Webメディアを運営する上で欠かせないのがアクセス解析ツールです。代表的なアクセス解析ツールとしてはGoogle Analytics(以下、GA)が挙げられるでしょう。
しかしGAは、様々なデータを分析できる代わりに、使いこなすのが難しいツールだとされています。
そんな悩みを解決するのがAIアナリストです。本記事では、メディア担当者やマネージャーの方向けに、AIアナリストについて徹底解説していきます。
目次
AIアナリストとは?
AIアナリストは、GAで収集したデータを元に、AIが自動でWebサイトのデータを解析し、改善施策を提案してくれるツールです。
GAは様々なデータを収集できる一方で、解析や改善施策の提案は人間が実行しなければなりませんでした。その上、GAはレポートが見づらく、そもそもどのようにデータを見ればいいのかわからないという人も少なくありません。
しかしAIアナリストであれば、AIが改善施策を提案してくれるので、GAの解析に時間を奪われることはありません。
なぜAIが改善施策を提案できるのかと言われれば、それはAIアナリストが、37,000サイトを分析したデータを元にアルゴリズムを構築しているからです。
AIアナリストいわく、サイトの解析を実施すると100以上の分析項目がある一方で、コンバージョンを増やすことに関する項目は僅か5つのデータだけとのこと。つまりコンバージョンを向上させる施策は、実はある程度体系化されているため、AIアナリストのようなサービスが開発可能だったというわけです。
AIアナリストの3つの機能
AIアナリストの主な機能は以下の3つです。
- 成果が出るポイントの提案
- レポートの作成
- ワンクリックで実施できる効果検証
それぞれ詳しく解説していきます。
機能①:成果が出るポイントの提案
AIアナリストの機能として、まず挙げられるのが「成果が出るポイントの提案」です。37,000サイトを分析したノウハウを元に、改善施策が提案されます。
具体的には、以下の3つの領域で提案されるようです。
- サイト
- SEO
- 広告
サイトはその名の通り、サイトの構成に関する提案です。実際、フォントの大きさや表示速度、商品説明文などはコンバージョンや滞在時間に直結する要素だと考えられます。
SEOは「検索エンジン最適化」のことで、SNSが普及する現代においても、検索による流入は普遍的なアクセス経路だと考えられます。主にタイトルや見出しの構成が改善案として挙げられるでしょう。
そして広告は、誰に対してどのように広告を出した方がいいかを提案してくれます。ネット広告と一口に言っても、GoogleとInstagramでは傾向が大きく異なります。サイトや商品に合わせた広告を展開するのが鍵です。
機能②:レポートの作成
AIアナリストは、GA、Google Search Console、広告データなどと連携して、重要なレポートを全て自動作成する機能が搭載されています。集計工数がゼロなので、レポート作成の時間を大幅に短縮できるのは間違いありません。
また「デバイス」「性別」「年齢」「新規/リピーター」のように、分析対象を定義することも可能です。
機能③:ワンクリックで実施できる効果検証
AIアナリストでは、改善施策の効果検証をワンクリックで実施可能です。具体的には「改善前」と「改善後」のデータをワンクリックでレポーティングしてくれます。
どれだけAIアナリストが優秀だったとしても、改善提案を実施することで本当に改善されるかどうかは、やってみないとわかりません。
ただ、やってみないとわからないからこそ、PDCAサイクルはなるべく早く回した方が良いです。その点、AIアナリストであれば一発で効果検証できるため、PDCAサイクルの高速化に大きく寄与するでしょう。
AIアナリストのメリット
AIアナリストのメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 基本無料で利用できる
- Googleアナリティクスがわからなくても大丈夫
- コンバージョンに特化している
それぞれ詳しく解説していきます。
メリット①:基本無料で利用できる
AIアナリストは、一部の機能に限られますが、基本無料で利用できます。無料版と有料版の比較は以下の通りです。
無料版 | 有料版 | |
今月の進捗 | 利用可能(制約あり) | 利用可能 |
レポート | 利用可能(制約あり) | 利用可能 |
改善提案 | 一部利用可能 | 利用可能 |
施策管理・検証 | 利用不可 | 利用可能 |
以上のことから、無料版でもサイトの現状を把握することが可能になっていることがわかります。また、改善提案は一部利用可能となっているため、AIアナリストの雰囲気を十分に掴むことができるでしょう。
AIアナリストの導入を検討する際は、まず無料版から利用するのがいいかもしれません。
メリット②:Google Analyticsがわからなくても大丈夫
AIアナリストを利用することで、GAの使い方がよくわからなくても、アクセス解析が実施可能です。
筆者も仕事の関係でGAをよく利用しますが、たしかにGAは非常に使いづらいです。実に様々な観点でデータを分析できる一方で、とにかくデザインが複雑です。一体何を見ればいいのかも、非常にわかりづらいと言えます。
一方、AIアナリストであれば、GAが計測するデータの中で重要な部分だけを抜き取ってくれるので、誰でも簡単にアクセス解析を実施できます。
メリット③:コンバージョンに特化している
AIアナリストはコンバージョンに特化したアクセス解析ツールです。一般的にアクセス解析の最終的な目的は2つ。アクセス増加とコンバージョン増加です。この2つは似ているようで、アプローチは全く異なります。
その中でもAIアナリストはコンバージョンに特化したアクセス解析ツールとなっているので、最短距離で利益向上を目指すことが可能です。
AIアナリストのデメリット
AIアナリストのデメリットは以下の2つです。
- コンバージョンに特化しすぎている
- LP1ページだけだと効果が生まれづらい
それぞれ詳しく解説していきます。
デメリット①:コンバージョンに特化しすぎている
AIアナリストはコンバージョンに特化しすぎていることがデメリットとして挙げられます。
現代は多くの人がWebに触っているため、明らかに「商売臭い」デザインを判断できるようになっています。
例えばAmazonで自分の欲しい商品を探していると、ページの冒頭に「スポンサー」と表示された商品が表示されます。実際、その商品は本当に良い商品かもしれませんが「スポンサー」と表示されているために、ちょっと敬遠してしまうという経験が一度はあったことでしょう。
それと同じ現象が、AIアナリストの改善提案で発生する恐れがあります。
重要なのは、AIアナリストの改善提案は、あくまでも提案であることを認識することです。AIアナリストのアドバイスを参考にしながら、自然なデザインを構築するのが良いでしょう。
デメリット②:LP1ページだけだと効果が生まれづらい
AIアナリストが苦手とする領域として、ページ数が1ページしかないLPが挙げられます。
近年は、Web制作コストを節約するために、1ページだけで企業情報・商品情報などをまとめたLPが増えています。また、ページ遷移することがないので、離脱率が低いのもメリットです。
しかしAIアナリストが分析する項目の大半は「ページ遷移」によるものだとされています。そのため、1ページしかないLPだと、必然的に改善提案の数が少なくなってしまい、効果が生まれづらくなるのです。
AIアナリストの導入事例
ここではAIアナリストの導入事例を紹介していきます。
事例①:SCSK株式会社
住友商事のSIer企業であるSCSK株式会社は、AIアナリストを導入したことでPVが5倍になり、問い合わせ数も増加したとのことです。
SCSKは法人向け管理システム「CarePlus Cloud」を開発・販売しており、元々は自社及びグループ会社を中心に販売していたようです。しかし「このままだと販路を拡大できない」ということで、外販にも力をいれることに。ただし営業にリソースを割く余裕がなかったため、少人数で取り組めるデジタルマーケティングツールの導入を検討したそうです。
AIアナリストの導入の決め手となったのは「3ヶ月に1回の定例コンサルがあること」とのこと。実際、自社開発サービスとコンサルを組み合わせたサービスはAIアナリストの他にほとんどないようです。
結果的にSCSKは、PVが約5倍になり、半年に1件の問い合わせ件数だったのが月に1、2回と増えたそうです。
事例②:イーベイ・ジャパン株式会社
越境ECサイトを手掛けるebayの日本法人であるイーベイ・ジャパン株式会社もAIアナリストを利用している企業の1つです。
イーベイ・ジャパンが実施した効果検証によると、2020年9月から2021年4月の間で、記事からのセッション数が20から約40,000に。また、記事からのコンバージョンが無い状態から、期間中の累計で76件にまで伸びたそうです。
イーベイ・ジャパンは元々、サイトの運用改善のために様々なサービスを利用していました。しかしどのサービスも「こんなデータが出ている」と言うだけで、具体的な改善提案はほとんどなかったそうです。
このような状況の中でAIアナリストと出会い、コンバージョン増加に特化した施策を実施することに。結果的にアクセス数が大幅に伸び、コンバージョンも増加しました。
イーベイ・ジャパンが感じるAIアナリストの最大の価値は「自分たちには出せない施策を出していること」とのこと。企業理念とは異なるSEO戦略を提案され、当初は戸惑ったそうですが、改めてコンバージョンに特化することの重要性に気づくことができたそうです。
事例③:丸文株式会社
エレクトロニクス商社である丸文株式会社は、2022年4月にデジタルマーケティング推進室を立ち上げ、全社を横断したデータ分析を実現させるためにAIアナリストを導入しました。
やはり導入以前はGAのデータを見るのに苦戦していたようです。しかしAIアナリストを活用することで、データが非常にわかりやすくなり、デジタルマーケティング推進室だけでなく様々な部署でもデータを確認できるようになりました。
また、AIアナリスト導入以前はなかなか問い合わせに繋がらなかった状況も、改善されたそう。AIアナリストで「問い合わせのボタンを増やす」「問い合わせボタンをファーストビューに持ってくる」などの具体的なアドバイスを実施することで、課題を解決できたそうです。
現在は目先のマーケティングが最優先事項ですが、これからはブランディングなどのマクロ視点のマーケティングでもAIアナリストを活用したいとのことです。
AIアナリストのよくある質問
ここではAIアナリストのよくある質問について解説していきます。
AIアナリストを使えるサイトは?
AIアナリストは、基本的にどのWebサイトでも利用可能です。ただしGAのデータ分析に力を入れているサービスなので、GAを導入できるWebサイトが良いでしょう。例えば、他社製のブログサービスなどでGAを導入できないケースであればマッチしない可能性はあります。
退会する時にデータは消去される?
AIアナリストを退会する時は、AIアナリストのプライバシーポリシーに則って、データが削除されるようです。近年はプライバシー法が厳しくなっているので、データ保全には気を使うようにしましょう。
有料プランに必要な料金は?
有料プランは、プランに応じて料金が決定されるようです。具体的にはWebサイトの規模で料金が決定されます。そのため、料金が明確に定められているわけではありません。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- AIアナリストはGAで収集されたデータを元にAIが改善提案をしてくれるサービス
- AIアナリストは基本無料で利用できる
- AIアナリストはコンバージョン向上に特化したサービス
メディアを運営しているとブランドやビジョンを気にする方が多いですが、改めて、メディアを運営する目的を明確にしておいた方がいいでしょう。
もしメディア運営の目的が「コンバージョンの獲得」なのだとしたら、思い切ってコンバージョンに特化した方がいいでしょう。その際は、AIアナリストを導入してみるといいかもしれません。