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内製化とは?目的やメリット・デメリットをわかりやすく解説!

内製化とは

日本企業はITシステムを開発する際、内製ではなく外注を選ぶ傾向があります。

ITシステム開発を外注することにより、リソースを主力事業に集中できるためです。

しかし、現代社会ではスピードが求められているため、その都度の外注では時代の速度に追いつけなくなっています。

また、ノーコードツールやクラウドの登場により、内製化のコストもダウンしているため、内製化を進める企業が増えているようです。

そこで本記事では内製化について解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。

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内製化とは

内製化は、外注していた業務を自社で行うようにすることです。

内製化を進めることで、コストの削減、スピーディーな意思決定などのメリットが得られます。

また、社内で専門家を育成することで、ノウハウも蓄積できるのも特徴です。

内製化は英語で「insourcing(インソーシング)」と言い、アウトソーシングの対義語にあたります。

内製化の具体的なシチュエーションとしては、自社生産へ切り替え、外部委託の中止などが挙げられます。

目的

企業が内製化を行う目的を簡潔に述べるなら「業務のQDC(品質・コスト・納期)の改善と、競争力を高めるため」となります。

内製化することで、外製化によって生じる経費やコミュニケーションコストを削減し、QDC向上につなげることが目的です。

ただ、内製化の目的として「コストカットにつながるため」がよく挙げられますが、外製化したほうがコストカットにつながるケースもあるため、一概にはいえない点に注意しましょう。

内製化の重要性が高まる背景

経済のグローバル化が進んだ結果、特定の業務を専門とする企業が増え、そこに業務を外部委託することが主流になりつつありました。

しかし、先述したように、近年は再び内製化に舵を切る企業が増え、外注離れが進んでいます。

その理由としては下記のようなものが挙げられます。

  • 新型コロナウイルスの流行や紛争などによるサプライチェーンの混乱
  • 他社や他国に外製化することで重要な技術が漏れてしまうリスクがある
  • 内製化によるコストカットやスピードアップを図る

関連記事:生産性向上の本質とは?メリットや施策、注意するべきポイントを解説

内製化のメリットとは

ここでは、内製化のメリットを見ていきましょう。

機密情報の漏洩を防ぐ

内製化によって得られる1つ目のメリットは、機密情報の漏洩を防ぐことができる点です。

外製化の場合、機密保持契約を結んだとしても機密情報が委託先企業にわたれば、その情報にふれる人は増えるので、下記のような危険があります。

  • 機密情報の漏洩
  • 機密情報をもとに競合製品がつくられる

こうしたリスクを防げることは内製化の大きなメリットといえるでしょう。

ノウハウが蓄積する

ある業務を外製化すると、その業務に関連するノウハウや技術が社内で蓄積することはありません。

そのようなノウハウや技術は企業にとって貴重なリソースにもなるため、外製化は「貴重なリソースをみすみす逃してしまっている」と言い換えることができます。

業務を内製化すれば、ノウハウや技術が蓄積でき、それらは新入社員に伝えていくこともできるのです。

迅速な対応ができる

迅速な対応が可能な点も内製化のメリットです。

外製化の場合は契約手続きに始まり、連絡・スケジュールの調整などがあり迅速な対応が困難です。

委託先の企業、さらにはその企業と契約して実際に業務を行う人員という構成の場合は、時間がかかる上に齟齬が生まれる可能性もあります。

しかし、社内であればコミュニケーションコストが少なく、環境の変化に合わせて迅速に対応可能です。

関連記事:技術継承が成功する企業と失敗する企業の違い!日本企業こそ早めの対策を!方法や人材育成のポイントを解説

外注コストの削減

内製化のメリットとして、外注コストの削減も挙げられます。

外注は、業務の専門性や工数によって費用がかさみ、内製した場合の数倍の費用が必要になることも珍しくありません。

また、その領域の知識がないことで相場感が分からず、高く支払わされることもあるでしょう。

専門性の高い業務に関しては、可能な限り内製化して、外注コストを抑えたいところです。

内製化のデメリットとは

一方で、内製化には下記のようなデメリットもあるため、注意しましょう。

人材育成に時間がかかる

内製化する1つ目のデメリットは、高いクオリティを安定的に維持できる人材をの育成に時間がかかることです。

外製化であれば、安定的で高品質なアウトプットがすぐに得られますが、内製化の場合はそうはいきません。

内製化する際は人材の選定や研修の実施、チームの構成などに時間がかかることをあらかじめ覚悟しておかねばなりません。

人件費が増える

高度に専門的な知識を持った人材を採用するには、相応の給与や待遇を用意する必要があるため、人件費が増える点も内製化のデメリットです。

既存の従業員を育成する場合でも、その従業員のそれまでの業務を担当する人材が必要なので、やはり新たな人材が求められることになり、やはり人件費の増大は避けられないでしょう。

柔軟な対応が難しい

外製化している場合、環境の変化によって委託する必要性がなくなった際には契約を打ち切ることで迅速に対応できます。

しかし、自社の人材教育や設備投資を行って内製化を進めている最中に、環境が変わっても柔軟に対応することができません。

業務の必要性がなくなったからといって、その業務のために雇用した人材を簡単には解雇できないため、将来的なリスクを検討した上で内製化を進めましょう。

関連記事:人件費削減の本質とは?メリットとデメリット、失敗しないための注意点や方法を解説

設備投資の増加

内製化を始める際のデメリットとして設備投資の増加が挙げられます。

例えばシステム開発を内製化する場合、社内業務を理解し、かつシステムを開発できるエンジニアの人件費が必要です。

また、PCやサーバーなどの備品代も発生します。

いずれも大きい金額なので、コスト以上のリターンがあるかどうかをしっかり検討する必要があります。

外製化(アウトソーシング)のメリット・デメリットとは

ここでは、外製化のメリット・デメリットを簡単に見ていきましょう。

外製化のメリット

外製化のメリットとしては下記のようなものが挙げられます。

  • 高品質な業務を迅速に実現できる
  • 環境の変化に対応しやすい
  • 自社のリソースを重要な業務に使える

外製化のデメリット

外製化のデメリットとしては下記のようなものが挙げられます。

  • 外製化が難しい場合がある
  • コミュニケーションコストが生じる
  • 一度外製化すると内製化へのシフトが困難

内製化かアウトソーシングかを選ぶ際のポイントとは

内製化かアウトソーシングかを選ぶ際のポイントとしては、以下の4つが挙げられます。

  1. コスト
  2. 必要な専門性
  3. 業務の期間
  4. どこまで内製化するか

それぞれ詳しく解説していきます。

1. コスト

内製化かアウトソーシングかを選ぶ際のポイントとして、まず挙げられるのが「コスト」です。

アウトソーシングはもちろんのこと、内製化もコストが発生します。

例えば、従業員の顔写真を撮影するとしましょう。アウトソーシングであれば、1人あたり1万円〜が標準です。

一方で内製化の場合、ミラーレス一眼カメラなどの機材だけでも50万円以上のコストが発生します。

どちらの方が高いコストになるかは、その業務の専門性や規模によります。

2. 必要な専門性

業務遂行に必要な専門性も、ポイントとして挙げられます。

内製化で業務を進めるには、人材の育成が欠かせません。

例えば、ITシステムの構築を内製化するのであれば、ゼロからシステムを構築できる人材が必要になります。

そのためには、高い報酬を支払って即戦力人材を獲得するか、時間とお金をかけて人材を育成しなければなりません。

一方でアウトソーシングであれば、人材を育成せずに専門性の高い業務を遂行できます。

どちらの方がいいかは、業務で求められる専門性によって異なるでしょう。

3. 業務の期間

内製化かアウトソーシングかを選ぶポイントとして、業務期間が挙げられます。

例えば、その1回限りで業務が終わるのであれば、アウトソーシングで十分でしょう。

一方で、業務が長期間に及ぶとコストが膨れ上がる恐れがあります。

また、業務を内製化することによる知識・ノウハウの蓄積も見逃せないポイントです。

業務の期間は、内製化すべきかどうかの判断材料になります。コストだけでなく、ノウハウの蓄積も含めて比較検討するようにしましょう。

4. どこまで内製化するか

内製化と言っても、あらゆる業務を内製化してしまっては、リソースが不足して、本来やるべきことに集中できなくなる恐れがあります。

内製化とアウトソーシングは、バランスが重要です。

どこまで内製化して、どこからを外注するかを検討する必要があります。

例えば半導体業界は、非常に大きい投資が必要なので、外注を駆使することがほとんどです。

近年、自社で半導体を開発するようになったAppleは設計に専念しており、製造に関しては台湾のTAMCに外注しています。

内製化とアウトソーシングのバランスが、経営手腕の見せ所だと言えます。

内製化する時の注意点とは

内製化する時の注意点として、以下の4つが挙げられます。

  1. 内製化する業務は自社特有のものにする
  2. 人件費や設備投資を試算する
  3. 環境やシステムを整える
  4. 内製化することを目的にしない

それぞれ詳しく解説していきます。

1. 内製化する業務は自社特有のものにする

自社特有の業務は、優先して内製化するようにしましょう。

内製化のメリットとして「ノウハウの蓄積」が挙げられますが、どの企業でもやっていることを蓄積しても、差は生まれません。

一方で、自社特有の業務でノウハウを蓄積すれば、それが他社との差別化要因になります。

また、独自性の高い業務を内製化すれば、情報漏洩も防ぎやすくなります。

特にITや製造など特許取得に関わるような業務は、可能な限り内製化して、外に持ち出さないようにするのがいいでしょう。

この具体例としてはAmazonが挙げられます。

Amazonは自社のECサイトのほとんどを内製で構築し、それらのシステムやノウハウをAWSとして商品にすることで、莫大な売り上げを叩き出すことに成功しました。

将来的に大きなお金になる可能性のある業務は、外注しない方が賢明です。

2. 人件費や設備投資を試算する

内製化を実施する際は、人件費や設備投資を試算しましょう。

業務を内製化することでその分の外注費が丸々なくなるため、一見すると大きくコストダウンしたかのように見えるかもしれません。

一方、業務を内製化することで人件費や設備投資が増えます。

もし外注費よりも内製化によって増えたコストの方が大きくなってしまうと、内製化をする意味が大きく損なわれてしまいます。

そのため、内製化を実施する前は、内製化によって発生するコストとリターンを試算するようにしましょう。

なお、ここで重要なのは、内製化で発生するコストとリターンは「お金」だけではないということです。

経営者が意思決定に用いるエネルギーや、内製化によるノウハウの蓄積にも注目する必要があります。

目に見えないコストとリターンも試算するようにしましょう。

3. 環境やシステムを整える

内製化を実施する際は、環境やシステムを整えるようにしましょう。

具体的には、内製化のためにどのような人材が何人必要なのか、どのような機材が必要なのかを期限つきでリストアップします。

もし人材や機材を期限までに確保できないのであれば、代替手段も検討しておきます。この際に外注を駆使するのもアリでしょう。

特に、ITシステム開発で重要なのはツール選びです。目的と時代にマッチしたITツールを選べれば、迅速に内製化を進めることができます。

例えば社内向けアプリを作る際、外注ではゼロから作るのが一般的でした。

しかし複雑な機能が必要ないのであれば、ノーコードツールなどテンプレートを用いたアプリ開発でも充分でしょう。

このように、目的に到達するまでの最短距離を突き進められる人材・機材の確保が、現代社会で求められます。

4. 内製化することを目的にしない

内製化を実施する際は、内製化することを目的にしないようにしましょう。

内製化は、あくまでも業務効率化とコスト削減の手段に過ぎません。

内製化を目的にしてしまうと、逆にコストが増えたり、生産性が低下したりする可能性があります。

内製化を実施する前に、効果検証を実施して、内製化によるメリット・デメリットを把握するのがいいでしょう。その上で内製化を実施するかどうかを決めます。

ここで重要なのは、人事評価の際に、内製化そのものを高く評価しないことです。

内製化そのものを高く評価してしまうと、従業員が無駄に内製化を実施する可能性があります。

そうではなく、内製化によって得られる「結果」だけにフォーカスして評価できれば、目的と手段を誤る事がありません。

内製化することを目的にしづらくなる環境を構築しましょう。

内製化の事例を紹介!

ここでは以下の有名企業3社の内製化の事例を紹介していきます。

  • 日本経済新聞社
  • 星野リゾート
  • 株式会社良品計画

それぞれ詳しく解説していきます。

事例①:日本経済新聞社

140年以上の歴史がある日本経済新聞社は、当初、日経電子版のソフトウェア開発をほぼ外注していたそうです。

しかし、シェアボタンを追加するだけで3週間かかるなど、次第に開発スピードに問題が生じたことから、2人だけのメンバーで内製化をスタート。

アジャイル開発をベースにすることで開発速度が劇的に向上し、2017年11月には表示速度を改善する「爆速電子版プロジェクト」を成功させました。

現在は日経電子版以外の社内向けITシステムの開発において内製化を進めているとのことです。

事例②:星野リゾート

国内外でリゾート施設を運営する星野リゾートは、ローコード及びノーコードツールを活用した「全スタッフIT人材化」を開始しました。

中途入社のエンジニアと、現場で働いていたスタッフの異動組のチームで、以下のようなプロジェクトを実施したそうです。

  • 大浴場の混雑を可視化する仕組み:IoTデバイスの開発着手後、6週間で完成
  • GoToトラベルキャンペーンへの対応:1ヶ月でリリース
  • 宿泊ギフト券のふるさと納税対応:2ヶ月でリリース
  • 結婚式のオンライン参列サービス:3ヶ月でリリース

現場スタッフがノーコードツールを活用したシステム開発に参加することで、現場目線に基づいたより良いサービスが生まれることがわかります。

事例③:株式会社良品計画

無印良品を運営する株式会社良品計画は、2021年9月のEC・デジタルサービス部立ち上げに伴い、100人規模でエンジニアを獲得。

独自性の高いシステム開発を内製化しました。

また、汎用的なシステム開発に関してはITベンダーに委託する方針を採用しており、APIベースでの内製化に着手しています。

これにより、良品計画はMUJI PassportアプリやEC機能を連携できる体制の確立に成功します。

完全に内製化するのではなく、独自性の高いシステム開発だけで内製化を進めている事例と言えるでしょう。

まとめ:内製化のためには人材の成長が不可欠

内製化を進めるためには、人材の成長が必要になります。

では組織の人材のスキルアップをはかるうえで、経営レイヤーは何ができるでしょうか?

ひとつは明確な人事評価制度の構築です。

評価制度を定量的に示すことで、社員が数値を達成するために実施しなければならないことが明確になります。

定性的な目標は社員の「やる気」を削ぐ可能性があります。

例えば「業務改善のために尽力する」などの指標が評価制度に入っていると、あいまいな指標となり、上司次第の評価となってしまいます。

誰からでも平等な指標を作るためには「数値」による目標設定が欠かせないのです。

とはいえ、評価制度を構築するためにはそのノウハウが必要です。

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