少子高齢化に加え、働き方が多様化している昨今において、新卒採用にはどの企業も悩みを抱えていることかと思います。
一昔までは会社が応募者を一方的に選ぶ時代でしたが、今は応募者が会社を選ぶ「売り手市場」になっています。
こんな中、やっと採用できた新卒社員が、思うように成長せず、そうかと思えばだんだん不満の声が強くなり、ついには1年も経たずして辞めていくといったケースもあるかと思います。
この新卒採用に悩みを抱える企業が多いのは、単純に新卒者の分母が減っているだけではなく、世の中の仕事に対する考え方が多様化していることが一番の要因です。
今回はこの厳しい新卒採用の時代に、注意すべき人材採用のポイントをご紹介します。
目次
新卒社員の錯覚を見抜け
新卒社員は次の2つの錯覚をしているケースが多いです。
その一つ目は「入社後も会社を評価する意識を持ち続けてしまう」ことです。
入社を決めるまでは「成長できる環境か」「会社の風通しはどうか」「福利厚生面はどうか」等々、多方面からその会社を検討します。
つまり会社を評価し、最終的に「ここが一番だ」と評価が一番高かった会社に入社をすることになります。
もちろんこれ自体はごく当たり前のことで、錯覚ではありません。
当然就職活動中は会社を選ぶ評価者ですが、外部の環境がどうであれ、入社した瞬間からは新卒社員として会社から評価される立場に変わります。
これが事実です。
それにも関わらず、入社してからも「自分は会社に吟味された特別な存在だ」という強い認識から、会社を評価できると錯覚を起こしてしまうことが問題なのです。
何もなくてもこの錯覚が発生することがあるので、もし採用時や入社時に社長が「君にはこの会社の将来を期待しているから、何かあれば社長である私に直接言いなさい」とか「うちは風通しのいい会社をつくりたいと思っているから、上司にはどんどん提案しなさい」と言ってしまった日には大変な勘違いを起こします。
新卒社員は評価者の立場を捨てることができず、むしろそれがさらに強化されていくことになります。
そして現実を知り、「社長に言ったけど、全然相手にされなかった」「なんで上司は僕のこの提案を採用しないんだ」「誰に何を言っても変わらないこの会社はダメな会社だ」と会社を評価し続け、不満を持って辞めていくことになるのです。
二つ目は「いつまでも教えてもらえる立場でいる」ことです。
社会人になれば最初は新卒研修といった教えてもらえる機会が設定されていたりもしますが、その後は基本的に自身で考え必要に応じて上司や仲間に聞きに行くといった行動を取らないといけません。
それにも関わらずそもそも学生時代までの感覚が抜けず、「出来るようになるまでは会社が教えてくれる」と錯覚してしまっていることもあれば、社長や上司が辞めないよう優しく接し、何かにつけて手取り足取り教えてしまうことで、新卒社員は「自分は教わって当然」という錯覚を起こすのです。
こうなると実際は徐々に教えてもらえる頻度が減る中で「うちの会社は仕事について何も教えてくれない」などと筋違いの不満を持つようになるのです。
甘やかすと優しさは違う
このように新卒社員は会社側の発言もあり、錯覚を起こし、不満を抱き離職に繋がるといった残念な結果を招くケースがあります。
このようなことが起きないよう、採用時に以下のポイントを注意する必要があります。
まずは、遅くとも入社時には新卒社員に「あなたは会社を評価する立場から、会社に評価される立場に変わった」ということを伝えておくことです。
そして、会社では自ら“学び”を獲得しなければならない存在であることも伝えて下さい。
もしかしたら最初から厳しいのではと思われるかもしれませんが、結局錯覚したままでは成長はしませんし、辞めて次の会社に転職しても遅かれ早かれまた転職をすることになるでしょう。
真の優しさとは成長する為に「事実を認識させる」ことです。
まとめ
今回は、新卒社員の注意すべき採用ポイントをご紹介しました。
- 新卒社員は入社後も評価者である錯覚を起こしやすい。
- 新卒社員はいつまでも教えてもらえる立場であると錯覚を起こしやすい。
- 事実を認識させることが新卒社員への真の優しさである。
勘違いの発端は実は会社側にあったりします。該当するところがあれば是非見直してください。