ヒトは、喜怒哀楽を表現する感情の生き物である。
普段は温厚で冷静沈着なビジネスパーソンのなかにも、たとえば理不尽な要求を突きつけられた時、同僚や部下を緊急制止する時などには声を荒げてしまうこともあるだろう。
私も若いとき、仕事中に運転の仕方で、先輩に声を荒げられた経験が一度ある。
当時はまったく共感できていなかったが、15年ほど経った今、なんとなくではあるがそのように解釈、そのことに感謝できるようになった。
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目次
社内会議における議論のあり方とは?
だが、強い感情を絶対に出してはいけないシーンがある。
それは社内会議の議論(ディスカッション)の場だ。
会議は
・会社運営
・事業計画
・予算管理
に関するディスカッションが行われる。
そのため参加者は、業績のために何がベストかを話し合うことを優先しなければならない。
逆に
・論破すること
・個人攻撃すること
は会議の目的ではない。
ビジネススクールを展開するグロービスの著書にこんな一節がある。
ディベートであれば、勝ち負けを競うものですから戦いになっても問題はないのですが、社内の会議は本来「企業価値を向上させる」という同じ目的を持つ仲間同士のはずです。議論はやはり会社にとってよりよい方向性を打ち出すべきものでしょう。
引用:『MBA100の基本』グロービス著 嶋田毅執筆 282頁
つまり「会社を盛り上げ、事業プロジェクトを成功させよう」という同じ目的を社員全員が共有し、お互い信頼・協力しなければ、会社もまた真の成功を得られないことになる。
間違った議論で信頼と協力を失う
過去に私は、上司・同僚から思いがけず個人攻撃・人格否定ととれる発言をもらったことがあった。
私も応戦したが、信頼をしていた人たちからの言葉だっただけに正直、胸をえぐられた。
今思えばその日を境に、上司・同僚を信頼する気持ちは徐々に薄れ、本音で話すこともなくなった。
だが、「国会でさえ、感情のぶつかり合いになっているではないか」という方もいるかもしれない。
しかしながら国会議員同士の感情のぶつかり合いは、有効である。
その理由は2つ、まず国会では議論ではなく「討論(ディベート)」が行われていること。議論と討論は違う。
そして2つ目の理由は議論の当事者が、与党と野党の議員同士だからだ。
〔議員の発言表決の無答責〕
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
引用:日本国憲法
各政党が感情に訴えて討論をするのは、職務の一つといえる。
もしも政党間での討論が穏やかな話し合いばかりであればそれは、飛躍しすぎかもしれないが一党独裁政治となんら変わりがないのではないだろうか。
では、具体的には会議でどのように議論を行えばよいのだろうか。
議論前にやるべきこと・注意点
堀江貴文氏の著書には“無駄な会議をやめる三原則”として次のように書かれている。
①解決したい問題を明確にする(能書きは捨てて、結論を先に言う)
②必要な情報を集める
③感情論を排しロジカルに判断する
引用:『多動力』堀江貴文著 138頁
まずは会議の目的(解決したい問題)を全員で共有する。
その際、議論と討論の違いを説明し、さらに「会社や事業プロジェクトを最善な方向に持っていくには?という視点でご発言願いたい」と伝えることも重要だ。
もちろん議論に入った際も注意が必要だ。
議長は個人攻撃が見受けられたときは即座に制止しなければならない。
また議論から賛成・反対の二派に分かれたときも、その対立が激化しないように、なるべく感情を排し、ロジカルな議論へと誘導し見守る必要がある。
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