あなたは、下記のような疑問や悩みを抱えていませんか?
- 「部下との面談ってどうすればいいの?」
- 「部下の成長を促進するには、どのような面談をするべき?」
- 「こちらにやる気があっても、部下が心を開いてくれなくて困っている」
近年、「1on1ミーティング」という言葉が注目を集めており、「面談」によるチームマネジメントや人材育成が広く行われています。
確かに、面談は部下の成長を促し、部下との信頼関係を構築するための重要なアプローチです。
しかし、急に面談をやらなければならないときや、普段の業務が忙しい中での面談となると余裕がなく、面談の効果を最大限引き出すことはできません。
本記事では、面談力を鍛えて部下の成長を促したい方に向け、面談の基本的な知識やポイント、注意点などを解説していきます。
目次
部下と面談をする前に把握しておきたいこと
まず、面談をする前に「なぜ面談をしなければならないのか?」という点を再確認しておく必要があります。
何のためにやっているかわからない状態で部下と面談をしても、何も得るものがないまま終わってしまうかもしれません。
部下と面談をする目的は、大きく分けて下記の3つが挙げられます。
- 部下の育成
- 信頼関係の構築
- 部下の意欲向上
それでは一つずつ解説していきます。
部下の育成
部下と面談をする最も重要な目的は、フィードバックをすることによる部下の育成にあります。
フィードバックでは、部下の行動に対してどのようにすればさらによくなるのかを伝えて、軌道修正を促すことで部下の成長を狙います。
具体的には、これまでの成果に対して評価を行い、部下のどのような点が問題か、またはどのような課題を抱えているのかを話します。
そして、今後の能力開発や業務改善に必要な要素を洗い出していきましょう。
部下は自分自身では、日ごろの業務や行動が成果につながっているのか、自分は成長しているのかといったことを判断できません。
したがって、上司によるフィードバックの機会を設けることで自身が目指すべき方向性や軌道修正をする方法がわかるため、部下の成長につながります。
信頼関係の構築
部下と面談をする2つ目の目的は、部下との信頼関係の構築です。
上司と部下との間に信頼関係があれば、部下は仕事の成果をあげやすくなります。
互いに信頼できない職場の場合、相手に仕事を任せることができなくなり非効率的になってしまいます。
また、部下と信頼関係がなければ、人間関係におけるトラブルに発展するかもしれません。
したがって、面談においては部下の話をしっかりと聞く「傾聴力」が重要です。
部下の意欲向上
部下と面談をする3つ目の目的は、適正な評価をして部下の意欲を向上させることです。
もしあなたが上司と面談をした際に、上司が不明瞭な根拠に基づく評価によって処遇を決めていることがわかったらどう感じるでしょうか?
たとえあなたが成果をあげていたとしても、それが評価されているのかわからないのですからモチベーションが下がりますよね。
客観的な根拠に基づいた公正な評価によって、部下が「自分の成果が評価されている」と感じることができればモチベーションアップにつながります。
また、評価や処遇に納得してもらうためにも、一方的にこちらの考えを伝えるのではなく、部下と話し合うことで納得度も高まるでしょう。
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部下との面談を成功させるポイント
部下との面談を成功させるために意識しておくべきポイントは下記の4つです。
- 面談中の部下が何を考えているのか想像する
- 部下に対して傾聴の姿勢をもつ
- 面談の意味や目的を前もって共有しておく
- 部下へのアドバイスはヒントに留める
それでは一つずつ解説していきます。
面談中の部下が何を考えているのか想像する
まず、部下との面談を成功させるためには、部下の気持ちを考える必要があります。
ある調査によると、部下が面談に対して期待していることは下記のような点だということがわかりました。
- 上司との信頼関係の構築
- フィードバックによってより成長できる
- 目標を設定してもらい、目標達成のために努力できる
- 口に出して喋ることで考えが整理され、より仕事に集中できる
このように、部下は面談に対して自身の成長や、思考の整理、上司との信頼関係構築を期待しています。
しかし、すべての人がこのような期待をしているわけではありません。
一方では、下記のようなことを考えているケースもあります。
- 恐怖:怒られるかもしれない
- 疑問:忙しいのにやる意味あるのかな
- 諦め:この人に話しても何も変わらない
このようにネガティブなケースもあるため、部下をよく観察してその時々、または相手ごとに最適な対応を取ることが重要です。
部下に対して傾聴の姿勢をもつ
「部下が何を考えているかなんて、わからないよ」という方もいるかもしれません。
そこで重要になることは、部下に対して傾聴の姿勢をもつことです。
相手の話にじっくりと耳を傾けて聴くという「傾聴力」は、部下と面談をする際に極めて重要な要素といえます。
しかし実際に面談をするとなると、多くの方はついつい、
- 部下に何を話したらいいんだろう?
- 部下がもっと成長するためにはどうするべきか教えたい
- 会社やチームの方向性を伝えるべきだ
といったように、こちら側から相手に「伝える」ことばかり考えてしまい、部下の話を聴く姿勢を忘れてしまいます。
もちろん、部下に大切なことを伝えることも必要ですが、それ以上にまずは部下の話を聴くことで心を開いてもらうことが大切です。
信頼関係を築けなければ何を伝えても部下の心に響くことはありません。
面談の意味や目的を前もって共有しておく
部下との面談を成功させるポイントの3つ目は、面談をする意味や目的を前もって共有しておくことです。
上記でも見たとおり、「面談をする意味はない」「面談の目的がわからない」と考えている部下もいます。
なぜ面談をするのかは事前に伝えておきましょう。
もし、面談の日時だけを急に伝えられて面談当日を迎えたとしても、上司主導で進む面談となってしまいます。
このような面談の場合、部下は「何のための面談なのか」や「面談では何を話せばよいのか」がわからず、面談の意味がなくなってしまうのです。
したがって、部下には「なぜ面談をするのか?」といった目的を事前に伝えて、目的を持って面談に臨めるように準備させておきましょう。
部下へのアドバイスはヒントに留める
部下と面談をする際に、部下が抱える悩みや課題に対して相談に乗ってあげることは大切です。
この時、上司が部下の問題を直接解決してあげたり、直接的なアドバイスをするのではなく、あくまでも「ヒント」をあげるだけに留めましょう。
なぜなら、上司が部下の問題を直接解決してしまうと、上司に頼り切りになってしまうためです。
また、部下は「問題を自分で解決した」という感覚が持てず、成功体験になりません。
部下が問題を抱えている際は解決するためのヒントを与えて、部下に自分で解決させることが重要です。
こうすることで、部下は「上司は頼りがいがある」という安心感と、自分で問題解決をした成功体験により、成長することができます。
部下との面談の進め方
部下と面談をする際の具体的な進め方を見ていきましょう。
- お礼と面談の目的を伝える
- アイスブレイクを設ける
- 現状や自己評価の確認
- 相手の話を聴く
- 話を聴いた上で柔軟に対応する
- 部下が成長していることを伝える
- フィードバックを行い、クロージングする
それでは一つずつ解説していきます。
お礼と面談の目的を伝える
まず、部下との面談ではいきなり本題に入るのではなく、忙しいなか面談に来てくれた部下に対して感謝を伝えましょう。
上司の方が忙しく、面談を手間だと考えている上司もいますが、それ以上に部下は面倒だと感じていたり緊張していたりするのです。
その後、今回の面談の目的や趣旨を確認します。こうしておくことで、話が脱線することを防げます。
アイスブレイクを設ける
面談の目的を伝えた後は、少しの間だけアイスブレイクを設けましょう。
1対1で上司と部下が話すという場面は、上司にとっても部下にとっても緊張を強いるものです。
緊張状態では話したいこともうまく話せなくなってしまうため、お互いの緊張を和らげるためにも仕事に関係ない話から面談をスタートさせましょう。
部下の現状や自己評価の確認
アイスブレイクが済んだら、次は部下の現状や自己評価の確認を行います。
部下に自己評価を話してもらうことで、双方の評価の相違点を浮き彫りにできます。
また、部下が疑問に感じていることや、業務について気になる点がないかどうかなど部下の現状を理解することも重要です。
部下の現状を把握することで、気づかなかった問題点や課題を発見することができます。
現状の理解をする際は、現状から確認し、過去、そして最後に未来の話をしましょう。
初めから未来の話をしたり、過去の失敗や成功について話すのではなく、まずは現状の把握から始めることで、コミュニケーションの齟齬を減らせます。
相手の話を聴く
面談がうまくいったかどうかを判断する際の指標の一つとしてとなるのは、「部下がどれほど話してくれたか」が挙げられます。
部下があまり話さなかったり、上司が喋りすぎて部下が上司の話を聴く側に回っているのであれば、面談者の技術が不十分ということも考えらます。
ポイントは「この人はあまり喋らない人だから」や「この人は口下手だから」という、勝手な思い込みを捨てることです。
その人が喋らないのは単純に面談者との信頼関係を築けていないだけかもしれません。
したがって、
- 日常的に部下とコミュニケーションをとる時間を増やす
- 事前に面談をする部下と親しい人物から話を聞いておく
- 仕事以外の雑談ができる関係性を構築しておく
などにより、相手が心を開いて話してくれるような関係性を築いておくことが必要です。
話を聴いた上で柔軟に対応する
事前に頭の中で適当な落とし所をイメージしておいてしまうと、予定調和で終わってしまいます。
例えば、「この人にはこういう助言をしたほうがいいだろう」と面談の前から考えていると、その助言に沿うような形で面談を進めてしまいます。
結果的に、自分が望む回答を得るための誘導尋問のようになるでしょう。
部下は上司が思っている以上に上司の顔色を伺っていることがあるため、部下が忖度した回答をするような面談では意味がありません。
面談においては前もってどのように進めるかを具体的にイメージするべきではありません。
面談中に相手の話をよく聴いた上で、気がかりな点や深堀りするべき点を見つけて、柔軟に対応することが求められます。
部下が成長していることを伝える
人は自身が成長しているかどうかを自分で判断することができないため、部下の成長している点を上司が伝えてあげることが重要です。
部下は自分が成長していることがわかれば自信やモチベーションアップ、自己肯定感の向上につながり、仕事の生産性が上がるでしょう。
特にネガティブな人や心配性な人は、自己評価が著しく低い場合があるため、重点的にポジティブな評価を与えることが求められます。
具体的には、
- 部下が成長したことや学んだことを高く評価する
- 部下が自分で思っている以上に成果をあげていることを伝える
- 1ヶ月間で何をしてきたかを一つずつ挙げてもらう
といったことをすることで、部下は自身の成長を実感できるようになります。
フィードバックを行い、クロージングする
面談では部下の課題や目を背けたくなるような現実について伝えてることが重要です。
ここまでのステップで部下はポジティブな気持ちになっています。
ネガティブな情報に対しても自分の成長のためだと理解しやすいため、ネガティブフィードバックは最後に行うことが重要です。
またここでポイントとなるのは、あくまでも「事実」を伝えることです。
事実を伝えることで、部下が言い訳をする余地がなくなり、上司が言っていることに納得できるようになります。
例えば、あえて大げさにフィードバックをすると、部下は不必要なプレッシャーを感じてしまいます。
また、事実確認をせずに「こうなんじゃないか」と推測で話すことも避けて、あくまでもファクトベースで伝えるべきです。
フィードバックが終われば、なんとなくのタイミングで終わるのではなく、しっかりと区切りをつけて面談をクロージングさせましょう。
関連記事:【動画】即実践できる!部下を最速で成長させる管理方法とは?
まとめ
ここまで部下との面談において重要なことや、具体的な面談の進め方を見てきました。
多くの人は「自分には傾聴力がある」と考えていますが、残念ながら普段から本当に人の話を聴けている人はごく僅かではないでしょうか。す。
したがって、面談の時だけでもいいので、傾聴することをしっかり意識することが重要となります。