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ケースメソッドとは?ケーススタディとの違い、実施手順を解説!

ケースメソッドとは

ビジネススクールでよく用いられる教育手法「ケースメソッド」は、主体的な学びを促進できることから、部下の人材育成にも活用できると考えられています。

ケースメソッドを効果的に活用することで、問題解決能力の高い従業員を育成できるようになるでしょう。

本記事では、人事担当者やマネージャー向けに、ケースメソッドについて解説していきます。

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ケースメソッドとは?【アクティブラーニング】

ケースメソッドは、受講者が「実際に起こった出来事(ケース)」を読み込んだ後に、分析結果や意思決定の内容を議論する授業形式を指します。

近年、教育現場では、生徒が能動的に学べるように設計された「アクティブラーニング」と呼ばれる授業形式が採用されるようになっています。

ケースメソッドも、アクティブラーニングの1つです。

ただし、アクティブラーニングの中でもケースメソッドは、実務能力の育成に特化していることから、ビジネスシーンでの活用に向いていると言えます。

ケーススタディとの違い

ケースメソッドに似ている言葉として、ケーススタディが挙げられます。

ケーススタディは、論文などの成果物や、実際に起こった事例を研究して、自分の知識として取り込んでいく授業形式を指します。

ケースメソッドとの大きな違いは、受講者の態度です。

ケースメソッドは受講者が能動的に学習するのに対して、ケーススタディは受動的な学習だと言えます。

どちらも一長一短ですが、ケースメソッドの方が、実務能力を養いやすいことから、ビジネスマン向きだと考えられます。

ケースメソッドの実施手順

ケースメソッドの実施手順は以下の通りです。

  1. ケースを選定
  2. 各個人で予習
  3. グループディスカッション
  4. クラスディスカッション
  5. フィードバック

それぞれ詳しく解説していきます。

手順①:ケースを選定

まずはケースを選定します。実在するケースを選定してもいいですが、現実に即しているのであれば、架空のケースでも問題ありません。

また、ケースにはファイナンス・人事・経営戦略・商品展開など、様々なジャンルが存在します。

業務内容に近いケースを選ぶのはもちろんのこと、場合によっては、全く関係ないジャンルを選ぶのも有効な手段です。

なぜなら、全く違うジャンルから得られるエッセンスが、あとで自社の事業に役立つかもしれないからです。

どちらにせよ、ケースメソッドはあくまでも「人材育成」のために用いられる授業形式なので「自社が求める人材」を育成するのにマッチしたケースを選定するようにしましょう。

手順②:各個人で予習

ケーススタディでは、授業開始前から複数のケースがまとめられた教材が配布されるのが一般的です。

授業が始まる前に、各個人は教材を読み込んで、具体的な提案を準備する必要があります。

この段階で準備した具体的な提案をベースに議論を進めることになるので、受講者は自分なりの考えをしっかりまとめなければなりません。

この過程も、ケーススタディにおける非常に重要なステップです。

手順③:グループディスカッション

事前に実施された個人研究の内容を元に、各グループで議論を実施します。グループは、一般的に6〜8人で構成されるようです。

このグループディスカッションでは、教員はほとんど介入せず、議論の内容を評価項目に加えることもありません。

また、グループディスカッションはあくまでも情報共有の場であり、後述するクラスディスカッションのプレゼン準備期間でないことを、あらかじめ説明しておきます。

まずは受講者全員が自由に発言し、共に教え合う環境として、グループディスカッションを活用した方がいいでしょう。

手順④:クラスディスカッション

グループディスカッションが終わった後は、教員主導によるクラスディスカッションが開始されます。

教員が受講者に対して問いかけをするので、それに対して受講者が回答するケースです。

ただし、受講者は教員に対してプレゼンするわけではありません。

あくまでも、自分の考えをクラス全体に主張する場として活用していきます。

また、ビジネススクールの場合、クラスディスカッションでの立ち回りが、評価に含まれるようです。

手順⑤:フィードバック

クラスディスカッションが終わったあとは、教員がフィードバックを実施します。

ただし、このフィードバックの内容は、ケースメソッドの残り時間や教員次第で異なります。具体的には以下が挙げられます。

  • 残り時間で徹底的に討議する
  • 教員が補足的な講義を実施する
  • 最終的な解決策を決定する

ケースメソッド全体を通して重要なのは「ケースメソッドに答えはない」ということです。

ケースメソッドで出てきた個人の意見や最終的な解決策に、正解や不正解はありません。

なぜならビジネスの場で、明確な正解はほとんど存在しないためです。

それよりも、1つのケースからどれだけの経験を積めるかが重要だと考えられています。

ケースメソッドは、あくまでも意思決定の経験値を積むための実務的な授業に過ぎません。

試験を実施しているわけではないので、結果よりもプロセスが求められるのです。

ケースメソッドの3つのメリット

ケースメソッドのメリットとして以下の3つが挙げられます。

  • 知識が身につく
  • 実践的な能力が身につく
  • リーダーシップを育成できる

それぞれ詳しく解説していきます。

メリット①:知識が身につく

ケースメソッドを実施することで知識が身につくメリットがあります。

実際にいくつものケースメソッドを実施することで、重要な意思決定が求められるシチュエーションをたくさん知ることができるからです。

また、ケースメソッドはあくまでも机上の授業形式なので、自分に関係ないジャンルのケースからも経験値が得られます。

ケースメソッドを通じて資金調達の雰囲気を理解しているエンジニアと、そうでないエンジニアでは、視点が明らかに違ってくるはずです。

このように、ケースメソッドを通じて幅広いジャンルの知識を身につけておくことは、ビジネスを有利に進められるきっかけに繋がります。

メリット②:実践的な能力が身につく

ケースメソッドを実施することで、実践的な能力が身につくようになります。

ケースメソッドは、ケースに没入して問題解決方法を探る授業形式なので、受動的な授業形式に比べて実践的な能力の習得に繋がりやすいと考えられます。

特にこれは、新人研修で大きなメリットになるでしょう。

自らが主体的に物事を考えるケーススタディであれば、現場でも活用できる実践的な能力を身につけられる可能性があるのです。

メリット③:リーダーシップを育成できる

ケースメソッドを実施することで、リーダーシップを育成できる可能性があります。

ケースメソッドで養える問題解決能力、主体性、実践力は、いずれもリーダー人材に求められる資質です。

また、ケースメソッドでは、意見の違う他者と議論する機会もあります。

これは、意見が食い違う部下を相手にする状況に近いです。

そのためケースメソッドは、リーダー人材の研修でも活用可能だと考えられます。

ケースメソッドの3つのデメリット

ケースメソッドのデメリットは以下の3つです。

  • 指導者の力量に左右される
  • 明確な答えがない
  • 実際のビジネスシーンで役立つとは限らない

それぞれ詳しく解説していきます。

デメリット①:指導者の力量に左右される

ケースメソッドは指導者の力量に左右されるのがデメリットです。

実際にテーマを提示する指導者の力量によって、ケースメソッドの質は大きく変動します。

また、ケースメソッド自体が、教員にとって馴染みの薄い授業形式なのも問題です。

少なくとも、アクティブラーニングの実施経験のある教員に依頼する必要があると言えます。

デメリット②:明確な答えがない

ケースメソッドには、明確な答えが存在しません。

これは、日本式教育に支配された従業員にとっては、馴染みの薄い要素だと言えます。

一般的な日本式の教育は、問題に対する答えが定められていました。

国語の読解問題に対しても、一定の範囲内での回答が求められています。

そして、答えのある世界の中で結果を出すことが、日本の学歴社会で重要でした。そのため「明確な答えがない」ということは、多くの従業員にとって「無意味」に受け止められる可能性があります。

ケースメソッドを実施する際は「そもそもビジネスの場で明確な答えは存在しない」ということをしっかり強調して、ケースメソッドを受ける意義を説明する必要があるでしょう。

デメリット③:実際のビジネスシーンで役立つとは限らない

ケースメソッドは、あくまでも机上で実施される授業形式です。

そのため、実際のビジネスシーンで必ずしも役立つというわけではありません。

実際のビジネスシーンでは、もっと複雑な問題が立ちはだかったり、選択を誤ることで大きなダメージを負ったりする可能性があります。

この緊張感は、机上では中々体験できません。

ケースメソッドは、あくまでも授業に過ぎません。

「経験を積ませる」という意味では、やはり現場の方が多くの経験値を獲得することができます。

ケースメソッドはどのように活用するのが効果的なのかを、しっかり検討する必要があるでしょう。

ケースメソッドで使える事例3選

ここではケースメソッドで使える事例を3つ紹介していきます。

事例①:適切な不祥事対応は?

ケースメソッドで使える事例として、まず挙げられるのが不祥事対応です。

【ケース】

一部の顧客が、自社製品に対してセキュリティの問題を報告しました。この問題は既にマスメディアに取り上げられており、社内での誤りが原因だと明らかになっています。

【問い】

顧客の信頼を取り戻すためにどのような措置を取るべきか。また、マスメディアに対してどのように対応し、問題改善に対する具体的なアクションプランはどのようにすべきか。

不祥事対応は、少しでも判断を誤ると大きな問題になるセンシティブなケースです。

現場で経験を積むことが難しいので、ケースメソッドとの相性が抜群のテーマだと言えます。

事例②:カフェを作るならどこに建てる?

次に考えられる事例は、カフェなどの飲食店の立地です。

【ケース】

あなたは、客単価1万円を超える超高級カフェを開業する計画を立てています。このコンセプトを実現できる立地を検討している最中です。

【問い】

高所得層が集まる場所はどこになるのか。また、高級感を演出し、独自性を打ち出せる立地条件はどこになるのか。

チェーン店であれば、数字を用いた計算である程度の立地を絞り出せますが、独自コンセプトを打ち出す店舗は、様々な視点で立地を検討する必要があります。

これも「明確な答えがない」ケースなので、ケーススタディとの相性は良いと思われます。

事例③:リモートワークをどれくらい普及させる?

最後に紹介するのは、リモートワークについてです。

【ケース】

あなたは大手企業の経営陣の1人として、リモートワーク導入の戦略を検討しています。どれくらいの範囲でリモートワークを普及させるか決定しなくてはなりません。

【問い】

自社の業種や特性に合わせたリモートワークのバランスはどの程度になるか。また、リモートワークのポリシーにはどのような項目を盛り込むべきか。

リモートワークは、従業員にとっても身近なトピックなので、様々なアイデアが生まれる可能性があります。

従業員がイメージしやすいケースは、議論が盛んになる傾向があるので、教材の中に適度に盛り込んでいくのがいいでしょう。

まとめ

それでは本記事をまとめていきます。

  • ケースメソッドは受講者が「ケース」を読み込んだ後に、分析結果や意思決定の内容を議論する授業形式のこと
  • ケースメソッドは受講者が主体的に参加するアクティブラーニング
  • ケースメソッドを実施することで、実務的な能力を養える可能性がある

 

ケースメソッドは、実務的な能力を養える数少ない授業形式です。

まだ現場に立たせられない新入社員やマネージャー候補に対して実施することで、大きな効果が望めるでしょう。

ケースメソッドの導入を検討するのも悪くないかもしれません。

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