目標を設定し、その達成のために取り組んだ後は、取り組みの過程や結果がどのようなものだったのかの「振り返り」が重要です。
目標の振り返りをしなければ、達成できなかった場合は「なぜ達成できなかったのか?」がわからず、達成できた場合は「どうすればさらに改善できるか?」がわかりません。
しかし、実際のビジネスの現場においては目標の振り返りが行われていなかったり、していたとしても形骸化していたりすることも少なくありません。
そこで本記事では目標の振り返りについて、
- 行う効果や重要性
- メリット
- 手法やツール
- 面談で効果的に行うポイント
などを解説していきます。
目次
目標の振り返りを行う効果とは
目標の振り返りとは、設定した目標を達成するための取り組みやその結果に対して分析や反省を行うプロセスのことです。
例えば、1週間または1ヶ月に1度、チームや職場の従業員同士で目標の振り返りを共有することで、
- お互いの取り組み方や意見を話し合うことによる改善効果
- 「自分には仲間がいる」という帰属意識や安心感につながる
といった効果が期待できます。
「振り返り」と「リフレクション」の違い
「振り返り」と混同されがちな言葉に「リフレクション」があります。
リフレクションとは、日本語で「内省」を意味する言葉であり、人材教育において使用される言葉です。
具体的には、業務から一度距離を取って自身の仕事の取り組み方や、行動、考え方などを客観的に見つめ直すことを指しています。
一方で「振り返り」は、自身が行った取り組みや活動などのアクションを見直して、そこから得た知見や改善点を次のアクションに活かすニュアンスが強いです。
関連記事:リフレクションとは?フィードバックや反省との違いも解説
重要性
ビジネスにおいて目標の振り返りが重要な理由は、組織の成長につながるためです。
現時点のパフォーマンスで達成できる目標だけに取り組んでいては、人も組織も成長することはできません。
組織の成長には、「達成できるかわからないが、達成が見込める高い目標」を達成し続ける必要があります。
このような目標を達成できなかった際に、振り返りを行うことで成長を目指すことが重要なのです。
目標の振り返りを行うメリットとは
目標の振り返りによるメリットとしては、「課題の発見による業務改善」が挙げられます。
目標の達成・未達成を問わず、一つひとつの行動に対して振り返りを行うことで、
- その行動にどのような意味や効果があったのか?
- さらに改善できるポイントはないか?
などがわかります。
こうしたプロセスを繰り返すことで、少しずつ業務効率や生産性向上につながっていくでしょう。
2つ目のメリットとしては、モチベーションの維持・向上につながる点が挙げられます。
目標が達成できなかった場合に原因を分析して改善点を見つけることで、自身の成長を実感できるため、モチベーション高く業務に取り組めるでしょう。
目標の振り返りを行わないことで生じる問題とは
しかし、目標の振り返りを行わない、または形式だけの振り返りになっているケースは少なくありません。
この場合に生じる問題点としては、組織の成長や業務の改善につながらないことです。
理想と現実のギャップがわからなければ、業務を改善することはできません。
つまり、目標に対して自分がどの程度できていたか、またはできていなかったかを振り返らなければ、課題を見つけられないため、改善のしようがないのです。
また、適切な難易度の目標設定ができなくなる点も問題として挙げられます。
あまりにも高い目標を設定して達成できなかった際でも、振り返りを行わければ、その原因が目標が高すぎたせいなのか、自身の取り組み方のせいなのかがわからなくなってしまうのです。
このようなことを避けるためにも、目標の振り返りは重要な意味をもちます。
関連記事:目標管理とは?メリットとデメリット、取り入れる際のポイントやツールも紹介
目標の振り返りにおける基本的な理論とポイントとは
ここでは、目標の振り返りにおける基本的な理論とそのポイントを見ていきましょう。
経験学習モデル
経験学習モデルとは自分の経験から気づきを得る理論のことで、下記の4つのプロセスを経て人は成長していくとしています。
- 具体的経験:本人が自ら考えて行動して経験する
- 内省的省察:行動の結果や行動そのものについて内省する
- 抽象的概念化:内省によって得た気づきを他のシーンでも活用できるように抽象化する
- 積極的実践:抽象化した気づきを実際に活用する
このプロセスを繰り返すことで成長や発展を促します。
ジョハリの窓
ジョハリの窓とは自己分析のための心理学モデルであり、自分に対する理解を下記の「4つの窓」に分けています。
- 開放の窓:自分も他人も知っている自分のこと
- 秘密の窓:他人は知らず、自分だけが知っている自分のこと
- 盲点の窓:他人は知っていて、自分だけが知らない自分のこと
- 未知の窓:他人も自分も知らない自分のこと
目標の振り返りにおいては、自分がまだ気づいていない自分のクセや考え方に気づくことが重要となるため、「盲点の窓」と「未知の窓」がポイントになります。
識学的視点:目標の振り返りを行うためのポイント
そもそも、目標を立てるうえで注意すべきポイントがあります。
それは、その目標が〇か×かで判定できるものにしておくことです。
例えば、下記3つの例を考えてみてください。
- 100mを走り切る
- 100mを全力で走り切る
- 100mを12秒で走り切る
このうち、結果が明確になっているものはいったいどれでしょうか?
正しいものは3番です。それ以外は結果が明確になっていないのです。
例えば1番は100mを走り切ることが目的になっており、期限が明確になっていません。
時間をかけてでもとにかくやればいいという考えは、社員の生産性をふまえた上であまりよい目標とはいえません。
2番は一見よさそうな内容にも見えますが、「全力」というのが曖昧です。
例えば、本人からとってみれば「全力」であったとしても、その上司から見れば「全力」にはみえないかもしれません。
上記のような目標は、見る人によって〇、×が変わります。よって、贔屓をしている、していないのような問題が発生してしまう恐れがあるのです。
識学的視点:目標の振り返りを効果的に行う面談のポイント
目標の振り返りをする際は、結果が出てからにするのがオススメです。
よく目標を達成するまでの経過に口を出してしまう上司がいます。
- 僕のころはこんなふうにやっていたけどね
- こんなふうに進めると結果が出ると思うよ
このように、結果が出る前に目標を達成するための方法に口を出してしまうと、下記のような弊害があります。
- 上司の言ったとおりにやったのにうまくいかなかった(=免責発生)
- 困ったら上司に聞けばいい(=自分で考えなくなる)
- 常に上司が助けてくれる(=上司のマネジメントコストが膨大になる)
つまり、目標を達成するまでの経過に口を出すことで、上司の時間がいくらあったとしても足りない。
部下が成長しないという組織の硬直状態を生み出してしまうということです。
このため、目標の振り返りは必ず結果が出てからにしてください。
また、結果が出た後に、目標を達成していればそれ以上口を出さない。
達成していなければ、不足部分を明確に認識させ、どうすれば目標を達成できるのか改善策を考えさせる。
上司が問題ないと判断した場合は、その改善策に承認を出し、再度走らせる。
このようにシンプルに進めることで、目標の振り返りを効果的に進めることができますよ。
関連記事:部下への正しいフィードバック方法とは?手順やポイント、注意点を解説
まとめ:目標の振り返りは結果が出てから
本来、立てた目標に対して少しでも近づくためには、集中して目の前にある業務をこなす必要があります。
そこに「達成できなかったらどうしよう」といった感情は必要ありません。
しかし、上司が経過に介入することで、部下が経過を必要以上によくみせようとする。
あるいは、言い訳が発生してしまうことが多々あります。
部下の目標の経過に介入してしまうと、本来達成すべき目標に割くべき時間が減ってしまうことを上司は把握しておくことが大切です。
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