「働き方改革と残業はどう関係するの?何が変わるの?」
働き方改革がなされてから、それに応じて企業での残業のあり方は変わってきており、大企業だけでなく、中小企業にもそれらの対応が迫られています。
本記事では、働き方改革と残業の関係性や、どのように残業のあり方が変わるのか、企業の対応などを解説していきます。
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目次
働き方改革と残業の関係性
働き方改革とは、労働者一人ひとりがもつ事情に応じて、多様な働き方を実現できるように環境を整える取り組みのことです。
少子高齢化が進み、生産年齢人口が減り続ける日本では、長時間労働が大きな足かせとなっているため、これをいかに是正していくかが重要になっています。
働き方改革の背景
働き方改革の背景には、少子高齢化や労働力不足、低い労働生産性などの日本の労働環境におけるさまざまな問題があります。
こうした問題を解決するためにも、働き方改革を推進し、労働者が個人の事情に最適な働き方を実現できるようにする必要があるのです。
働き方改革で変わる残業のあり方
働き方改革によって残業のあり方はこれまでとは大きく変わりました。
従業員の労務管理や、さまざまな施策を行っている人事担当者はこの点について正しく把握しておく必要があります。
従来の残業制度
従来の残業制度では、法定労働時間(1日8時間、週40時間以上)以上の残業をさせる場合、36(サブロク)協定を結ぶ必要があります。
この協定を結ぶことで事業者は労働者に「月45時間、年36時間」までの残業をさせることができます。
しかし、これ以上の残業時間になっても行政指導のみで罰則はなく、特別条項を設けることで実質的に残業時間の上限を無視することができました。
今後の残業制度
働き方改革によって法改正された今後も、残業は原則「月45時間、年36時間」という上限は同じですが、臨時的な特別な事情がなければこれを超えた場合、罰則が科されることになりました。
また、臨時的な特別な事情があったとしても、下記の基準を超えると罰則を科されます。
- 年720時間以内
- 複数月平均80時間以内(2~6ヶ月平均)
- 月100時間未満
これらに違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
(参考:時間外労働の上限規制丨厚生労働省)
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残業(時間外労働)の定義とは
そもそも「残業」の定義はどのようなものなのでしょうか?
残業とは大きく分けて「法定内残業」と「法定外残業」の2つにわけられます。
労働基準法によって法定労働時間は「1日8時間、1週間40時間」と定められており、この範囲内ではあるものの、企業が定めた所定労働時間を超過した残業を「法定内残業」といいます。
例えば就業規則で9時~17時(休憩1時間)が労働時間と定められている場合、実労働時間は7時間となります。これを18時まで残業を行った場合が法定内残業にあたります。
一方で「法定外残業」とは、法定労働時間以上を超えて働いた分の時間のことです。今回の法改正では、この法定外残業の時間がポイントになるため、注意しましょう。
働き方改革による残業規制によって生じる課題
働き方改革によって残業時間に上限規制が設けられたことによって、さまざまな課題が生じることが予想されます。
ここでは、その課題についてみていきましょう。
残業代が減り、従業員のモチベーションが下がる
残業規制によって残業時間が減ると、当然ですが残業代も減ってしまいます。
家庭を持つ従業員の場合、残業代が家計のやりくりにとって欠かせないものとなっており、残業代が減ることでローンや教育費が払えない、ということになりかねません。
したがって、残業代のためにこれまで頑張ってきた従業員は、収入が減ってモチベーションが低下する可能性があるでしょう。
自宅残業が増える
残業規制によって決められた時間以上の残業ができなくなりますが、それでもどうしても時間内に仕事が終わらない場合、従業員が自主的に家に仕事を持ち帰って自宅で残業をする可能性があります。
働き方改革の目的の1つは、ワークライフバランスの充実にもあるため、自宅残業の増加はこれに反することになってしまうのです。
関連記事:配慮はするけど遠慮はしない 中小企業における働き方改革実行にあたって
残業の規制による企業側のメリット
働き方改革による残業規制で生じる課題について見てきましたが、残業規制によって期待できるメリットもあるため、解説していきます。
人件費削減につながる
残業時間が減ることで残業代が減ることは従業員にとってはデメリットかもしれませんが、企業にとっては人件費削減につなげられるためメリットとなります。
残業時間が短くなることで売上が減ったとしても、人件費削減のおかげで利益率自体は変わらないという場合も少なくありません。
生産性向上につながる
残業ができなければ、従業員は決められた時間のなかで成果を出さなければなりません。
したがって、従業員はどのようにしてこれまでと同じ、もしくはそれ以上の成果を、これまでよりも短い時間で達成できるかを考える必要があります。
これにより、自主的に工夫をしたり効率化をしたりすることで労働生産性の向上につながるでしょう。
実際、ZOZOTOWNを運営する「ZOZO」では、1日6時間労働を導入したことで労働生産性が2割以上も上がったとしています。
まとめ:働き方改革による残業規制への対応
今後企業には一層、働き方改革による残業規制への対応が求められます。
とはいえ、生産性を上げるのは難しいとお考えの経営者の方は多いでしょう。
弊社識学は、マネジメントコンサルティング会社です。
生産性を上げるためには、徹底した数値化、数値による評価制度が必要だと考えています。
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