組織が大きくなるほど、「本部の意図が現場に伝わらない」「ルールが守られない」「改善提案が形骸化する」といった摩擦は避けられなくなります。
多くの企業が、同じ課題に何度も直面しているのではないでしょうか。
識学では、官僚組織から民間企業まで幅広い組織の運営事例を分析する中で、本部と現場が噛み合わなくなる原因は、コミュニケーション不足ではなく、「役割」と「結果」が曖昧なまま運営されていることにあると整理しています。
本記事では、再現性のある組織をつくるために欠かせない原則を、具体的な事例を交えながら解説します。
目次
官僚組織に見る「再現性の高い意思決定プロセス」
巨大な官僚組織では、一つの意思決定に多くの人が関与します。
制度を一つ動かすだけでも、専門家の議論、外部意見の反映、複数部署の承認といった段階を踏む必要があります。
このプロセスはしばしば「遅い」と批判されますが、裏を返せば、誰が、いつ、何を判断するのかが明確に定義されているということでもあります。
その中核にあるのが、事前説明の徹底です。
関係者にあらかじめ説明を行い、懸念点を把握し、調整を済ませたうえで正式な意思決定に進む。
この流れがルールとして共有されているため、担当者が変わっても同じ手順で物事が進みます。
属人的な「気配り」ではなく、再現可能なルールとして運用されている点に、官僚組織の強さがあります。
現場マネジメントで起きやすい「役割不明確」の失敗
一方、民間企業の現場では、「役割が曖昧なまま善意で動いてしまう」ことで、本部と現場の摩擦が生まれるケースが少なくありません。
たとえば、本部の立場で現場改善を目的に入り込んだものの、自分が「指示を出す上司」なのか、「支援する立場」なのかを明確にしないまま行動してしまう。
結果として、現場からは「外部の人間が勝手に評価している」「指揮命令系統が分からない」と受け取られ、反発や混乱を招くことがあります。
役割・権限・責任が共有されていない状態では、どれだけ正しい内容でも、指示は指示として機能しません。
ここに、本部と現場が噛み合わなくなる根本原因があります。
識学が整理する「本部と現場」の正しい距離感
識学総研では、本部と現場を上下関係ではなく、異なる役割を担う存在として整理しています。
- 本部の役割:目標を設定し、ルールを定め、結果を管理する
- 現場の役割:決められたルールの中で、目標達成に向けて行動する
問題が起きるのは、本部が現場の「やり方」にまで踏み込みすぎたときです。手段まで細かく指示されると、現場は考えなくなり、失敗しても「言われた通りやっただけ」という状態に陥ります。
識学が徹底するのは①ルールを守らせる規律、②目標に対する進捗管理の二つです。
本部はプロセスではなく「結果」を見る。
現場は結果を出すために、自分の頭で考える。この分業が成立して初めて、健全な関係が築かれます。
組織が変わる条件は「トップの覚悟」と事実の積み上げ
組織改革は、現場の不満だけでは進みません。
最初に必要なのは、トップの明確な決断です。
「このやり方を変える」「ルールを徹底する」という意思が示されなければ、改革は途中で止まります。
一方で、現場や中間管理職にも果たすべき役割があります。それは、感情や不満ではなく、「事実」を積み上げ続けることです。
どれだけ非効率なのか、どんなトラブルが起きているのか、改善によって何が変わるのか。
数字と根拠を示し続けることで、上位者は判断を迫られます。
トップは決断を示し、現場は事実を積み上げる。この両輪が揃って、初めて組織は動き出します。
規律とビジョンがあるからこそ、リモートワークは機能する
識学の組織運営がリモートワークと相性が良い理由は、「自由」ではなく「規律」と「ビジョン」が明確だからです。
全社員が守るべき難易度の低いルールが徹底され、守られていない場合には上司が必ず指摘する。
これにより、物理的に離れていても組織としての一体感が維持されます。
さらに、目標と評価基準がすべて言語化・数値化されているため、「出社しているかどうか」は評価に影響しません。
判断基準は常に、「役割を果たし、結果を出しているか」です。
リモートワークは、規律と評価軸が曖昧な組織では成立しません。
識学の実践は、その前提条件を明確に示しています。
まとめ:組織の本質は「役割」と「結果」の一致にある
本部と現場が噛み合わない原因は、人間関係や熱量の問題ではありません。
役割が曖昧で、結果が評価基準として機能していないことに尽きます。
役割が明確であれば指示は届き、結果で評価されれば責任も明確になります。
識学が提供しているのは、この「再現性のあるマネジメント」の型です。
トップはビジョンとルールを示し、現場はその枠の中で成果を出す。この一致こそが、組織を強くし、持続的に成長させる土台となるのです。










