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吸収合併とは?メリットやデメリットを簡単に解説!

経営者

吸収合併って聞いたことはあるけど、どうすればいいのかわからない。従業員はどうなるの?
本記事では、わかりやすく吸収合併をお伝えします。

専門家

突然ですが、あなたはこのような悩みを抱えていませんか?

  • 「吸収合併は聞いたことあるけど他手法との違いがわからない」
  • 「他社から合併の話が来ているが、そもそも吸収合併とは何なのかわからない」

本記事を読むことで、このような疑問が解決します。

本記事では、吸収合併のメリット・デメリットから、従業員のその後の扱いまでをわかりやすく解説していますので、今後、吸収合併を検討している方は参考にしてみてください。

この記事のまとめ
  • 吸収合併では、買収の対価を株式で支払う事ができる!
  • 繰越欠損金を引き継げるのがメリット
  • ソフトバンク株式会社の吸収合併事例あり!

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吸収合併とは?

概要

合併とは、一言でいえば「複数の会社を1つにまとめること」です。

この際、1つにまとめられ、合併後も存続する会社のことを「存続会社」と呼び、消滅する会社のことを「消滅会社」と呼びます。

このうち、存続会社と消滅会社の2者間のみで完結する手続きを吸収合併とよびます

そもそも合併買収は違うの?

経営者

合併と買収の違いがわかりません。

合併の他にも、買収という言葉を耳にしたことはありませんか?

ここでは例を挙げて「合併」「買収」の違いについて簡単に説明します。

例えば、B社の事業資産を全てA社に移して、その後にB社が消滅したケースを考えてみましょう。

結果的に、2つあった会社が1つの会社になります。このような場合を合併といいます。

では、もう1つのケースを考えてみましょう。

A社に事業を売却した後もB社が残り続けた場合は、結果的には2つの会社はどちらも残ったままになります。このような場合は「買収をした」と判断します。

細かいケースでは異なる場合もありますが、多くの場合、上記のような認識で問題ありません。

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吸収合併と新設合併の違い

M&Aの合併には2つの方法があります。

1つが今回解説している吸収合併、そしてもう1つが新設合併です。

吸収合併とは?

吸収合併は、2つ以上の会社を1つの会社にまとめることをいいます。

先ほども説明したように、この時、1つにまとめられ、吸収合併後も存続する会社のことを「存続会社」、消滅する会社のことを「消滅会社」と呼びます。

そして、存続会社と消滅会社の2者間で完結する手続き吸収合併とよびます。

新設合併とは?

一方で新設合併は、2つ以上の会社の事業資産を、新しく新設した会社に移し変えることをいいます。

したがって、新設した会社が存続会社となり、事業資産を提供した会社は消滅会社となるため、最終的に残るのは新設した会社だけになります。

新設合併は、例えばホールディングス化をするときに利用されます。

専門家

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誤解しやすいM&Aとの違いとは?

ここでは、誤解しやすいM&Aのケースとの違いを説明します。M&Aはさまざまなスキームがあり、混同しやすいため、似たようなスキームと吸収合併との違いを確認しましょう。

  1. 吸収分割
  2. 株式交換
  3. 事業譲渡

それぞれわかりやすく解説します。

誤解しやすい他のM&Aケース①吸収分割

誤解しやすい他のM&Aケース①吸収分割

吸収合併と混同されがちなM&Aの手法として「吸収分割」があります。

吸収分割とは、譲渡会社が会社の一部、全部の事業を譲受会社に譲渡する方法を指します。

吸収合併も同様に、一部、全部の事業から撤退をする際に利用されますので、目的は同じです。

しかし、吸収分割の場合、事業を譲渡した会社はそのまま存続するのに対し、吸収合併の場合は、事業を譲渡した会社が消滅することが最も大きな違いとなります。

つまり、事業を譲渡した会社がその後も存続するのか、それとも消滅するのかが大きな違いです。

専門家

誤解しやすい他のM&Aケース②株式交換

誤解しやすい他のM&Aケース②株式交換

経営者

株式交換とは何が違うの?

吸収合併と混同されがちなM&Aの手法の2つ目は「株式交換」です。

株式交換とは、子会社化をしたい会社の株式を取得し、該当会社の完全親会社を目指すことです。この時、子会社となる会社に対しては、対価として株式を交付します。

したがって、株式交換を行った際、あくまでも子会社は存続することになるため、消滅が前提の吸収合併とは大きく異なります。

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誤解しやすい他のM&Aケース③事業譲渡

誤解しやすい他のM&Aケース③事業譲渡

事業譲渡とは、他の会社に対して事業を譲渡することを指します。この際、事業を譲渡した会社はそのまま事業を継続する点が吸収分割との違いです。

また、事業譲渡の際には、譲受会社は事業を受け取った対価として必ず現金を支払わなければなりません。

あわせて、吸収合併は包括的に事業を引継ぎますので、偶発債務などもまとめて引き継いでしまう可能性があります。対して、事業譲渡であればどこまでを引き継ぐかを決定できますので、債務を引き受けないという選択も取れます。

その他、細かい違いはありますがここではざっくり押さえておきましょう。

専門家

吸収合併のメリット

吸収合併のメリットが以下の5つです。

  • 新設合併と比べて手続きが少ない
  • シナジー効果が見込める
  • スケールメリットを取れる
  • 合併の対価を存続会社の株式とすることができる
  • 繰越欠損金を引き継げる可能性がある

それでは1つずつ解説していきます。

新設合併と比べて手続きが少ない

新設合併と比べて、手続きが少ないことが吸収合併の1つ目のメリットです。

新設合併の場合、新しく会社を作り、そこに事業を移し替えることになります。このため、手続きはどうしても煩雑になってしまいます。あわせて、許認可などを新しく取得する必要があるのは大きなデメリットです。

吸収合併であれば、包括的に事業を譲り渡すことができるので、許認可の再取得などの手間が減ります。したがって、手続きが少なくなるのはメリットといえるでしょう。

経営者

手間が少ないのはメリットですね。

シナジー効果が見込める

吸収合併の2つ目のメリットは、消滅会社のリソースを存続会社が利用できる場合、互いにシナジー効果が見込まれることです。

例えば、今ままで2つの会社が業務提携などを行っていたとしても、別会社である以上は企業秘密として公開できない独自のノウハウなどがあります。しかし、吸収合併をして1つの会社になることで、こうしたノウハウが明らかになります。

したがって、2社のノウハウを組み合わせて新しい事業の立ち上げができる可能性があるのです。

また、優秀な従業員が手に入れば、存続会社に貢献してもらえる可能性が高く、売上の向上が期待できるでしょう。

M&Aではシナジー効果に注目しましょう。

専門家

スケールメリットを取れる

スケールメリットを取れることも吸収合併のメリットといえます。スケールメリットとは、規模が大きくなることで得るメリットのことです。

組織内でのノウハウの蓄積、大量仕入れなどが可能になることで、それだけ効率よく大量にものを仕入れることができるようになるので、販売費にかける固定費の割合は小さくなっていきます。

また、互いに持っていた既存の販売先に対して、クロスセルなども仕掛けられるようになり、顧客に対しても幅のきいた提案ができるようになることも吸収合併のメリットです。

経営者

規模の経済性が働く可能性があるのはメリットだね。

合併の対価を存続会社の株式とすることができる

合併する際に、支払う対価を株式で支払うことができる点もメリットの1つです。

M&Aの中には事業譲渡など、事業の引き受けに対する対価を現預金のみでしか払えない手法もあります。すると、M&Aのために資金調達が必要になってしまうため、事業を買収したくてもできなくなるのです。

一方で吸収合併では、合併の対価を株式で支払うことで、キャッシュアウトを避けることができます。

繰越欠損金を引き継げる可能性がある

節税の効果もあります。

専門家

消滅会社に繰越欠損金があった場合には、適格合併であればその欠損金を引き継げるようになります。

繰越欠損金は、課税所得がマイナスになり税務上欠損金が生じた場合に発生し、繰越が期限切れになるまで持ち越すことが可能です。繰越欠損金があることで、利益と相殺し、税金の優遇を受けることができます。

このため、節税もできる点で吸収分割はメリットといえます。

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吸収合併のデメリット

吸収合併のデメリットは以下3つです。

  • 顧客の重複が発生する可能性がある
  • 現金での支払いが必要なケースもある
  • 経営統合を速やかに実施しなければならない

それでは1つずつ解説していきます。

顧客の重複が発生する可能性がある

吸収する企業と分野が近いと、顧客の重複が発生する可能性があります。

顧客の重複が発生すると、相手先も取引先のリスクヘッジのために取引を減らしてしまう可能性があります。

近い分野であれば、開発や研修、そしてノウハウではシナジー効果が見込める可能性がありますが、顧客の重複が発生する恐れがあることは認識しておきましょう。

現金での支払いが必要なケースもある

存続会社は、合併の際に支払う対価を消滅会社に支払うことになりますが、ケースによっては現金での支払いを求められる可能性があることが2つ目のデメリットです。

消滅会社はその後事業をたたむため、会社によっては処分できない株式を対価として受け取ることを嫌がるケースがあります。

特に、存続会社が非上場会社の場合には、株式の処分性は低くなってしまいますので、現金での支払いを求められる可能性が高くなります。

経営者

引退を前提に考えると、確かに処分性の悪い株式は引き受けたくないな…

経営統合を速やかに実施しなければならない

吸収合併を実施した場合、合併の効力が発生日から1つの法人として認識されるため、PMI(買収後の経営統合)を速やかに決定し、実施しなければなりません。

また、企業によって理念や方針は異なります。したがって、企業文化の融合や各種事務の統合を速やかに行わなければ、従業員は困惑してしまい、社内プロセスの中でミスが生じてしまう可能性が高くなります。

吸収合併の場合は完全に1つの会社になるため、他のM&Aの手法よりも速やかにPMIを実施しなければ、現場が混乱してしまうでしょう。

吸収分割をする際の実際の手続き

吸収分割をする際の実際の手続きは、大まかに以下の手順で進めます。

  1. 合併の準備をする
  2. 取締役会の承認を受ける
  3. 合併契約を締結する
  4. 債権者へ勧告をする
  5. 株主総会の招集・決議
  6. 合併の効力発生
  7. 各種事務対応

それぞれわかりやすく解説します。

Step1: 合併の準備をする

合併契約書の作成、債権者の説明などを行います。

Step2: 取締役会の承認を受ける

合併契約の締結、株主総会の実施のために取締役会の承認を受ける必要があります。

あわせて、事前開示書類を本店に置いておかなければなりません。

Step3: 合併契約を締結する

存続会社と消滅会社とで合併契約を締結します。

Step4: 債権者へ勧告をする

債権者保護手続きのため、官報への掲示、債権者への個別勧告をします。

異議申し立てがあった場合には、担保を提供するなどの手続きが必要になるケースがあります。

Step5: 株主総会の招集・決議

株主総会は原則として特別決議の招集が必要になります。

株主総会で合併契約の承認を取ります。

Step6: 合併の効力発生

合併契約書の効力が発生します。

Step7: 各種事務対応

事後開示書を本店に置いておきます。

あわせて、登記なども行う必要があります。

吸収合併の際の留意点

吸収合併の際の留意点は以下2つです。

  • 適格合併と非適格合併がある
  • 繰越欠損金が適用されるには条件がある

それでは1つずつ解説していきます。

適格合併と非適格合併がある

経営者

適格と非適格って複雑そうでわかりません…

合併には適格合併と非適格合併があります。

適格合併の場合は、繰越欠損金を引き継ぐことができますので、債務超過、或いは赤字の企業を吸収するのであれば適格合併の方が適しているといえます。

適格合併の要件は主に以下の通りです。

  • 合併の実行前と実行後に100%の支配関係が継続している
  • 同支配関係50%超が継続している
  • 共同事業を営む時

繰越欠損金が適用されるには条件がある

繰越欠損金で税制メリットを取れる可能性がありますが、一定の条件を満たす必要があります。

その条件は、適格合併かつ消滅会社と存続会社との間で、支配関係が5年間以上継続している場合です。さらに、みなし共同事業要件を満たしている必要もあります。

要件は複雑なので、不安であれば専門家に相談してみましょう。

専門家

(参考:みなし共同事業要件により引継制限の有無を判定する場合 | 国税庁

吸収合併された従業員はどうなるの?

経営者

従業員がどうなるのか気になる…

吸収合併後に従業員はその後、どうなるのかを解説します。

消滅会社の経営者の中には、従業員がその後どうなるのかを気にしている方も多いため、参考になれば幸いです。

リストラの可能性はあるの?

経営者

リストラされないか心配…

結論を言うと、リストラの可能性はありません

会社法750条により、消滅会社との雇用契約は存続会社に引き継がれます。

このため、吸収合併をしたからといって、存続会社がその理由を根拠に雇用契約の解除をすることはできません。

給料はどうなるの?

基本的には給料は変わりません。

吸収合併では、消滅会社との雇用契約がそのまま引き継がれる形をとりますので、労働条件は原則変わることはないでしょう。

しかし、消滅会社と存続会社とでは給与の決まり方が変わる可能性、役職が変わる可能性があります。したがって、社内での再調整があった時に、少しずつ存続会社に合わせた給与形態に変化していきます。

これは決してネガティブなことだけではなく、存続会社の給与全般が高い場合には、給与が上がる可能性も十分あり得ることを意味しているのです。

専門家

退職金の扱いはどうなるの?

退職金の決め手となるのは勤務継続年数になります。勤務継続年数は吸収合併された後も引き続き継続されるため、退職金に大きな変化はありません。

以上から、給与面での従業員の大きなデメリットはないと言えます。

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実際の吸収合併の例:ソフトバンク株式会社(2021年4月23日)

実際の事例として、ソフトバンク株式会社が完全子会社の汐留モバイルを吸収合併した例があります。

モバイルwi-fi事業を手がけてきた汐留モバイルは、5Gや格安SIMなどの新規事業者が参入する中で、単体での企業経営が難しいとの判断を受け、親会社のソフトバンクに吸収合併されました。

このように、既に子会社であれば、吸収合併の適格条件に当てはまるケースが多くあります。このため、既に子会社の会社が吸収合併されることが多いのが実情です。

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まとめ 吸収合併のメリット・デメリットを留意しよう

本記事では、吸収合併のメリット・デメリットから従業員のその後の扱いまでをわかりやすく解説しました。

吸収合併には留意点もありますので、吸収合併でメリットを受けることができるかに留意して、M&Aを検討してみてください。

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