暗黙知とは、言葉では説明できない状態の知識のことです。
本記事では、
- 暗黙知や形式知について
- 暗黙知を形式知化するメリット
- ナレッジマネジメントについて
解説していきます。
目次
暗黙知とは
暗黙知とは、経験的に知っているだけで言語化や表層化ができていない知識です。
例えば、
- 個人的な経験や勘を根拠とする知識
- 言葉で重要な部分を伝えられない知識
- 「職人技」や「コツ」のような言語化できないノウハウ
などが暗黙知として挙げられます。
形式知とは
暗黙知とは反対の意味を持っているのが「形式知」です。
形式知とは言語化できている知識のことで、誰でも理解できる状態の知識を指しています。
例えば、
- マニュアル
- 説明書
などが形式知として挙げられます。
暗黙知と形式知
例えば、初めて自動車を運転する人の場合、どのように操作すれば良いのかをマニュアルや教官から「形式知」として教わります。
運転する方法を学んだら実際に運転してみますが、形式知として自動車の操縦方法を理解しているとはいえ、すぐには上手に操作することはできません。
しかし、何度か自分なりに操作している途中で「ここはこうした方が良い」「こういう時はこのやり方のほうがやりやすい」といった、経験に基づく「暗黙知」が蓄積されていき、次第に上手な運転ができるようになります。
暗黙知を形式知に変えるメリットとは
ビジネスにおいては暗黙知を形式知に変えて共有する「ナレッジマネジメント」が求められます。
ここでは、そのメリットを解説していきます。
従業員のスキルを底上げできる
優れた従業員が持っているノウハウやテクニックなどの暗黙知を、形式知として他の従業員に教えることで、従業員の能力を比較的容易に伸ばすことができます。
従業員全体が優れた従業員のスキルを獲得できるため、生産性向上や業務効率化につながり、会社の利益に良い影響をもたらすでしょう。
業務の属人化を解消できる
優秀な従業員だけが持っている暗黙知をそのままにしてしまうと業務の属人化が起こり、その従業員が転職や退職をした際に業務が立ち行かなくなります。
しかし、ナレッジマネジメントができていれば、担当者がいなくなっても別の従業員にスムーズに引き継ぐことができます。
従業員の育成がスムーズになる
優秀な従業員が持っている暗黙知を形式知に変えることで、言語化が難しかったノウハウやテクニックを他の従業員にスムーズに伝えることができます。
「見て学ぶ」「経験して学ぶ」よりも効率的になるので、従業員の育成が容易になります。
暗黙知を暗黙知のままにしておくリスクとは
暗黙知を形式知化しなければ上記のメリットを全て手放すことになり、大きなリスクとなります。
例えば暗黙知を放置しておくと、暗黙知を持っていた従業員が休んだり転職した際に、安定的に業務を続けられなくなります。
また、暗黙知を形式知に変えて新人に教える取り組みがないと、若手や新人は不満を抱き、転職してしまうこともあるでしょう。
暗黙知を形式知に変えるための方法
暗黙知を形式知に変えるための方法として世界的に知られているのが、経営学者の野中郁次郎氏が提唱した「SECIモデル」です。
SECIモデルは4つの要素によって構成されているので、それぞれを解説していきます。
SECIモデルの活用
SECIモデルは、
- 共同化:暗黙知を暗黙知のまま伝えて、暗黙知を共有する
- 表出化:共有した暗黙知を形式知に変える
- 連結化:すでにある形式知と「表出化」でできた形式知をつなぎ合わせる
- 内面化:「連結化」でできた形式知ををもとに暗黙知に生み出す
の4つのフェーズで成り立っています。
場(Ba)のデザイン
「場」とは、暗黙知や形式知が産まれたり共有されたり、また活用される場所を示しています。
例えば、「場」としては
- 休憩室
- 社内SNS
- 喫煙室
などが挙げられます。
知的資産を蓄積する上で、気軽な雑談や自由に意見交換ができる「場」を用意しておくことが非常に重要です。
知的資産の継承
知的資産を活用するには、ここまで行ってきた活動が長期的に行われるようにするための、下記のような仕組みづくりが必要になります。
- 知的資産の重要性を周知する
- 知的資産を提供・蓄積・継承できる仕組みをつくる
- 暗黙知や形式知を共有するツールを導入する
個々人が持つ暗黙知を形式知に変換して共有するためには、組織としてナレッジマネジメントを長期的に続けられる体制を構築することが求められます。
ナレッジリーダーを決めてビジョンを定める
実効性のあるナレッジマネジメントのためには、「ナレッジリーダー」を置くのが効果的です。
ここまで見てきたように、知的資産を蓄積して共有するには、多数の従業員に対する強いリーダーシップが求められます。
ナレッジリーダーは「知的資産をどのように活用するのか」といったビジョンを定めて「場」をデザインしたり、SECIモデルに従って皆を引っ張ったりしていくことが重要です。
まとめ
暗黙知は、社員の行動を麻痺させることがあります。
たとえば、会食費用が曖昧になると、社員は幾らが妥当なのかを手探りで探し始めます。
また「常識的に考えて」という表現、こうした不明瞭な表現も、暗黙知を育てる一因となってしまいます。
暗黙知を許さずに、形式知へと変えていく。
とはいえ、何から手をつけていいのかわからない経営者の方も多いのではないでしょうか。
弊社識学では、こうした「暗黙知」を激減させるマネジメントコンサルティング会社です。
曖昧な表現をそぎ落とし、明確な指示へと置き換えると、組織に暗黙知が広がるのを防ぐことができます。
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