この記事をお読みの経営者・管理職の皆さんは後進の育成という重大なミッションを抱えていらっしゃるかと思います。ただ、「後進がなかなか育たない」「忙しくて教育する暇がない」こういったお悩みを抱えている方も多いかと思います。本稿では後進の育成を最速で行うための手法を識学的に解説します。
目次
1.後進を「どの状態に」「いつまでに」するのかを定義する
よく、「後進がなかなか育たたない」という方に「何と比較して育っていないと感じるのですか?」とお尋ねすると、明確な回答が返ってこないことがあります。
当然ですが育てる立場の皆さんが、後進がどういう状態になったら良いのかが見えていないのに、後進となる部下たちがどういう状態になれば良いのか分かるはずがありません。
また、「いつまでに」という期限の設定をしておかないと、育成が進まずズルズルと後ろ倒しになり、いつになっても皆さんが現場の最前線に立たなければいけない状態となってしまいます。忙しくて教える暇がないという方は忙しくなくなることはあまり期待できないため、期限を明確に設けて(例えば11月からは、一人で商談に行く状態にするなど)、そこに向けて強制的にでもご自身を動かす必要があります。
2.「いつまでに」をさらに細分化する
1の項目で「どの状態に」「いつまでに」を設定した後は、さらに細かく「どの状態に」「いつまでに」を設定しましょう。イメージとしてはマラソンを3時間以内に完走するという目標に対して、10㎞地点でのタイム、20㎞地点でのタイム・・・のような形です。これを設定しておかないと、10km地点の段階で目標に対して想定より進んでいるのか、遅れているのかが分からずリカバリーが遅くなってしまいます。
また、途中地点でのゴールを設定することによって、部下自身も走りやすくなります。まだ育ってきていない部下にとっては最終ゴール地点は目測できないゴールのため、走っている途中で迷いが生じしてしまいます。ですので、途中途中のゴールを設定することによって、部下にはその途中のゴールまでを集中して走ることができる環境を作ってあげることが重要となります。
3.部下が迷っていないかを確認する場を設ける
これもよくある失敗例ですが、経験豊富な皆さんからすると「なんで分からないのかが分からない」「普通にやっていれば、これくらいのことは分かるだろう」こういった声をよく聞きます。当たり前ですが、皆さん自身と部下は別の人間です。別の人間なので趣味や嗜好が違うのと同じように「普通」という感覚も違います。ですので皆さん自身が現場でやっていた時には普通にできていたことも、部下には普通にはできない可能性もあります。ですので、定期的に部下が迷っていないかを確認する場を設けて、その場で部下に分からないことがないかを確認するようにして下さい。そこで上がってくる疑問点や仕事の進め方などが部下数名の間で共通しているなら、それが多くの部下が迷うポイントになるので、そのポイントに対して研修やマニュアルのようなものを作成すれば良いです。
この手法は「自分は普通にできたから教育の仕方が分からない」という皆さんにとって非常に有効な手法となります。また当たり前ですがせっかく確認する場を設けても皆さんが「そんなこと普通に考えたら分かるだろう!!」と感情的な発言をしたり、あからさまにイライラしていたりを見せると、部下は怖くなって聞けなくなるので特に確認する場においては感情を出さないようにご注意下さい。
また、定期的に迷いを確認する場を設けることによって部下の集中力を上げる効果もあります。数か月先の目標に向けて、集中力を低下させずに走り続けることができるようなハイパフォーマーな部下をお持ちの方は少ないですし、もしそういう部下なら本稿をお読みなっていないかと。部下達に「いつまでに」「どの状態」を設定し、定期的に進捗管理を行っていく。これを仕組みで回していく必要があります。
4.途中のゴール設定を適宜見直す
2の項目で、細分化したゴール設定をお伝えしましたが3の項目における途中経過の確認で想定通りに進んでいる場合もあれば、進んでいない場合もあるかと思います。想定通りに進んでいない時に重要なことは、次の途中経過までにリカバリー可能なのか否かをしっかり見極めるようにしましょう。
リカバリーできるのならば、部下にはリカバリーするためにはどうすれば良いのかしっかり部下本人に考えさせて約束することによって部下の成長が加速します。ですので不足が生まれた時に部下自身がしっかり次のゴールを見えている状態か否かを見極めて下さい。もし見えていないなと上司の皆さんが判断されるのであれば、途中のゴール設定を変更するか、さらに細かい途中までのショートゴールの設定をし、そこまで走らせるようにして下さい。
一番ダメなパターンは上司も部下も双方ともに「このゴール設定は不可能だな、でも一度決めたし今さら変更するのもどうなのか?」と思いながらお互いに未達の承認を暗黙でしている状態です。この状態だと当然、次のゴールまでにどうしようかと真剣に考えることはないので、育成は全く進みません。時にはゴール設定自体を変更する意思決定も必要になります。
まとめ
今回は後進の育成を最速で回すという観点でお話しました。マネジメントにおいて最速で実現していくための最低条件は「どの状態に」「いつまでに」という目標設定なります。上司の皆さんの期限意識以上には部下の期限意識は上がりにくいものです。しっかりとゴール設定をし、定期的に結果を確認する場を設け、リカバリーをどうするのかをしっかり部下自身に考えさせる。この仕組みを回すことが後進の育成を最速で果たす手法となります。
またこの仕組みがさらに後進に浸透した暁には、それこそ更なる後進達が勝手に成長を果たし、「後進が育ってきていないな」というお悩みはなくなっていることでしょう。
識学ではこの仕組みを回すことを「結果の完了」と呼んでいます。組織の中に結果の完了が回る仕組みを最速で作り上げることが、人材育成の一番の近道になります。