ITの発展で、どんどん便利になる現代。さらに今後は、消費者行動がGAFAに筒抜けになる時代も変わるかもしれません。
私たちが今生きているWEB2.0の時代では、全ての情報はプラットフォーマーに集中します。
例えば、WEB上でどれほど素敵なコンテンツを作ったとしても、それは使用しているプラットフォームを活性化させるひとつの部品でしかありません。Google上で作られる企業のホームページも、Youtubeで再生される有益なコンテンツも、Appleストアで販売されている有名なゲームも、全て原理は同様です。
また、現在特に顕著に情報を収集されているのは「個人」です。
私たちがインターネット上で検索を繰り返す、あるいはアプリケーションサービスを利用し、ECサイトでの商品購入をする度に、本来個人のものであったはずの私たちの消費行動は、プラットフォームに蓄積されていきます。
このプラットフォーマーに集中する情報を分散させ、今後は情報を民主的なものにしていこうという試みが、WEB3.0です。
この記事では、WEB3.0の意味、実現する新しい未来、実際のサービスをわかりやすく解説します。
目次
WEB3.0とは?
WEB3.0とは、ブロックチェーンという技術を利用し、情報を分散的に管理する仕組みのことを指します。一言で言えば「インターネットの民主化」です。
WEB3.0を理解するためには、それまでのWEB時代を理解する必要があるため、WEB1.0時代からの変遷を確認していきましょう。
WEB1.0
WEB1.0の時代は、まだインターネットができて間もない頃のことを指します。明確な定義はありませんが、おおよそ1990年代〜2004年頃までの、情報を調べるツールとしてインターネットが機能していた頃をWEB1.0の時代とすることが多いです。
当時はHTMLを使用した情報発信が主であり、画像や動画は少なく、ましてや商品を売買できるプラットフォームはありませんでした。
メッセージもメールでやりとりをするのが一般的だった時代のため、情報の発信者と閲覧者がインタラクティブにコミュニケーションを取るのが難しかった時代でもありますでした。
WEB2.0
WEB2.0の時代とは、人々が相互的にコミュニケーションを取れるようになった時代のことで、2005年〜2021年頃までを指します。GAFAがインターネット上を支配するようになった時代とも表現されます。
WEB2.0の時代において、私たちはSNSを通じ簡単に情報を発信できるようになり、その情報に対しコメントができるようになりました。つまり、インターネットがひとつのコミュニケーション手段になったのです。
また、インターネットは商品購入の場にもなりました。例えば、私たちは現在Amazonやメルカリなどの他に、企業の独自ページで簡単に商品を購入することができます。
簡単に情報にアクセスでき、交流ができ、ショッピングさえもインターネット上で行えるようになった便利な時代になりましたが、その一方でプラットフォーマーが過大な情報を握るようになったともいえます。
私たちの検索行動、消費行動はプラットフォーマーに筒抜けになり、プラットフォーマーはその情報を利用して、さらに私たちの商品購入意欲を掻き立てるようになりました。
例えば、インターネット上で私たちが、なにかある商品を高頻度で検索すると、その後掲載される広告が全てその商品、あるいは関連商品になったという体験がある人は多いでしょう。
つまり私たちはいつでも自由に欲しい情報、ものにアクセスできる権利を獲得したのと引き換えに、個人の情報を収集されるようになったのです。
裏を返せば、そうした個人情報を蓄積しているプラットフォーマーがハッキングなどにあえば、私たちの情報も盗まれかねない時代になったとも言えます。言い換えることもできるでしょう。
WEB3.0
WEB3.0の時代では、非中央集権というのがひとつのキーワードになります。
前述の通り、WEB2.0時代においては、プラットフォーマーへの情報の集中がひとつの問題点となっていました。
WEB3.0時代においては、WEB2.0時代の快適さを残しつつも、情報をプラットフォーマーから個人に戻そうとする動きが活発化します。この動きを支える技術がブロックチェーン の技術です。
ブロックチェーンとは、サーバーではなく多数のコンピューターで情報を管理する仕組みのことです。今までは、使用するサーバー上に情報が蓄積されていましたが、ブロックチェーン技術を用いると、ネットワークに繋がったパソコン同士で情報を共有することになります。
このため、情報は誰しもが確認できるものとなるため、情報の公平性が保たれることとなるのですります。
また、WEB3.0になることで従来よりもセキュリティが高くなるとも言われています。ブロックチェーンは、更新される情報が文字通りチェーンとして連なっていくため、従来よりも情報を改ざんされにくくなるからですのです。
以上をまとめると、WEB3.0の時代では、情報の集中が分散化され、かつセキュリティも従来よりも高くなるといえます。
WEB3が実現する新しい技術:NFT
映像やアート、ネット上の記事のコンテンツに対し所有権を与えるのがNFTです。NFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の頭文字をとった略語で、簡単にいえば唯一無二のデータであるとことを示すことができる、新技術です。
わかりやすい例でいうと、かつて音楽業界ではCDを販売するのが主な収益源でしたが、現在では既に定額の音楽サブスクリプションサービスが一般化しているため、CDを買う人は少なくなっています。
しかし、NFTを活用し、音楽データに歌手のサインがついた唯一のデータを受け取ることができれば、ただの音楽データに高い付加価値が生まれる可能性があります。
事実、NFT化されたTwitterの共同創業者、ジャック・ドーシー氏のツイートがおよそ3億円で落札されるなどの動きは既に起こっています。
現在、メタバースという仮想現実を楽しむことができる新サービスが展開され始めていますが、メタバース内で建設された建物、土地が唯一無二のものとして価値を生むのもNFTあってこそです。
このため、今後もNFT技術を活用したサービスが展開されることが期待されます。
WEB3.0の今後
2022年2月の衆議院で「今後WEB3.0を成長戦略に盛り込む可能性がある」という趣旨の議論をしています。このことからも、GAFAの呪縛から解き放たれ、日本が持続的な成長を続けるための手段としてWEB3.0を推進するという動きは進んでいきそうです。
その一方で、同会議でも発言があったようにりましたが、課税のあり方については一層の議論が必要になります。
例えば、暗号資産のベンチャー企業が株の代わりにガバナンストークン(運営する権利を保有するトークン)を保有した際、仮にトークンが現金化されていなくとも、時価で評価され課税されるのが現状です。
このままだと、将来有望なスタートアップの会社、あるいは優秀な人材が課税優遇国へと流出することになるため、ガバナンストークンに対する課税に関して対しては、ss今後見直しが必要になりそうです。
まとめ
WEB3.0は、今後の世界のあり方を変える新技術です。プラットフォーマーが覇権を握る構造が刷新され、新技術に対応した企業、国が今後の情報産業を率いる可能性は十分にあります。
その一方で、日本においてはまだ法整備が十分に整っていないことも事実です。
上記はベンチャーキャピタリスト、佐俣アンリ氏のツイートですが、有望なスタートアップが日本を離れ海外へと流出されないためにも、今後さまざまな法改正がなされていくでしょう。