鮮明に覚えています。

たしかに飲み二ケーションだったり、部下のメンタル面を24時間365日支えることは、決して楽なことではないんですよね。当時の自分もコンディションを崩しがちでした。もしかしたら世の中のリーダーが疲弊していく原因の一つには、飲みにケーションやモチベーションの維持など、仕事以外の事でも、ありとあらゆることを背負わなければならない環境にあるのかもしれません。

識学を導入することで、次世代を担っていくリーダーたちが潰れていかないような組織体制を作ることができるのならば「うまくいくかどうかは、やってから考えればいい」「今のマネジメントスタイルとは真逆の理論を受け入れることで両極端を経験できる」そうすれば結果的にマネジメントスタイルの幅は広がると考え、その場でまさかの即決をしちゃいました。あれだけやらないといってたのに(笑)

ただ、一方で昨今、世間一般で流行っている「モチベーションあげていこう」みたいな考え方とは真逆なので、心のなかでは「本当に大丈夫かな、組織がボロボロにならないかな」と、正直不安にもなりました。

ですが組織の未来、職員の未来を考えたときに今このタイミングで識学的な考え方をインプットしておくことは、まさに7つの習慣にある「緊急ではないが重要なこと」であると感じました。そこからの決断と実行は早かったと思います。

ー識学を入れて変わったことはありますか?

私のマネジメントスタイルが一番変わりました(笑)
それまでは良かれと思って、役職を飛ばしての報連相もよくしていました。

識学用語でいう「一つ飛ばし」を指しますが、一つどころか「二つ飛ばし、三つ飛ばし」をしていたんです。

ただ、このように私が部課長を飛ばして、管理者や現場職員に直接指導、助言したり、相談に乗るなどしていたことが原因で、当時の美咲は組織が機能不全になってしまっていたんですね。良かれと思ってやっていたのですが、これは完全に自分の責任だと猛省しました。

識学導入後は即、自分の部屋をつくり、社員との距離感をしっかりと作ることから始めました。グループチャットから抜けたり、目的のない飲み会には一切いかないなど、まずはすぐに修正できる自分の言動・行動から徹底的に見直しました。

部屋の壁と手帳に「俺のルール」という貼り紙をして「自ら手を出さない」「プロセスを評価しない」「一つ飛ばしをしない」など、絶対にしてはいけないことを視覚化して、毎日自分に言い聞かせてましたね(笑)

とにかく組織を変えると決めたのは自分なんだから、まずは自分の言動・行動を社員がビックリするレベルまで変えようと覚悟を決めました。

ただ自分が前に出るのをやめても会社は問題なく回るんですよね。

その時は、一抹の寂しさを感じながらも、自分が本当にやるべき仕事は何なのか?ということにやっと目を向けられたような気がします。あの頃の自分は自分が率先垂範で仕事をすることで、市場からではなく、社員から存在意義を獲得しようとしていたのかもしれません。

今振り返ると、かなり属人的マネジメントをしていましたが、自分の言動・行動を変えるだけで組織内の機能不全は自然と解消されたように思います。

これまで色んなマネジメント論を取り込んで実践してきましたが所詮は独学です。

色んな理論をアラカルト料理のように組み合わせていました。

でもこれでは一貫性が生まれませんし、あまり色々なものを併用しようとすると管理が煩雑になってしまうんですよね。

毎日何か実用的なマネジメント理論はないかと探し回っていたときに「識学」との出会いがあったんですけど、これは運命だったのかもしれません。

守破離という言葉がありますが、まずはマネジメントの土台を識学から学び、最終的に美咲ならではの最適バランスを見つけていけたらと考えています。

ーその結果、実感できるメリットなどはありましたか?

メリットだらけでしたね。

やはり、一番は組織のスピードが上がったっていうところです。

ー組織のスピードが上がるとは具体的にどういうことなのでしょうか?

指示の浸透速度が上がりましたね。

組織として方針転換が素早くできるようになりました。

美咲にもルールがないわけではなかったのですが、あいまいだったり、上司が取り締まり切れていなかったり、特例措置などがあったことは認めざるを得ません。

赤信号は「止まれ」であって、どれだけ急いでたからといっても信号無視をしたら許されませんよね。そういった誰でもできる当たり前のことをやる。ということからもう一度「しっかりやっていこう」と本社職員にまず話をしました。

幸い美咲では上司部下間の位置関係はしっかりしていましたので、導入から実行まで特に苦労した記憶はありません。そのことについては本当に感謝しています。

まずはルールを守ることを徹底する。このことについては現場管理者からも「会社からしっかりルールを打ち出してくれる方が楽」という意見もありました。

一方で「こんな当たり前のこと貼るんですか?」という意見もありましたが、人の認識は想像以上にズレがあります。

たとえば「整理整頓をしよう」とか「なるべく早く」というような伝え方では、人によって感覚がバラバラですよね。そういった認識のズレをなくすルール作りを心掛けました。このように識学を入れたことで、人それぞれの価値観で議論することがなくなり、ルールと仕組みで運営していくスタイルに移行することができました。

あと、よく議論される内容に「仕事ができる人はどんな人?」いうものがあります。

たとえば、スキルが高い人、コミュニケ-ション能力が高い人、資格がたくさんある人、知識が豊富な人など色々ありますが、どれも間違いではありません。

このようにこれまでは、一つ一つの言葉の定義が人それぞれの価値観に基づいていたのが、識学導入によって、美咲では仕事ができる人というのは「直属の上司の求める成果を出せる人」なんですよと認識を合わせることができるようになりました。

これらのことを着実に修正していくことによって、部下との間で、仕事に関する言葉の定義で認識のズレが発生しにくくなりました。それが組織のスピードが上がった大きな理由ですね。

やはり、なかには反発もありましたが、全ては会社の成長のためにやっているので、そこは自分に対しても、心を鬼にして絶対に軸がブレないように心がけました。

ちなみに美咲の姿勢のルールには人と話す時は腕を組まないというものがあります。記事内の写真はインタビューっぽさを出す為なのでご了承ください(笑)

ー売上や利益率に影響はありましたか?

売り上げは上がりましたが、まだまだ課題はあります。

識学導入から一年間は、ルール順守の徹底から着手しました。

今後は各社員の役割と責任を明確にした識学の評価制度の本運転をもって、それぞれの目標達成率を上げていかねばなりません。そのためにすべきことは多々ありますが、大切なことは社員に対して「求めている成果」を明確にすることです。

それぞれの社員が、自分が何をすればよいのか?を分かっていなければ、当然迷い・ロスタイムが生じます。それでは組織のパフォーマンスが上がるはずはありません。識学の評価制度はおおげさではなく、渋滞していた道路を一気に交通整理してくれたような感覚がありましたね。

ー他に変わったことはありますか?

採用に「識学サーベイ」を活用するようになったことですね。

今までは社員の採用や人事を考えるときに、面接担当者の感覚に頼らざるを得なかったんです。でもそれだけで優秀な社員を見極めるのには正直不安がありました。

「働いてみないとわからない」なんてある意味、ギャンブルみたいなものですよね。

これまでは、採用するときの基準が経験年数、資格プラス、フィーリングが合う合わないみたいな感じで、とても曖昧だったんです。

そういった部分を定量的に数値のとれる識学サーベイを軸にすることで、明確な採用基準を持って採用活動を進められるようになりました。

その中で特に重視しているのは自己評価が高いかどうか?組織内の位置認識がズレていないか?他責思考ではないか?の3点です。

仕事は年数がたてば誰でもある程度の水準には到達できますが、組織人としての資質はあとで変えようがない部分がありますのでね。

強い組織をつくるためには、メンバーの素質を初期の段階でしっかり見極めておくことが非常に大切だと考えています。識学導入から2年半が経過しましたが、識学サーベイの点数とパフォーマンスの質が酷似してきました。テスト結果の信憑性は高いと感じます。

ーもし、同じような立場の方に識学を勧めるなら、どのような言葉をおかけになりますか?

組織は人間の体に似ていると思います。

まずは骨格である組織図に歪みを正さなければ、正しい位置で内臓や筋肉は機能してくれません。そのためにはまずリーダーの言動・行動を修正することが必要だと思います。『規律なき拡大は破滅への道』という言葉がありますが、やろうと思えば誰でもできるルールを守れない集団が何かを成し遂げるなんてそもそも無理がありますよね。識学は何もむずかしいことをするわけではありません。

簡単に言うなれば、とにかく規律を守り実行と修正をひたすら繰り返していくだけのことです。この習慣が身につけば自ずと組織の歪みは矯正されるのではないでしょうか。また、どんな人でもリーダーになって、マネジメントすることができます。

たたでさえ人手不足で大変な世の中ですから、今後は属人的な組織つくりからの脱却し、極論誰でも回せる組織つくりをしていくことが重要なポイントだと思います。

会社の拡大・成長を目指すのであれば、ぜひ一度、だまされたと思って識学マネジメントを体感してみて下さい。