人事評価セミナーは、評価者をまとめて指導したい時におすすめの方法です。
ただし、闇雲に導入しても効果が発揮されるとは限りません。
本記事では人事評価セミナーの目的や、導入のタイミングについて解説しています。ぜひ最後まで読んでみてください。
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目次
人事評価セミナーとは?
人事評価セミナーとは、その名の通り、人事評価を指導するためのセミナーです。
具体的には、被評価者を公平に評価できるように評価者を指導します。
主な対象者は、部下を指導・評価する評価者の方々です。
また、人事評価制度構築に携わる人事評価担当者や、管理職を指導する経営層の方々も対象になることがあります。
人事評価セミナーの目的
人事評価セミナーの目的は以下の3つです。
- 評価者が人事評価制度を深く理解できるようにするため
- 公正な人事評価を実施するため
- 人材育成や人材配置に役立てるため
それぞれ詳しくみていきましょう。
評価者が人事評価制度を深く理解できるようにするため
人事評価セミナーの目的として、評価者が人事評価制度を深く理解できるようにすることがあげられます。
そもそも人事評価は、ただ評価することが目的ではありません。
評価内容を通じて賞与を決定したり、人材配置を検討したり、人材育成に繋げたりすることが目的のはずです。
この点を履き違えると、適切な人事評価を実施できない可能性があります。
そのため、人事評価セミナーによって、人事評価の目的を評価者に指導するのです。
また、人事評価には一般的なテンプレートが存在しており、まずはこれを頭にしっかり叩き込むことが大切です。
基礎が盤石になることで、初めて個性が生まれます。
人事評価の基礎を指導するのが、人事評価セミナーの目的の一つです。
公正な人事評価を実施するため
人事評価セミナーの目的の一つに、公正な人事評価の徹底があげられます。
なぜなら人事評価では、評価者の主観が介入しやすいからです。
もし仮に不公正な人事評価を放置してしまうと、部下が不満を抱くようになり、組織全体のパフォーマンスを大きく落としてしまう可能性があります。
また、最悪の場合、従業員の不服申し立てで起訴されることもあるのです。
基本的に、不公正な人事評価は評価者の主観が入ってしまうことで引き起こされます。
そのため、人事評価セミナーを通じて、評価者の主観が入らないように指導することが大切なのです。
公正な人事評価を実施するためには、評価者の教育が必要不可欠です。
そこで人事評価セミナーは一つの選択肢になり得るでしょう。
人材育成や人材配置に役立てるため
先ほども述べた通り、人事評価制度は評価そのものが目的なのではなく、あくまでも人材育成や適切な人材配置が目的です。
つまり、人事評価セミナーを実施する理由として、人材育成や人材配置に役立てることもあげられます。
具体的には、人事評価のメソッドだけでなく、面談のやり方や被評価者の目標設定などを学ぶ必要があるのです。
関連記事:適材適所とは?ビジネスで重要な理由や実現する方法を解説
人事評価セミナーが必要なシチュエーション
人事評価セミナーが必要なシチュエーションは以下の3つです。
- 公正な人事評価が実施されていない
- 人事評価が企業の成長に繋がっていない
- 部下からの不満の声が上がっている
それぞれ解説していきます。
公正な人事評価が実施されていない
公正な人事評価が実施されていない場合、人事評価セミナーが必要となります。
公正な人事評価が実施されない理由としては、主に2つ考えられます。
1つめは、先ほども述べた通り、評価者の主観が入ってしまうケースです。
これは、評価者が意図的に主観を入れている場合もありますが、大半は無意識に主観が加わっていると考えられます。
客観的な評価を徹底させるために、人事評価セミナーは有効です。
そして2つめは、評価者によって評価項目が異なる場合です。
これは人事評価の基準が明確になっていない際に発生する現象で、これも不公平な人事評価だといえます。
評価内容に画一性を生み出すためにも、評価者全体で同様の内容の人事評価セミナーを実施する必要があるでしょう。
関連記事:人事評価と自己評価のズレとは?なぜズレが生じるのか、その理由を解説
人事評価が企業の成長に繋がっていない
人事評価が企業の成長に繋がっていないと感じているのであれば、人事評価セミナーの導入を検討すべきです。
先ほども述べた通り、人事評価は評価を決定するのが目的ではなく、人材育成や適切な人材配置が本来の目的となります。
この目的意識が欠けてしまうと、ただ評価するだけになってしまい、企業の成長に繋げることができません。
そこで人事評価セミナーを導入することで、評価者に目的意識を芽生えさせるのです。
企業の成長を実感できない場合、まずは人事評価システムを疑ってみてください。
部下からの不満の声が上がっている
部下からの人事評価に対する不満の声が上がっているのは、赤信号のサインです。人事評価セミナーの導入を検討してください。
部下から不満が出ているということは、企業に対して不信感を持っているともいえます。
これは生産性の低下や従業員エンゲージメントの低下に繋がる恐れのある極めて危険な状態です。
優秀な人材が流出してしまうことも考えられます。
部下から不満の声が出ている時は、具体的にどのようなことが不満になっているのか原因を特定し、迅速に解決させる必要があるでしょう。
そこでもし人事評価に問題があったのであれば、人事評価セミナーの導入を選択肢の一つとしてあげるべきです。
人事評価セミナーを外注する場合の選択肢
人事評価セミナーを外注する場合の選択肢は以下の4つです。
- コンサル企業
- 社労士事務所
- 一般社団法人
- 学校法人
それぞれ解説していきます。
コンサル企業
まずはコンサル企業に依頼することがあげられます。
人材育成に強みを持っているコンサル企業の多くは、人事評価セミナーを実施しているようです。
そのコンサル企業が強みを持っているテンプレート的なセミナーはもちろんのこと、自社のためのカスタマイズ型のセミナーも展開されている場合があります。
また、コンサル企業の多くは様々な企業でのセミナーを通じて経験を蓄積しているため、他者事例をヒアリングすることができるのもメリットです。
社労士事務所
労働・社会保険の専門家である社会保険労務士(社労士)も人事評価セミナーを実施している場合があります。
また、人事評価制度の構築も手がけていることが多いです。
社労士事務所ごとで労務に強い事務所や人事に強い事務所があるので、まずはそこをしっかり見極めて依頼することをおすすめします。
また、問い合わせで見積もりを提示してもらうことができるので、複数の社労士事務所にコンタクトを取って、比較してみるのもいいでしょう。
一般社団法人
一般社団法人でも人事評価セミナーを実施している場合があります。
ただし法人によって、実施形式が異なる点には注意が必要です。
講師を派遣する場合や、会場での研修、オンラインでのセミナーなどがあります。
また、一般社団法人は非営利の企業なので、コンサル企業や社労士事務所と比べると、費用が安価な傾向があるのがメリットの一つです。
学校法人
学校法人でも人事評価セミナーを実施していることがあります。具体的には、大学の経営学部などです。
研究目的であることがほとんどのため、実際に効果が得られるかはわかりませんが、先進的な人事評価セミナーを受けることができます。
また、コンサル企業などに比べて費用も安価です。
また、人事評価セミナーを通じて優秀な学生に目をつけることができるのもメリットでしょう。
人事評価セミナーでは何を学ぶ?
人事評価セミナーでは以下の要素を学ぶことができます。
- 人事評価制度の仕組みや目的
- 公平な人事評価
- 人事評価の活用方法
それぞれ具体的にどのようなことを学ぶのか、解説していきます。
人事評価制度の仕組みや目的
人事評価セミナーでは、人事評価制度の仕組みや目的を学ぶことができます。
仕組みに関しては、評価基準・評価項目・評価手順などが含まれることが一般的です。
例えば評価基準が業績・能力・情意の3つの要素によって成り立っていることや、それぞれの要素の評価項目を学べます。
このようにして、まずは人事評価制度の基礎を徹底して学ぶことで、評価者の地盤を形成していくのです。
公平な人事評価
公平な人事評価を実施するために人事評価エラーについても学びます。
人事評価エラーとは、評価者の主観が入ってしまうことで不公平な人事評価が実施されてしまう減少のことです。
具体的には以下の人事評価エラーがあげられます。
- 確証バイアス
- 期末効果
- ハロー効果
- 寛大化傾向
- 厳格化傾向
- 中心化傾向
これらの人事評価エラーを避けるためには、具体的で根拠のある数字だけを信用するなど、客観的な事実だけで評価することが必要です。
人事評価セミナーでは、これらの人事評価エラーや対策法を学ぶことができます。
人事評価の活用方法
人事評価セミナーでは、人事評価そのものだけでなく、人事評価の活用方法も学ぶことができます。
具体的には、1on1面談における従業員のモチベーションの引き出し方や、生産性を高める目標設定方法などです。
また、人事評価を活用したことで成長に繋げることができた事例も学ぶことができます。
これによって、評価者は企業の成長を意識しながら人事評価に取り組むようになるでしょう。
よくある質問
ここでは人事評価セミナーのよくある質問について回答していきます。
人事評価セミナーを導入すべきかの決め手は?
自社だけで評価者を指導できそうにないと判断した時に、人事評価セミナーを導入するようにしてください。
基本的には、まずは可能な限り自社で評価者を指導すべきです。
その理由としては、人事評価セミナーを導入に関するコスト節約はもちろんのこと、社内だけで評価者を育成できるエコシステムを構築すべきだからです。
そして、現在所属している従業員だけでエコシステムを構築できないようであれば、人事評価に強みを持つ人材をスカウトするのがいいでしょう。
人事評価セミナーを導入するよりも、人材をスカウトしてしまった方が、評価者を指導できる環境を長きにわたって維持できます。
それでも人事評価における問題を解消できそうにないのであれば、人事評価セミナーを導入してみるのがいいでしょう。
なお、人事評価の問題は先送りになる傾向があるため、可能な限り先回りして対処することをおすすめします。
「気がついた時には優秀な人材が全て抜けていた」という最悪なシチュエーションを常に想定し、そうならないように対策をすべきです。
人事評価セミナーを導入する際の注意点は?
人事評価セミナーを導入する際の注意点として以下の3つがあげられます。
- コストとリターンが釣り合っているか検討する
- 公正な人事評価を企業風土に落とし込むことができそうか議論する
- 将来的には自社の個性も盛り込むようにする
まずは、人事評価セミナーのコストとリターンが見合っているのかを確認しましょう。
コンサル企業などのセールストークに惑わされず、客観的な視点で検証する必要があります。
また、人事評価はリターンを可視化しづらい領域です。
そのため、なおさら慎重に検証して、本当に自社の利益に繋がるのかどうかを確認すべきでしょう。
次に、人事評価セミナーを導入した後に、公正な人事評価を企業風土に落とし込むことができそうかを議論すべきです。
この点が明確になっていない状態で人事評価セミナーを導入してしまうと、効果がすぐに切れて、数年後に再び問題になることが考えられます。
人事評価セミナーを導入する際は、その効果が長期的に持続するように、企業風土に落とし込む意識が大切です。
そして将来的には、自社の個性を人事評価制度に落とし込む意識が必要です。
例えばイケア・ジャパン株式会社では同一労働・同一賃金が徹底されており、パートタイム含めた全ての従業員が福利厚生を受けることができます。
ジェンダー差別撤廃を掲げる北欧企業らしい人事評価制度で、ブランドイメージ構築に役立てていることが容易に想像できます。
人事評価では攻めの意識が大切です。人事評価セミナーを導入する際は、人事評価で自社を変えるぐらいの気概を持つことが必要なのかもしれません。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- 評価者が被評価者に対して公平に評価できるようにするために人事評価セミナーが存在している
- 人事評価セミナーであれば、評価者全員を均一的に指導できる
- 人事評価セミナー導入を検討する際は、コストとリターンが見合っているかを精査すべき
人事評価セミナーは評価者全員を均一的に指導する際に有効です。しかし、実際に企業の利益に繋がるかどうかはわかりません。
また、可能な限り自社で評価者を指導するのが望ましいといえます。
人事評価セミナーを導入するかどうかは、人事評価担当者や経営層が判断します。
適切な選択ができるようにするためにも、人事評価セミナーのメリット・デメリットをしっかり把握するようにしましょう。