日々の業務の中で困難に直面したとき、はたまたマネージャーや経営者として、部下により成長を望むとき…。
ビジネスにおいて、この両方の課題を解決するのが、「ロジカルシンキングのフレームワーク」です。
論理的な物の考え方を苦手とする人も、まずは解決したい問題をフレームワークに当てはめて考える習慣をつけることで、ロジカルな思考を定着させていくことができます。
この記事では、実務の中で実際に役立つロジカルシンキングのフレームワークについてご紹介していきます。
目次
ロジカルシンキングのフレームワークとは?
ロジカルシンキングのフレームワークは、問題解決や意思決定をより体系的かつ理論的に行うための“道具箱”のようなものです。
これらのフレームワークは、情報を整理し、関連性を理解し、正確な結論を導くための枠組みを提供します。
それぞれのフレームワークごとに“得意なシチュエーション”があり、解決したい問題のタイプ毎にピッタリのフレームワークをあてはめれば、複雑な問題を整理し、論理的な解決策を考える助けとなってくれます。
フレームワークを習得する3つのメリット
ビジネスパーソンがロジカルシンキングのフレームワークを習得することには、以下のようなメリットがあります。
- 意思決定の質の向上
- コミュニケーションの改善
- 本質的な思考を促す
以下、順番に解説していきます。
1.意思決定の質の向上
ロジカルシンキングのフレームワークを習得することで、情報の分析と整理のプロセスを改善し、意思決定の品質を向上させることが可能です。
これにより、組織としてより効率的かつ効果的な結果を得られるようになります。
2.コミュニケーションの改善
ロジカルシンキングのフレームワークを活用できるようになれば、自分自身の考えを他の人へ理路整然と伝えることができるようになります。
また、フレームワークを身につけているビジネスパーソン同士の会話であれば、互いが知っている共通のフレームワークに基づいて議論することで、部署や役職が異なる立場同士でも効果的にコミュニケーションを取ることができます。
3.本質的な思考を促す
ロジカルシンキングのフレームワークを使って思考することで、表面的な現象や症状にとらわれることなく、問題の深層にある原因や本質に考えを巡らせることができます。
例えば、5W1Hやフィッシュボーンダイアグラムは問題の原因を分析するのに有用ですし、ロジックツリーは問題を紐解き、その根源を探るのに役立ちます。
思考のフレームワークを知る以前は表面的な思考をしがちだった人であっても、フレームワークの考え方に当てはめることで、対症療法ではなく根本的な解決策を導き出すことが可能となるでしょう。
実務に役立つ!ロジカルシンキングのフレームワーク5つを紹介
ここからは、実務でも役立てられるロジカルシンキングのフレームワークについて紹介していきます。
紹介するフレームワークは以下の5つです。
- MECE
- 5W1H
- フィッシュボーンダイアグラム
- ピラミッドストラクチャー
- ロジックツリー
以下、順番に説明していきます。
MECE
MECEというフレームワークは、「Mutually Exclusive(ダブりがない),Collectively Exhaustive(モレがない)」の頭文字を取って名付けられました。
このフレームワークでは、「モレなく、ダブりなく」という言葉の通り、全ての情報を重複なく、かつ完全にカバーするように分類することを目指します。
パズルに例えると、欠けたピースもなく、そしてお互いに重なって重複したピースもなく、全体を埋めて一つの絵を完成させるイメージです。
例えば、靴のメーカーが商品のターゲット層を分析する一環として、「ブーツを履く40歳未満の女性の客層」を分類するとします。
この時、「大学生」「会社員」「主婦」という3つの属性に分類した場合、「会社員かつ主婦(既婚)」という“ダブり”が生じたり、「3属性のどれにも当てはまらない個人事業主・フリーター」という“モレ”が生じたりと、分類が不適切であり、MECEとは言えません。
「会社員かつ主婦」という分類と「会社員ではない専業主婦」という分類に分割することで、MECEな分析が可能となります。
このように、MECEは、情報を整理し、重要な情報を見逃さないようにするための有効なフレームワークです。
5W1H
5W1Hは、「情報を正確に伝える」ために使われるフレームワークです。職場で上司や同僚を相手に説明している際、「自分が何を言っているか分からなくなってきた」という経験はないでしょうか?
あるいは逆に、「この人は何を言っているんだろう?」「もっと順序立てて話してくれないかなあ?」と感じたことがあるかもしれません。
5W1Hでは、「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「なぜ」「どのように」という順序に当てはめて話していきます。
話にまとまりがなく、言いたいことを整理して伝えることが苦手な人でも、5W1Hのフレームワークに沿って情報を伝えることで、分かりやすく、誤解を産まない情報伝達を行うことができます。
フィッシュボーンダイアグラム(イシカワ・ダイアグラム)
このフレームワークは「イシカワ・ダイアグラム」と呼ばれるフレームワークで、日本人の工学博士である石川馨氏によって考案されたものです。
魚の骨の図によく似たチャートを描いて問題を整理するフレームワークであることにちなんで、この名がつけられました。
フィッシュボーンダイアグラムでは、一つの問題に対してたった一つの原因だけでなく、いくつもの原因が考えられる際に、それら複数の原因を整理する際に用いられます。
フィッシュボーンダイアグラムを使うと、複雑な問題をさまざまな要素や影響因子に分解することが可能です。
それぞれの「骨」は、さらに細かい部分に分割することができ、より具体的な原因を特定するのに役立ちます。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッド原理は、情報をロジカルに構造化するためのフレームワークです。
結論と根拠を視覚的に分かりやすく図示できるフレームワークであることから、問題の分析というよりも、プレゼンテーションや会議などで相手に分かりやすく説明するためのコミュニケーションツールとして活用されます。
このフレームワークでは、結論を頂点に示し、その根拠となる情報を下に図示するという方法で構成されます。
ピラミッドストラクチャーを用いた図示の例
ロジックツリー
ロジックツリーは、問題や状況をより理解しやすい要素に分解し、問題の原因追求や解決方法の発見に活かすフレームワークです。
まずはテーマとする目標や問題を頂点(トップボックス)とした図を描きます。
頂点を基点として、その問題の原因として考えられる要素や、それを達成するために可能な手段を「枝」の形で分岐させていきます。
ロジックツリーを用いた思考の例
これにより、問題がどのように複雑化しているか、または目標を達成するために何が必要かを視覚的に理解しやすくなります。
また、どの手段や策が最も効果的であるか、どの部分に焦点を当てるべきかなど、戦略的な意思決定に役立てられるでしょう。
まとめ
ロジカルシンキングのフレームワークは、問題解決や意思決定の過程を整理し、明確化するための道具箱であり、ビジネス上のさまざまなシーンで活用可能です。
それぞれのフレームワークは特定のシチュエーションや問題に対して最適化されており、解決したいシチュエーションや問題に対して適切に使用することで、情報の整理、コミュニケーションの改善、問題の本質的な理解につながります。
これらのフレームワークを習得し使用することで、組織や個人はより洗練されたロジカルシンキングを実践することができるでしょう。