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【書評】マネジメント[エッセンシャル版] 基本と原則 (P.Fドラッカー著、上田惇生編訳)

【書評】マネジメント

2001年12月に日本語版が発行された「マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則」(P.Fドラッカー著、上田惇生編訳)。本書は1974年発行の「マネジメント――課題、責任、実践」より、ドラッカーのマネジメント論を初心者向けにまとめた1冊です。発行から月日がたっているにもかかわらず、今なおマネジメントのバイブルとして、学生から企業経営者まで、世代を超えて読み続けられています。

本書の内容はドラッカーによる考察によって構成されています。現在では、予言ともいえるその考察が現実化していることを実感することができます。

例えば多くの企業が、本書に書かれたマネジメントの手法をお手本に現在経営を行っていますし、企業に対する社会的責任はますます大きくなっています。

本書を手にする読者にとって、これは単なる予言の書ではありません。本書には、まさにマネジメントの「基本と原則」が詰まっているのです。

 

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成果をあげるための社会的機関としての組織

「マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則」には、全編を通して、一環して使われているキーワードがいくつかあります。その中で、最も重要な言葉が「成果」です。

ドラッカーは本書の中で、「われわれの社会は、信じられないほど短い間に組織社会になった」と説いています。組織社会以前は、個人と家族にゆだねられていた、生産、医療、年金、福祉、教育、科学、環境といった分野でも、現在の社会は組織にゆだねられています。

本書により、読者は、社会的機関としての組織に所属する個人としての自分自身をあらためて、発見することができます。そして、組織が「成果」をあげることによって、われわれの社会が豊かになることを理解することができます。

確かに、組織を家族と考えると、成果をあげなければ、生命の存続は難しいことになります。現代の組織社会において、組織が成果をあげることはすべての人にとって非常に重要です。

現在の企業にとって、従業員のモチベーションを上げることは重要な課題になっています。企業は、個人が所属する組織のひとつです。従業員が「成果をあげるための社会的機関としての組織」として企業をとらえることができれば、従業員自身の自己実現につながる高度なモチベーションになります。

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マネジメントの役割とは?

ドラッカーは本書の中で、マネジメントには三つの役割があると述べています。現在多くの企業でマネジメントの役割に応じたマネジメントの実施を目にすることができます。

1.    自らの組織に特有の使命を果たす

マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在します。ドラッカーは、本書の中で、企業の目的は顧客(市場)を創造することとして、マーケティングは顧客の欲求からスタートすべきであると記しています。現在、多くの企業が「顧客第一主義」をうたい、顧客満足度(CS=customer satisfaction)を重要視したマーケティングを行っています。

2.    仕事を通じて働く人たちを生かす

現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の貨(かて)、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段です。つまり、組織である企業のマネジメントも、仕事を通じて従業員を生かす役割があります。

現在の企業においては、顧客満足度(CS=customer satisfaction)とともに、従業員満足度(ES=Employee Satisfaction)も、マネジメントの重要な指標になってきています。

3.    自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する

企業にとって社会的責任は重大な問題です。社会的責任は、自らの役割を検討し、目標を設定し、成果をあげるように、マネジメントしなければなりません。企業が社会に与える影響への責任はもちろんの事、社会全体の問題についても貢献しなければならないのです。

企業のマネジメントと成果

企業のマネジメントは成果をあげるためのものであり、組織内部を安定させたり、トップや創業者が地位を維持するためのものではありません。実際の企業でもこの大前提を誤り、企業を弱体化させたり、倒産した例は数多くあります。企業の外にある成果をあげるために、イノベーションを行い、常に新しい可能性を探っていく企業が、現代を生き抜いている企業です。

マネージャーによるマネジメント

ドラッカーは、本書の中で、「成果」という言葉を一貫して使用しています。企業における人のマネジメントもこの成果が当てはまります。人のマネジメントについて考えるとき、一人ひとりの人間の強みと知識を生かして生産的なものにすることが重要なのです。

組織においてマネージャーは、オーケストラの指揮者のように、従業員の強みを生かして、弱みを消し、従業員全体の人的資源の総和よりも大きい成果を生み出さなければなりません。マネージャーとは、成果への貢献という責任をもつ者です。

従業員は正しいプロセスで、いい仕事をしたけれど、成果は上がらなかったということではマネージャーが責任を果たしているとは言えないということです。また、成果が上がらなければ、組織の中で、従業員は正しいプロセスで、いい仕事をしたという評価を得られることはないでしょう。

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まとめ 本書はマネジメントのバイブル

「マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則」は、何らかの結論を出すことを意図したものではなく、問題を提起するためのものだったとドラッカーは、述べています。

その問題提起の多くが現実として現在の社会や企業で実現されています。マネジメントをめぐる問題は過去のものではなく、現在進行形です。

本書は、マネジメントのバイブルとして読まれ続けるでしょう。

 

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