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孫子の兵法とは?従業員のモチベーションを上げる名言や戦略を紹介

孫子の兵法を戦略に活かし敗れたリーダーたちは何に失敗したのか

孫子の兵法とは、古くから戦略論の古典として知られている兵法書です。

書かれている知恵は現代のビジネスシーンでも活かすことができ、特に従業員のモチベーション向上、チーム力向上において役立ちます。

この記事では、孫子の兵法についての概要や従業員のモチベーションを上げるための具体的な名言や戦略を紹介します。

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「孫子の兵法」とは

孫子の兵法とは、今からおよそ2500年前の中国で著された兵法書で、戦争に勝つためのさまざまな戦略が書かれています。

著者は孫武という将軍で、全十三篇となっているものの、文字数は6,000文字程度と少ない点が特徴です。

孫子の兵法は、ただ単に戦争の戦略を説いた指南書ではなく、現代のビジネスの勝ち方にも通じる点があるとして、経営者の間では最高の指南書との呼び声高い作品です。

パナソニックの創業者である松下幸之助やビル・ゲイツも座右の書としていることで知られています。

孫子の兵法を学ぶことで、現代の企業や仕事の現場でも大いに役立てることができるでしょう。

「孫子の兵法」が長く読み継がれている理由

孫子の兵法が2500年以上も読み継がれている理由は、単なる戦争の戦略論にとどまらず、現代のビジネスにも通じる考え方や戦略が数多く含まれているからでしょう。

孫子の兵法では具体的な戦術だけではなく、戦争の目的や意義についても深く考察しています。

単に勝つことだけでなく、いかに少ない犠牲で目的を達成するか、長期的な視点で物事を考えることの重要性を説いているのも特徴です。

このような時代を超えて活用できる普遍的な価値観と具体的な戦略が、いまなお多くの人々に支持されています。

従業員のモチベーションを上げる孫子の名言

孫子の残した言葉にはさまざまな名言がありますが、ビジネスにおいては特に人事担当者や管理職が従業員のモチベーションを上げるために役立つものが数多く存在します。

従業員のモチベーションを上げる孫子の名言と意訳を紹介しましょう。

善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ

孫子の兵法「形篇」にある言葉で、「善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故に能く勝敗の政を為す。」というものがあります。

これを現代の言葉に直すと、「優れた兵法を使う者は、道義を重んじ、法規を遵守することで、戦況を有利に進めることができる。」という意味です。

戦いに優れた人は、人の心をひとつにまとめて隊の規律を守らせ、軍の統制ができる人である。

軍の統制ができているからこそ、勝敗を思うままにできるのだと説いています。

会社が成長するためには組織の規律が必要である

この孫子の言葉を現代のビジネスに当てはめて考えると、会社が成長していくためには日頃からリーダーがチームを統率し、メンバーの共感するビジョンや夢を説きながら士気を高めることが重要である、ということになるでしょう。

斬新なアイデアや優秀な人材だけでは、組織は成功できません。

適切な規律を設けて、メンバー全員が同じ方向を向くことで、初めて組織のパフォーマンスが最大限に発揮されます。

小さな組織では個人の能力や熱意で乗り切れることもありますが、組織が成長するにつれて、個人の能力だけでは対応できなくなり、マネジメントが必要になります。

そこで、理にかなった規律を設け、それを公平に運用することが重要です。

規律を設けて守らせることで、メンバーの行動を統一し、組織全体として効率的に活動できるようになります。

囲師には必ず闕き、窮寇には迫ること勿れ

「帰師には遏むること勿れ、囲師には必ず闕き、窮寇には迫ること勿れ。此れ用兵の法なり。」という名言は、孫子の兵法の「軍争篇」にあります。

これを現代語に翻訳すると、「帰ろうとしている敵を止めようとしてはならず、包囲した敵には必ず逃げる隙を与え、追い詰められた敵を追い詰めすぎないこと。これが用兵の原則である。」という意味です。

「窮鼠猫を噛む」という言葉があるように、戦う相手を徹底的に追い詰めてしまうと、追い詰められた相手は思わぬ攻勢に出てくる可能性があるという教えです。

相手に不満を持たせることは自社の利益にならない

「囲師には必ず闕き、窮寇には迫ること勿れ」という言葉をビジネスで考えると、相手に大きな不満を持たせると自社の利益にならないということになります。

例えば商談において、あまりにも自社にばかり有利な条件を出して無理に進めようとすれば相手の不満が爆発して破談になるリスクがあります。

そのため、自社の利益ばかり考えずに相手も納得できる条件を見つけることが大切です。

この名言が当てはまるのは商談だけではありません。部下の育成についても同じことがいえます。

もし、部下が何か失敗してしまっても必要以上に叱責し追い詰めてはいけません。あまりにも追いつめてしまうと、反発したり、ふてくされたりして指導の効果が薄れてしまうでしょう。

部下の失敗に行き過ぎたとがめを行うことは、自社の利益にならないと心得ておきましょう。

三軍の事を知らずして、三軍の政を同じうすれば、則ち軍士惑ふ。 

孫子の兵法「謀攻篇」にある「軍の以て進む可からざるを知らずして、之に進めと謂ひ、軍の以て退く可からざるを知らずして、之に退けと謂ふ、是を『軍をつなぐ』と謂ふ。 三軍の事を知らずして、三軍の政を同じうすれば、則ち軍士惑ふ。 三軍の権を知らずして、三軍の任を同じうすれば、則ち軍士疑ふ。 三軍既に惑ひ且つ疑うときは、則ち諸侯の難至る、是を軍を乱して引いて勝たしむと謂ふ。」という言葉。

これは特に企業の管理職にとって覚えておくべき名言です。

現代語に訳すと、「軍隊が前進すべきでない状況を理解せず、前進せよと命令し、後退すべきでない状況を理解せず、後退せよと命令すること。これを『軍を混乱させる』といいます。軍全体の状況を理解せずに、軍全体に対して同じ命令を下せば、兵士たちは混乱する。軍隊全体の権限を理解せず、すべての兵士に同じ役割を課せば、兵士たちは必ず疑心暗鬼になる。全軍がすでに混乱し、疑心暗鬼になっているとき、それは諸侯(他の国々)からの攻撃を受ける危機が迫っていることを意味します。これを、軍隊を混乱させて、引き返すことで勝利を得ようとする行為と言うのです。」となります。

指揮官が軍隊の状況を正しく把握せず、誤った命令を出すことで、軍隊全体が混乱してしまいます。

また、指揮官が直接末端の兵士に命令すれば現場のリーダーの士気に影響をすることも示唆しています。

指揮官の判断ミスが、軍隊の敗北につながる可能性があるという教えです。

現場を知らないリーダーの命令は現場を混乱させる

この孫子の名言は、現代のビジネスにおいても管理職が心に留めておくべきことです。

管理職が現場を現場リーダーに任せていて実情をよく知らないのであれば、現場のことには口出しをせずリーダーに任せるべきであるといえます。

現場リーダーと管理職との信頼関係や連携がうまくいっている企業は強くなり、成長が期待できます。

管理職が現場を知らないのに口出しをすると、末端の従業員を混乱させ、現場を任されているリーダーのメンツを潰すことにつながるでしょう。

リーダーの士気が下がり、結果的にチームの力が弱まって目標達成が遠のいてしまいます。

優れた管理職は、部下に任せたことには必要以上の口出しをしないことが大切です。

卒を視るに嬰児の如し、故に之と深谿に赴く可し

「卒を視るに嬰児の如し、故に之と深谿に赴く可し」という言葉は、孫子の兵法の「地形篇」に登場する言葉です。

この後には、「卒を視ること嬰児のごとし、故に之と倶ともに死す可し。 愛して令する能はず、厚くして使ふ能はず、乱して治むる能はざれば、譬へば驕子の如し、用ふ可からざるなり。」と続きます。

現代語に翻訳すると、「兵卒を赤子のように思い接すれば、彼らは深い谷底のような危険場所へも行けるようになる。兵卒を愛する子供のように思い、そのため彼らと共に行動し、共に死んでも構わないと思う。しかし、愛するばかりで命令することができず、間違いを正せずに統治できないのであれば、それはまるでわがままな子供のようなもので、使い物にならない。」という意味です。

上司は部下に我が子のように思いやりをもって接するべきである

「卒を視るに嬰児の如し、故に之と深谿に赴く可し」という名言は、現代のビジネスにおける上司と部下の関係にも通じるものがあります。

上司は部下を大切にし信頼関係を築く一方で、組織の目標達成のためには、時には厳しい決断を下さなければなりません。

上司が部下を我が子のように愛して目をかければ、部下はどのような困難な状況であっても上司についてきてくれるでしょう。

ただし、我が子のように愛するというのは、単に厚遇して甘えさせるという意味ではありません。

部下が誤った行動をしているときには厳しく注意したり、命令をしたりして、規律を乱さないようにしなければなりません。

上司の命令を聞けない部下は、わがままな子どもと同じで使えない部下になり得ます。

部下と接するときには、厳しい中に思いやりを持つことが重要といえます。

孫子の兵法を戦略に活かし敗れたリーダーたちは何に失敗したのか

過去に孫子の兵法を戦略に活かしたリーダーは数多くいます。

しかし、残念ながらすべてのリーダーたちが成功したわけではありません。

なぜ孫子の兵法を活かしたリーダーが失敗したのかについて紹介します。

「まず勝ちて、後に戦う」を体現していた石田三成

徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍の間で行われた関ヶ原の戦いにおいて、石田三成は「まず勝ちて、後に戦う」という孫子の兵法になぞらえた体制を整えて戦いに臨んでいました。

そして、後にこの布陣を描いたものを見た明治政府のお雇い外国人であったドイツ陸軍のメッケル少佐は、石田三成の勝利を確信していたとも言われています。

この逸話を裏付ける公的な資料はなく、司馬遼太郎の小説が影響した創作話なのではないかともいわれていますが、関ヶ原の戦いは実際に、布陣、陣容、勢力などいずれをとっても、石田三成のほうが優れていたとされています。

しかし実際には、石田光成は徳川軍に敗北し、350年余続く徳川の治世が誕生することになったのです。

小早川秀秋の裏切りによって敗北

一見優勢に見えていた石田三成が敗北した理由は、小早川秀秋による裏切りです。

関ヶ原に集結した東西の軍勢は、石田三成軍が8万に対して、徳川家康が7万といわれています。

数値に諸説あるものの、概ね石田軍のほうが優勢であったという史実に間違いはないでしょう。

しかし、小早川秀秋が徳川軍へ寝返り、1.5万の軍勢を率いて西軍の背後から襲いかかりました。

西軍8万のうち1.5万が寝返り東軍7万に加勢したのであれば、当然のことながら数字の逆転は致命的です。

寝返った1.5万の軍は、西軍の要衝を固めていた者たちであったことも原因といえます。

味方だと思っていた1.5万の軍の裏切りに、石田三成は成すすべもなく敗北してしまいました。

失敗の原因は無意識の楽観論

石田三成が関ヶ原の戦いで失敗したのは、無意識の楽観論からといえるのではないでしょうか。

石田三成は、過去の成功体験の延長で組織運営を捉えていたと考えられます。

「まず勝ちて、後に戦う」という孫子の兵法を「勝てる体制さえ整えれば必然的に勝てる」と過去の体験から誤読してしまっていたと考えられます。

さらに、過去の経験値以上のリスクを想定せず、小早川秀秋の裏切りを全く予見できなかったことは、リスク管理が甘いと評価せざるをえません。

最後の最後のツメの甘さが敗戦を招いたといえます。

まとめ

孫子の兵法は、単なる歴史書ではなく、現代のビジネスパーソンにとって貴重な教訓を与えてくれる書物です。

2500年以上も読み継がれる理由は、その普遍的な価値観と具体的な戦略にあると言えるでしょう。

孫子の兵法を理解して、ビジネスで役立ててみてはいかがでしょうか。

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