あなたは、「ルール」という言葉にどんな印象を持ってるでしょうか?
「息苦しい」「縛られる」「クリエイティブな発想が生まれにくい」など、比較的ネガティブなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
しかし、「ルールがない」や「ルールがあいまい」という状態では、組織に様々な問題が発生します。今回は組織の中で「ルール」が果たす役割について考えていきます。
目次
経験や置かれている環境によって「ルール」は異なる。
「それぞれが行うことに、上司からの細かい取り決めがない組織運営で、できる限りルールがない組織運営だからこそ、それぞれが自発的に動き、目標達成に向けたアイデアを出し合い、それらが融合することで組織は急速に成長していく。そして、一人ひとりは自分の提案したアイデアが形になっていくことにやりがいを感じて生き生きと仕事をする」
これは、一見、理想的な組織運営であるように感じます。しかし、結論から言うと、これで正常に組織運営をし続けることは不可能です。なぜなら、「ルールがない」と言っても、実際には、各人が独自のルールを持っており、各人はその独自のルールによってあらゆる判断をしているからです。例えば、新入社員と中途社員では個人が持っているルールに違いがあって当然です。中途社員が持つルールには、これまで属してきた会社のルールが少なからず影響を与えています。
また、学生時代にいわゆる体育会組織のような規律の厳しい組織にいた人間と、そうでない人間とでも、個々が持つルールには違いがあります。ルールが違うということは、「解釈がずれる」ということです。つまり、会社内で起きる一つの事象に対して、ある人はAだと考え、ある人はBだと考えるということです。
ルール(解釈)がずれると、何が起こるのか?
解釈がずれた状態でコミュニケーションをとると、莫大なロスタイムが発生します。それぞれのルールの答え合わせに時間がかかるのです。例えば、A君とB君で次のような会話をしたとします。
A君「B君は甲子園に行ったことがある?」
B君「行ったことはないよ」
一見、何も問題ない会話のように思えます。しかし、双方の「甲子園に行く」の解釈(ルール)がずれていたらどうでしょう?
A君 甲子園に行く=阪神甲子園球場に観戦に行く。
B君 全国甲子園野球選手権に出場する。
こうなると、どうでしょう?会話は続きます。
A君「そうなんだ。野球好きなのに意外だね」
B君「もちろん、試合は観に行ったことはあるよ」
A君「違う、違う。だから、試合を観に行ったことがあるかを聞いてるんだよ」
B君「そっちか!勘違いしていたよ」
ここまで来てようやくコミュニケーションが成立しました。
ルールが無い組織や、曖昧な組織では、このような「ルールの答え合わせ」が頻繁に行われています。時間の大半を、これらの答え合わせに割いている組織も少なくないでしょう。このような組織では、目標達成に対して不必要なコミュニケーションが増えるため、時間を無駄にすることになり、目標達成が遠のいてしまいます。
なぜ、リーダーの評価に不満が噴出するのか?
ルールの無い組織では、評価に対する不満も多くなります。なぜなら、リーダーの独自のルールに従ってメンバーの評価がなされるからです。例えば、こんな会話を聞いたことはないでしょうか?
上司「今期の売上目標を達成するために、自由な発想でチャレンジしてくれ」
部下「こんないいアイデアを思いついたので、チャレンジさせてください」
上司「これは俺の長年の経験から、うまくいかない気がするからダメだ」
部下「いや、うまくいくと思います。そもそも自由な発想って言ったじゃないですか!」
この組織では、部下が「良い」と評価したことに対して、上司が「悪い」と評価しているので、当然部下の評価に対する不満が発生します。
何をすべきだったかと言うと、「誰がどういう基準でアイデアを評価するのか」というルールを事前に設定するべきだったのです。
個々がもつアイデアや自由な発想を求める組織においても、やはりルールは必要なのです。「自由なアイデア・発想」と「ルール」は相反するものではありません。ルールの中で自由に発想し、アイデアを出していくことが必要なのです。
明確なルール設定によりスピード感ある組織に。
組織運営においてまず重要なのは、組織の構成員が同一のルールのもとに身を置いていると確実に認識することです。そうでなければ、コミュニケーションは成立せず、出てきたアイデアの正しい評価もできません。
逆に、明確なルールが設定されており、構成員がそれを認識できている組織では、目標達成に不必要なロスタイムが発生しにくいため、最短で目標に到達することができます。組織運営を見直す第一歩として、このルール設定が非常に重要なのです。
もし、「具体的にどんなルールを作ればよいのか」「それをどのように運用したらよいのか」など、詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度識学のコンサルタントにご相談ください。