北海道札幌市を本拠地とする賃貸住宅仲介会社として、主に生活保護者に寄り添ったサービスを手掛けているFORYOU。生活保護が受けられるか否かを診断する機能を備えたサイト『ほゴリラ』を独自に開発し、ユーザーを集客するという唯一無二のビジネスモデルを展開している。
そんな同社は、全国展開に当たり組織マネジメント力が追い付いていない課題に直面。識学を導入することで課題解決に繋げ、3年ほどで導入前の6~7倍まで業績アップに繋げるとともに、複数拠点展開の目途をつけている。
同社における識学導入のプロセスと効用について、井口社長に聞いた。
会社名 | 株式会社FORYOU |
所在地 | 北海道札幌市中央区南10条西6丁目6-21 2階 |
代表者名 | 井口 優 |
事業内容 | 賃貸住宅仲介ほか |
企業サイト | https://foryou2010.jp/ https://seikatsuhogo.biz/ |
目次
部長が部下を育成できず、社長が下りて介入していた
――まず、御社のサービス内容からお教えください。
主に、生活保護の方に向けた賃貸住宅の仲介を行っています。
厚生労働省の調査によると、日本の人口の6人に1人が生活困窮者となっています。にもかかわらず、自分は生活保護が受けられることを知らない人が1,000万人以上いると言われています。そこで当社では、生活保護診断ができる『ほゴリラ』というサイトをつくり、どなたでも利用できるようにしています。『ほゴリラ』で集客した生活保護申請が可能な方に対しては、申請に同行するサポートを行って確実に支給が受けられるようにしています。
そして、信用などの点で部屋を借りることが困難な生活保護者の方に、当社が賃借している物件をサブリースする形で提供し、マネタイズしています。
――こうしたサービスを手掛けられている理由とは?
札幌市の賃貸仲介は飽和状態で、コロナ禍前は民泊の形でサブリースを行うモデルで差異化をしていました。ところが、コロナ禍で民泊が消滅し、事業転換が迫られたのです。そこで、生活保護に着目しました。
都道府県別の生活保護受給率で北海道が全国2位と高いからですが、それまでも生活困窮者が住まい探しの困難に直面していることを目の当たりにしてきたからです。『ほゴリラ』は事業転換補助金を活用して構築しました。
――御社のようなサービスを提供している事業者はほかにあるのでしょうか?
今のところ、『ほゴリラ』のようなサイトまでつくって当該サービスを提供している事業者はほかに知りません。
――では、そのような御社が2021年9月に識学を導入いただいた経緯として、どういった課題があったのでしょうか。
当社は、このサービスを全国展開させたいと考えているのですが、私のマネジメント力として10名を管理することが限界であると感じていたことが、大きな課題としてありました。
また、営業担当者を統括する立場である部長のマネジメントにも課題があったのです。営業で実績のある部長は、部下に背中を見せて自分のやり方を真似させるような指導をしていて、部下がなかなか成長できずにいました。そこで仕方なく私が下りて行って介入したのですが、どのように行動すればいいかを1対1で濃厚にアドバイスしていたので、10名が限界だったのです。したがって、それ以上部下が増えると、“お荷物”となるような存在が増えるという構図になっていました。
“成果視点”の識学コンサルティングで、やるべきことが明確に
――識学を選ばれた経緯とは。
組織コンサルティング会社を調べて何社かに相談を投げかけた中で、最も成果に繋がりそうと感じたのが識学でした。識学はネットで知り、無料相談を利用したところ、私が求める成果を部下に具体的に落とし込めていないことによって、部長以下部下が迷っているのではないかと指摘されたのです。これが刺さりました。また、従来、ミッションやビジョン、パーパスなどで社員の意識を統一するといったマネジメント手法が言われていますが、それでは不十分で、「姿勢のルール」などで縛る必要があるという指摘も納得できるものでした。
――実際に識学のコンサルティングを受けて、どういったことがためになりましたか?
それまで、目標は営業部門に対して売上を示すだけ、考課も売上だけで行っていました。それに対して、識学からはあらゆる部門に明確な目標を示すだけでなく、どうすればその目標に到達するかの指標となるKPIを設定する必要があると指摘されたのです。そこで、例えば営業であれば架電率や追客率といったKPIややるべきことを言語化した表を作成したわけですが、こうしたことはやったことがありませんでした。識学の“成果視点”は非常にためになりましたね。
――一方、違和感を覚えるようなことはありませんでしたか?
細かなKPI設定にアレルギーを起こした部下がいて、数名が退職しました。ただ、退職したのは成果が上がらなかった者で、逆に成果を上げていた者はやるべきことが明確になったことを歓迎してくれました。
また、私自身が覚えた違和感は、「介入してはならない」と言われたことでした。部下とも接するなと。その時は、「介入しなければ会社が潰れてしまうのでは?!」と不安になりましたが、識学のコンサルタントを信じて勇気を出して実践したところ、結果オーライでした。
――つまり、成果目標ややるべきことを明確にしたら、プロセスまで介入せず本人に考えさせるということですね。
そのとおりです。部長も部下のプロセスに介入させず、私も部長とは週1回ミーティングを行って情報共有をするだけにしました。また、人事考課の指標もKPIと一致させました。すると、部下はそれぞれ自分で考え、工夫するようになったのです。
メンバーが自責的になり、業績も大幅に向上
――どんな変化がありましたか?
非常に大きいのは、自責的になったことですね。それまで、「問い合わせ件数が少ないのが悪い」「営業が契約を取れないのが悪い」などと責任を擦り付け合うようなところがあったのですが、そうしたことがなくなりました。まず自分でどうすれば自らのKPIをクリアできるかを考えるようになったのです。
――自然とそのようになった、と。
識学の動画学習を部下に行わせたり、コンサルタントの講習を受けさせたことも大きかったと思います。
余談ですが、No.2の専務もさっそく安藤社長の三部作を読み、すっかり識学の信奉者となりました(笑)。
――では、これまでのところの肝心な成果についてお教えください。
まず、導入前の社員数10名から、2024年5月時点で約20名まで増えています。拠点も、横浜に出して5名を配属させています。さらに、同年9月には京都と福岡にも出す計画を進めています。
売り上げは、導入前はコロナで落ち込んでいたという事情もありますが、1億円を割る状況でした。それが、2024年度は6~7億円まで伸びるトレンドにあります。3年半で7倍という勢いですね。
そして、部下は上司に経過介入されなくなって、その分のストレスがなくなったと思います。私も介入しなくなって自分の時間が激増し、ストレスフリーになりました。
――今後の課題はどういったことでしょうか。
拠点を任せられるマネージャーの育成です。当面は札幌本社で育てて現地に赴任してもらい、メンバーは現地での採用を考えているのですが、1年間という想定期間では足りません。想定より時間がかかっているのが正直なところです。やはり個人差があるので、対象候補者を予定より多めに採用し、早く成長できた者をアサインしようと考えています。
――最後に、同様の悩みを抱えている経営者にアドバイスをお願いします。
部下が育たず業績が上がらないのであれば、弊社のように識学理論に基づく目標やルール設定と経過介入しないという手段で、状況を変えることができると思います。私のように社長のストレスも軽減できるので、検討してみるといいのではないでしょうか。
インタビューイープロフィール
代表取締役 井口 優
22歳で飲食業で起業し現在は賃貸仲介、売買、管理、民泊の不動産業を運営。
主に生活保護の方に住居を提供する不動産を運営している。
会社紹介文
北海道札幌市を本拠地として、不動産賃貸仲介業を手掛けています。特徴は、住まい探しが困難な生活保護者向けに、同社が借り上げた物件をサブリースする形で支援していること。このために、生活保護診断機能を備えた独自のサイト『ほゴリラ』をリリースして集客し、候補者には生活保護申請に同行して確実な支給に繋げるサービスまで行っています。
なお、拠点として横浜に展開し、京都や福岡にも展開する見込みです。