モチベーションは上司が与えるものではなく、部下自身で設定するものと識学は定義付けています。
与えるモチベーションは部下が錯覚を起こして、給与プラスαとしてモチベーションを働く必須条件と捉えるので、モチベーションを感じるかどうかで仕事をするしないを選び出します。
もちろんモチベーションは働く上で大きなエネルギーになることは事実で、成長を促進する要素としは非常に重要なものです。
では、部下に放任なのですか?モチベーションを発揮するもしないも部下次第なのですか?と思われますよね。
最後は当事者である部下が発揮しないといけないのですが、実は発揮させる為の環境を組織、そして上司がどう作るかが最も重要なのです。
今回は自己設定する内発的動機と呼ばれる真のモチベーションの発生方法についてご紹介致します。
目次
明確な結果設定による環境づくり
モチベーションが自己発生する為には、「達成感」などの所謂出来るようになったという感覚を覚えることで、またこの感覚を味わいたいと思うようにならなければなりません。
その為には明確に「出来た」と認識できる環境が必須です。つまり上司の結果設定が明確である必要があるということです。
例えばこんなケースはどうでしょう?
上司が「俺のように早く一人前の仕事が出来るようになることがお前の目標だ」と伝えたとします。
すると部下は「早く上司のように一人前になろう」と明確な答えが無いものを追いかけます。
そうなると、ある時部下の認識では「もう上司と同じくらい十分仕事が出来るようになったから目標達成だ」と思うようになることがあっても、上司は「まだ全然出来ていない」と認識にズレが生じ、部下は「どうすれば達成なの?」と迷い続けます。
また、結果が不明確なことにより迷いが生じると、部下はその迷いが出来ない理由として成立すると錯覚するので、出来ない言い訳を探すようになります。
つまり出来ないのは自分のせいではないという他責の思考になるのです。こうなるといつまでたっても出来たという「達成感」には届かないですよね。
部下にモチベーションを発揮させる為に上司がやるべきことは、部下にとって言い訳の無い明確な結果設定なのです。その為には上司と部下の間で100点満点の状態の認識がズレない結果設定が必須です。例えば「この営業実績を超える数字を〇ヵ月後までに達成すれば一人前だ」と定量化し期限を切って求めることです。この設定が部下に迷いを無くし、追い求めることで達成時にモチベーションが発生します。
正しい評価による環境づくり
「明確な目標」を設定すれば、確かに上司部下の間で認識のズレが無くなり、達成時に部下は達成感などの「内質的動機」を得ることができます。
しかし、この明確な結果設定に加えてもう一つ重要な要素があります。
それは内質的動機と連動する給与や地位といった「物質的動機」です。
そしてこれを担保するには正しい評価制度が必要です。
今回お伝えしたいこの評価に関しては、結果だけをもとにした評価が必要であるということです。
というのも、評価基準にプロセスや仕事への姿勢を持ち込むと、評価そのものが主観的になってしまい、上司の好き嫌いや気分に左右されて評価がブレます。こうなると部下は何を基準に仕事をすればいいか分からなくなり、仕方なく自己で勝手に評価基準を設定し、上司が求める基準とはズレた基準で突き進んでしまいます。
そして達成時に部下は、出来たという内質的動機を得るのですが、当然上司の基準とはズレた結果になっているので、評価は得られず物質的動機を得ることが出来ません。
すると本来内質的動機と物質的動機は連動する関係性にも関わらず、物質的動機が得られないことに部下は不満を抱き、この最悪のシナリオが離職だったりもします。
よって上司は主観的な見解を評価には入れず、結果のみを持って評価を下す必要があり、この環境が部下に自発的にモチベーションを発生させる要因に繋がります。
まとめ
今回は部下自身で設定する真のモチベーションの発生方法についてご紹介致しました。
- 上司は明確な結果設定をすることにより、部下に言い訳無くかつ迷わず行動させ、達成時に明確に「出来た」という認識を持たせること。
- 主観が入るプロセスは入れない、結果のみによる評価制度により、達成した時に内質的動機と物質的動機が正しく連動するようにする。
上司が部下のモチベーションに関与するのは、発生する環境をつくるところまでです。
この環境を上記2点のように正しくつくっていき、部下に真のモチベーションを発揮させていきましょう。