予期せぬトラブルに見舞われた際、いち早く原因を究明し、再発防止に努めたいはずです。では、原因究明をする際に気を付けるべきことは何でしょうか。この記事では、意識構造を論理的に検証して組織マネジメントに落とし込む識学の考え方に基づき、複数人で原因究明する際の注意点について、解説していきたいと思います。
目次
人の思考には癖がある
識学社では、「人の思考には癖がある、人は過去の経験や知識をもとに考えるしかない」とお伝えしています。複数の人が集まって原因究明をするということは、各人に思考の癖があるまま議論を進めることになりますので、話がまとまりません。
そんなときは、一番経験ある人がリーダーとして中心に話をすることが多いのではないでしょうか。その分野の経験や知識が豊富にあればあるほど、さまざまなアイデアが出てくるからです。
そういう発言権のある人が言えば、周囲は「そうなんだ」と思い込み、議論にならない事態が起こります。そこで、さまざまな意見を出すために、ファシリテーターを用意して議論を深めることが一般的です。
しかし、ファシリテーターを置けば万事解決というわけではありません。鍵は、事実情報と個人的な見解を分けることです。
事実情報をもとに話を進めていく
例を挙げると、「Aさんが言っていました」は事実情報です。これに対し、「Aさんはきっと~と言いたかったのだと思います」は個人的見解です。個人的見解は、その人が持つ過去の経験と知識のフィルターを通して物事を捉えたことになりますから、正しいかどうかは分からないわけです。
複数人で原因究明をする際に注意すべきは、事実情報をもとに会話が進んでいるのかどうかです。個人的見解をもとに話を進めては正解にたどり着けません。
過去の経験と知識が豊富な人がいれば正しく導き解決に近づくことがありますが、実際の原因とずれた内容について会話をしてしまうことがあります。ずれのない会話をするためには、事実の捉え方が重要です。事実が足りず個人的見解で会話している場合は、事実を収集することから始めましょう。
事実を収集するために必要なもの
事実を収集する際は、行動ではなく結果についての事実を集めることです。行動を分析してしまうと、「個人的見解」にもとづいた議論になってしまいがちで、時間だけはかかるけれど結論が出ない、落とし穴にはまってしまいます。
これを避けるためには、次のように考えることです。すなわち、「結果」が悪ければ「行動」は×、良ければ〇です。実に単純明快です。
ここでの事実とは、数値結果や、顧客の実際の発言などです。そこに憶測が入ると事実ではなくなりますので、注意してください。
原因究明と今後の計画の立案はセットで
最後に1点付け加えておきます。原因究明と今後の計画の立案はセットにして行いましょう。原因究明を何のために行うのかといえば、次の機会で成功するためにほかなりません。それゆえ、原因究明と今後の計画の立案は、セットにして行わなければ、同じ失敗を繰り返す恐れがあります。
識学社では、組織マネジメントを提供するなかで、さまざまな企業の課題と向かい合い、解決してきた経験と知識を持っています。知らない知識を得て、改善することは成長を加速させます。何らかの組織課題を抱えている方は一度相談してください。