突然ですが、あなたはこのようなことを感じてはいませんか?
- 「適性検査ってなに?」
- 「雇用のミスマッチを防ぎたい」
- 「自社に最適な人材を見極めたい」
適性検査とは、新卒採用や中途採用の際に、人材を見極めるために用いられる検査です。昨今、自社が求める人材を確保するため、適性検査を用いる企業が増えてきています。
本記事では、適性検査の基本的な知識から適性検査を使う目的、導入する際の注意点やサービスの選び方について解説していきます。
ぜひ、本記事を参考に適性検査について理解を深め、自社で活躍できる人材の発掘に役立ててみてください。
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適性検査とは?
適性検査とは、企業が人材採用の際に行う「候補者がどのような人材なのかを見定める検査」のことです。
一律で同じ検査をすることで、知能や人格などを評価していきます。従来は新卒採用で用いられることがほとんどでしたが、昨今では中途採用でも実施されるようになってきています。
もちろん、人材を見極める際には筆記試験や面接なども行われますが、それだけでは完全には相手のことを把握しきれません。
また、一般的な頭の良さや偏差値なども企業が人材を見定める指標になりますが、勉強ができる人が自社で働く人材として最適とは限りません。したがって、適性検査を用いてより最適な人材の採用を目指します。
しかし、適性検査で結果が良くなかったとしても、それが必ずしも適正がないとは言えない点にも注意しましょう。
つまり、企業が人材を求めるときには、勉強ができるかどうかだけではなく、価値観や人間性などを測り多角的に人材を見る必要があるのです。
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適性検査の結果はどのように活かされているのでしょうか? また、企業はどのような目的で導入しているのでしょうか?
実際にどのような場面で用いられているのかがわかれば、自社で導入するかどうか検討する際のひとつの指標にもなるでしょう。
ここでは下記の5つを見ていきます。
- 人材のふるい分け
- 面接の補助ツールに使う
- 人事評価を補う道具として使う
- ミスマッチを減らす
- 集客ツールとして使う
それでは1つずつ解説していきます。
人材のふるい分け
人材の採用をする際には、スクリーニング(選別)と呼ばれる、特定の要素をふるい分ける作業をしていく必要があります。
例えば、自社に最適な人物像として「クリエイティビティがある人」と「リーダーシップを発揮できる人」があるケースでは、面接の際に候補となる人材が多い場合、この2つの特性について評価が低い人を落とし、候補者を選別することができます。
一方で、この2つの特性に秀でている人については面接で合格させて、最終面接に残すことも可能です。また、候補者の選別が進んで人数が減ってきた際には、2つの特性の評価が高い人を選んで採用することもできます。
さらに、すぐに会社をやめてしまう人の特性を把握しておけば、その特性に合致する人材の採用を避けられる点もメリットです。
面接の補助ツールに使う
面接だけで相手の全てがわかるわけではないように、適性検査だけで全てがわかるわけではありません。しかし、面接と適性検査の両方を組み合わせることで、かなり相手のことがわかるようになります。
例えば、面接をする前に適性検査の結果をあらかじめ把握しておけば、自分の固定観念を取り払って客観的な視点で面接をすることができます。
人事評価を補う道具として使う
人事評価に悩んだ際に適性検査の結果を参考にすることで、スムーズに評価を進めることができます。
マネージャーは管理する対象が多いので、一人ひとりに細かい評価を下すことが難しい場合がありますが、そんなときに適性検査の結果によって部下の性格や特質を把握できます。
さらに、自己申告制である適性検査による評価でもあるため、部下自身も納得しやすくなる点がメリットです。
ミスマッチを減らす
適性検査は企業と求職者の両方にメリットがあります。それは、ミスマッチを減らせることです。適性検査を行うことで人材を完璧に見極めることはできませんが、それでも一定の効果は認められるため、ミスマッチはかなり防げるのです。
ミスマッチは採用コストが増える原因でもあり、その防止は企業の課題でもあります。したがって、企業が適性検査によって自社に最適な人材を見極められるのは大きなメリットでしょう。
求職者にとってもミスマッチを減らせることは利点であり、自身のデータをもとにより適している働き方の提案を受けられるでしょう。
集客ツールとして使う
適性検査は集客ツールとしても用いられています。しかし、もし適性検査で集客したいのであれば、時期を選ぶことが重要です。
近年、適性検査は採用の場で用いられることが多くなってきており、適性検査の結果次第で合否が決まることも増えてきています。したがって、大学側もその対策として適性検査のために必要な準備を教えることがあります。
そこで、学生の「適性検査ってどういうもの?」という興味関心を利用して、集客ツールを使うのです。例えば、下記のような方法があります。
- 会社説明会で適性検査を行い、その日のうちに個別に面談や相談をすることで集客する
- インターンシップ・プログラムの活動として適性検査を実施し、後日フィードバックをする
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適性検査で行われる検査には大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2つがあります。
能力検査では、国語や数学、英語といった学力テストのようなものを行い、知的能力や論理的思考能力が問われ、実務に必要な最低限の能力を測定します。
性格検査では、考え方や価値観、特性などを測定することで、自社の社風に適しているかどうかや、メンバーと協力して仕事を進められるかといった点を判断するのに使われます。
それでは1つずつ詳しく説明していきます。
能力検査
能力検査では数学的能力や国語的能力といった基礎能力が問われ、いかなる業務においても最低限求められる、一般常識や知的能力があるかどうかを測定します。この検査の結果は、企業が望む水準に達しているかどうかで判断されますが、その水準は企業によって違います。
適性検査で主流となっているSPIでは、検査に出てくる問題は難しいものではなく、高校までで習ってきたような基礎的なレベルの問題が出されます。
難しい問題ではないからこそ、点数が低い場合はかなり厳しい評価が下されるかもしれません。また、限られた時間のなかでかなりの問題量を解かなければならないため、サクサクとスムーズに進めていく必要があります。
一夜漬けのような対策ではあまり意味がありませんが、能力検査を受ける前にある程度の準備をしておけば、問題なく突破できるでしょう。可能な限り早めに時間をとって準備しておくことが重要です。
性格検査
性格検査では、下記のような項目を測定します。
- 価値観
- 人間性
- ストレス耐性
- 考え方
このようなことを明らかにすることで、
- その人がどのような人物なのか
- どういった働き方が向いているのか
- 会社に入った後に問題なく業務を続けられるか
- 仕事に対するモチベーションはどの程度か
- チームのメンバーと協力して仕事を進められるか
といった部分を判断するために用いられます。また、他にも面接実施時や入社後の配属、育成などを行う際の参考資料として使用されます。
具体的な試験内容は、日々、どのような考えに基づいて行動や意思決定をしているのかが「はい・いいえ」形式で問われます。しかし、このような検査においては「回答を偽ることで自分を理想の人物像として認識させることができるのではないか?」と考える方も少なくありません。
そのような疑問については「ライトスケール」という対策がなされているため、問題ないと言えます。
ライトスケールは質問項目のなかに、「人の悪口を言ったことがない」や「人生でウソをついたことがない」というような、誰しもが「いいえ」としか答えられないような質問を用意することで、回答者が自分を偽っていないかどうかを見破るものです。
この質問に対して「はい」と答えるようであれば、回答者はウソをついている可能性が高いということになります。
適性検査の受検方法・テスト形式の種類
適性検査では、どのような種類のテスト形式や受験方法があるのでしょうか。従来はマークシートが多く、検査後は機械で分析を行う方法が主流でした。
現代では下記のような方法が用いられています。
- ペーパーテスティング(筆記試験)
- インハウス
- ウェブテスティング
- テストセンター
それでは1つずつ解説していきます。
ペーパーテスティング(筆記試験)
筆記試験やマークシート方式と呼ばれる方法で、適性検査を扱う会社が提供する会場に行き、紙にマークシートで受験します。
マークシート方式のデメリットは、結果がわかるまで時間がかかることと、コストが高いことです。
インハウス
インハウスとは、「企業内」や「社内」といった意味の言葉で、この方式では企業が検査を受ける部屋やパソコンを用意し、そこで検査をする方式です。または検査を提供する会社に行き、その社内のパソコンで受験したりします。
この方式では、検査した後に結果が出るまで時間がかからないことがメリットです。すぐに手元に結果がでるため、時間と労力を節約できます。
自宅で行うウェブテスティング
自宅のパソコンを用いて検査を受ける方式をウェブテスティングといい、検査を受ける人と企業の両方にメリットがあることが特徴です。
検査を受ける人にとっては、自宅でリラックスして自分の都合のよい時間にできます。そして、企業にとっては、会場を用意する必要もないためコストの削減と時間の短縮、そして大幅に手間を省けることがメリットです。
しかし、インターネットを使わなければならないため、受験者は受験中に接続が切れないように配慮しなければなりません。また、企業は受験者が替え玉受験をする可能性があり、そのような不正がないように気をつける必要があります。
テストセンター
検査を提供する会社が全国の主要都市に「テストセンター」と呼ばれる会場を用意し、そこで用意されたパソコンを用いて検査を行います。受験者は一定の期間のうちに都合が良い日程と会場を選び、そこを訪れてテストを受けます。
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人材採用をする際には、適性検査でその人物の基礎的な能力や特性、価値観を把握することで自社が求める人材かどうかを確かめることができます。さらに、雇用のミスマッチを防ぐことができ、採用コストの削減も可能です。
しかし、適性検査であればなんでも良いというわけではありません。したがって、ここでは適性検査の選び方や注意点を見ていきましょう。
- テスト形式や必要な時間、かかるコストで選ぶ
- 対策本が多い適性検査は避けるべき?
- 検査結果をどのように確認できるか
それでは1つずつ解説していきます。
テスト形式や必要な時間、かかるコストで選ぶ
上記で解説したように、適性検査のテスト形式には、
- ペーパーテスティング(筆記試験)
- インハウス
- ウェブテスティング
- テストセンター
などの種類があるため、自社に最適な形式を選ぶことが必要です。
例えばペーパーテスティングを選ぶ際は、日程や会場を調整しなければならないことに注意しなければなりません。また、受験者が自身のパソコンを用いてテストを受ける方式の場合は、パソコンを持っていない人の対応はどうするかを事前に考えておく必要があります。
また、テストにかかる時間も長くて10分前後の検査もあれば、3時間ほどかかる検査もあります。したがって、候補者の何を確認したいのかを明確にして、適切な検査方式を選びましょう。
対策本が多い適性検査は避けるべき?
現在日本で最も採用されている適性検査は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズによるSPIです。
最も採用されているということは、その対策本などが数多く出版されているということでもあります。この場合、「対策されているのであれば、本当の適正を調べられないのではないか?」という疑問を感じますよね。
しかし、SPIでは検査に関する詳しい内容は公開していないため、対策本はあくまでも独自につくられたものということになります。したがって、対策本はSPIの効果を薄めるものではありません。
実際に2016年の実験では、対策をした人としていない人の検査結果を比べたところ、変化は見られなかったことが証明されているのです。
検査結果をどのように確認できるか
適性検査を導入する際は、検査結果をどのような形式で確認できるのかもチェックしておきましょう。レポート形式なのか、AIによる判定なのか、面接で確認しておくべきことの表示など、サービスによってさまざまであるため、自社に最適なものを選ぶべきです。
自社の求める人物像と適性検査の目的を明確に
ここまで、適性検査とはどういったものなのか、何がわかるのかといった概要や形式について解説しました。適性検査は知的能力や人格といった面接だけではわからない部分を客観的に測れるため、人材採用において非常に有用です。
しかし、適性検査のスコアの良し悪しが必ずしも自社の人材としての適性の有無とつながるというわけではありません。あくまで参考となる要素であるとともに、そもそも会社がどういった人物像を求めているのかによっても違うでしょう。
適性検査の形式ごとのメリットやデメリットを理解するとともに、どういった人物を採用したいのかといったことも明確にしたうえで、適切に取り入れてください。
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