ブラック企業は悪い。これは大前提だ。違法な長時間労働やハラスメントで成果を出しても、それは成長ではなく消耗だ。
一方で今、別の種類の問題も見え隠れしてきた。見た目はホワイトで、空気も穏やかで、残業も少ない。なのに気持ちが重い。
当社の調査では、自社を「ゆるブラック」だと思う人が 37.8%。理由の上位は「収入が増えない」(67.0%)、「やりがいを感じられない」(44.0%)、「昇格しにくい」(43.0%)だった。つまり問題は“ゆるさ”ではなく、“実感のなさ”だ。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000029010.html
ゆるブラックの不満が示しているのは、働き方の問題というより「見えない結果の問題」だ。収入が増えない。やりがいが増えない。昇格しない。
「続けた先の見返り」がぼやけていることにあると言えるだろう。
同じ調査で「ゆるブラックを改善するには何が必要か」を聞くと、上位は「福利厚生の充実」31.3%に続いて「明確な評価制度」30.7%、「キャリアアップが見込める」29.0%だった。求められているのは、成果と評価の見通しだ。
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私生活では「ゆるつら」が流行り始めた
一方、仕事の外。SNSでは「ゆるつら(ゆるい+つらい)」がトレンドとして整理されている。
ゆるつらとは「楽をしたい、でもやった感も欲しい」という相反するニーズを満たす言葉だ。タイパ・コスパ前提の効率化が進むことで、あえて“少しだけ負荷がある活動”を選ぶようになる、という説明だ。
ここで大事なのは、ゆるつらが「根性論」ではなく、「日常に達成の跡を残す」ための工夫として出てきている点だ。
ほどよい負荷、ほどよい達成、ほどよい継続。そういう“ちょうどよさ”が良いんだという。
ただしどちらも同様。行動に伴う結果を求めているという点については、似たような部分があると言えるだろう。
職場では「ゆるつら」ではうまくいかない
私生活は、極端に言えば「自分が納得したら終わり」で成立する。だから、ゆるつらのように“ほどよい負荷”を自分で設計して、ほどよい達成を回収する動きが広がる。そこにあるのは、成果ではなく納得だ。納得が取れれば、続けられる。
ゆるつらが「楽をしたい、でもやった感も欲しい」という相反ニーズを満たすトレンドとして整理されているのも、その延長線上にある。効率化が進むほど、あえて少しだけ負荷を置く。日常に「達成の跡」を残すためだ。
では、職場ではどうすればいいのか。
部下ができることはシンプルだ。上司に成果の定義を引き出す。何を持って合格と呼ぶのか、この合格ラインを決めてもらう。これが曖昧なままだと、成果地点が曖昧になり、会社に評価されない。
努力しても報われない状態になるのもこれが原因だ。
ただし、これは部下だけの責任ではない。むしろ、上司の責任のほうが大きい。上司が部下に与えるべきものは、部下に背中を見せるでも、感謝の言葉でもない。求める成果の言語化だ。
何を達成してほしいのか。何を減らしてほしいのか。何ができるようになってほしいのか。これを明確にしないと、結果として部下はやりがいを感じられない。そして、自身も評価されなくなってしまう。
完全結果で評価制度を設計せよ
では、会社は仕組みをどのように設計すればいいのだろうか。
必要なのは「完全結果」で評価する仕組みだ。
完全結果とは、「誰が評価しても同じ結果(達成・未達成)になる」よう、期限と状態を明確にした状態を指す。例えば、10kmを60分以内に走るのように、誰がみても結果が明確であり、ずれない状態だ。
「10kmを全力で走る」のように、評価者の解釈に依存するものは避ける必要がある。これが、評価者と被評家者の認識のズレを生む原因になるからだ。
ゴールが明確になれば、努力は自己満足ではなく合意済みの成果に変わる。
実感とは、頑張った感覚ではなく、到達した事実からしか生まれない。評価制度は、その事実を可視化する装置であるべきだ。
一方で、会社の制度がすぐに変わらない場合でも、個人ができることはある。
繰り返しになるが、自分の仕事が何をもって成果と呼ばれるのかを、上司に確認し続けることだ。売上なのか、改善なのか、削減なのか。自分の役割が生む結果を一度言語化してみる。
そして上司に聞いてみよう。
「この状態になれば成果になりますか?」
「ここまで達成すれば評価されますか?」
基準を空白にしないこと。完全結果で評価されるための前提は、成果の定義を上司と揃えることにある。それが、自身が正しく評価されるための最初の第一歩になるだろう。
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