期末の恒例行事といえば多々あると思いますが、評価もその一つです。ただでさえ忙しい期末ですから毎回大変ですよね。
まして、人の評価はマニュアル通りというわけにもいきません。
そこで、今回は評価の基準も併せて人事評価の書き方のポイントについてお伝えします。
目次
評価するということ
評価の書き方を考えるには、評価がどういうものであるかを理解する必要があります。
評価とは何でしょうか。また、どう考えるべきものなのでしょうか。
これらを知ることによって初めて、評価をする際に何を意識するべきか、何を見るべきか、どこに気を付けるべきかが見えてきます。
そもそも人は日々、自分の糧を最大化するために、もしくは維持するために活動しているのであり、その活動がどのくらいの糧を与えられるのに相応しかったかを会社が決定するのが評価です。
しかし、被評価者であるにもかかわらず評価を受けようという姿勢がない、反対に、評価者なのに評価をしようという姿勢がない人がいます。
これでは評価というものがそこには存在しません。それが評価をすることや評価表を記入することを難しくしているのです。
「評価を受ける」と認識している人は自分の何を評価してもらいたいか日々考えています。
その過程でうまくいったこと、うまくいかなかったことの自覚もあります。
「評価をする」と認識している人は「〇〇ができるようになったらよい評価を与える」とか「〇〇を成し遂げてくれたら高く評価する」と、よい評価を付けるとするなら何をしたときか、というものを設定しているのです。
そうなっていれば後は〇と×を付けるだけですから簡単です。
したがって、まずは評価者と被評価者が自分の立ち位置を期が始まる際にしっかり認識するようにしましょう。
評価の基準・仕方
その認識を持ってスタートしたなら、それを定期的に意識させましょう。
評価期間の長さにもよりますが、人は自分が何で評価を受けるのか忘れてしまいがちです。
そうなると「自分は頑張っているつもりなのに評価をしてもらえない」と考える部下が現れ、離職してしまうかもしれません。
大事なことは評価の認識のすり合わせを短いスパンで行っておくことです。
例えば評価期間が半年である場合、半年間何もせずに最後で「あなたは〇〇だった」と評価すると、どうしても互いの認識の溝が開きやすくなります。
できれば毎月、最低でも3カ月に一度は中間での評価見込みのようなものを作成するための打合せをして、互いの認識を近づけておきましょう。
時間は取られますが、最後にまとめてやったことで発生する修正や、不納得によるパフォーマンスの低下、離職によって発生するコストに比べれば微々たるものです。
また、認識の違いが発生しないような評価基準にしておくことを忘れてはなりません。
例えば「売り上げ」「件数」「人数」のように定量的に達成できたかどうかが測れるものでも、達成したかしていないかだけではなく、ハイ達成とぎりぎりでの達成、ぎりぎり未達と大幅未達では価値が違うため、それぞれの評価がどうなるのかまで決めておきましょう。
それと、「積極性」や「主体性」のような定量的ではない評価項目は、何ができれば積極的と見なすのか、何ができれば主体的と評価されるのかについて、100点の状態を可能な限り示しておく必要があります。
つまり、評価しにくいものをいかに評価するかではなく、評価しやすいように基準を作って評価していく方向で考えることが、評価の基準、評価の仕方においては重要な考え方なのです。
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評価の書き方
この項では具体的な評価の記入例を示していきます。
いったんここまでの内容をまとめると、
- 評価者と被評価者がそれぞれの立場を認識していること
- 何で評価されるのかの基準をできるだけそろえ、短いスパンで互いの現状の評価認識をそろえておくこと
となります。
この前提の下であれば、評価表には以下のテンプレートを用いることができます。
この四半期の評価になります。
この四半期が始まる前、(被評価者)には
- 個人の売り上げを3000万円(40点満点・3000万で24点そこから±200万毎に±4点)
- 新規の顧客を10件獲得(30点満点・10件で18点獲得そこから±1件ごとに±3点)
- 協調性を持ってしっかり他部署と連携しながら円滑に業務ができるようになること(30点満点・別シートに基準を記載)
の3点を評価する項目として伝えました。
その結果1については28点・2については15点・3については24点の獲得となり合計67点となりB評価となります。
このようにそれぞれが評価者・被評価者という認識を持っている上で、求めていることが明確に伝わっていれば、最後は事実のみを淡々と記入するだけになります。
これに「私はさらなる飛躍を期待しています」や「物足りないと感じています」のようなことを書く必要はありません。
何をすると何点になるかを事前にすり合わせてありますので、何を書こうがその点数以上にも以下にもできないからです。
もし企業ごとの習慣や規則によってフリーテキストで書かなければならないのだとした場合は、何かを書かなければなりませんが、主要な評価は上記で完了していますので、それこそ「適当」に書きましょう。むしろ適当なことの方がよいかもしれません。
なぜかというと、できていない人に励ましを与えたり、期待をしているかのようなことを言ったりすると、「できていなくても必要とはされている」のような誤解を生む恐れがあり、それがその人の現状を打開しようとする推進力を弱めてしまうことになりかねないからです。
内心では期待をしていて、励ましを与えたい気持ちがあっても、そうならないように気を付けた上で体裁を整えるための文言を適当に記入しましょう。
納得感を醸成するために
評価の話で「納得感を醸成する」という話題になると、評価をした後に納得感を持たせるためのテクニックが書かれることが多いですが、これまでをお読みいただければ、評価後よりも期が始まる前の準備の方が大切だとお分かりいただけると思います。
その準備をしっかりしておいて、中間で現状の認識を合わせておくようにすれば納得せざるを得ない状況ができますから。
ただ、もう期は始まってしまっていて、時既に遅しという方もいるでしょう。
残念ながら、事前の準備をせずにスタートして評価に納得できない人を鎮める方法は正規にはありません。
やるとすれば、力技、泣き落とし、代替物(将来の約束や「本部は期待している」のような本人が本来知りえない情報など)しかないのではないでしょうか。
これでは、評価者のなかにもそれらができる人、できない人が生まれてしまいますので、組織全体で納得感を醸成していくことにはならないのです。
とにかく事前の準備が重要だということを肝に銘じてください。
ここまで、人事評価を書く際のポイントや評価の基準、評価の仕方についてお伝えしてきました。
事前の準備の話では、事後のトラブルを起こさない、もしくは終息させるための話ではありませんでしたので、がっかりした方がいるかもしれませんが、評価をスムーズに行い、互いに納得してその後の仕事につなげていこうとするならば、事前の準備をしっかり行っていくしかないのです。