ビットコインに次いで時価総額2位の仮想通貨「イーサリアム」は、仮想現実「メタバース」で使用されています。
イーサリアムの主要開発者ヴィタリック・ブテリン氏は「ビットコインは電卓、イーサリアムはスマートフォン」と形容してこの2つを比較しました。
仮想通貨という次世代の存在は、これからどのように世界を変化させていくのでしょうか。
本記事ではイーサリアムの正体、概要、注目される理由をわかりやすく解説します。
目次
イーサリアムとは
イーサリアムとは、ヴィタリック・ブテリン氏によって開発された分散型アプリケーションプラットフォームの名称です。
一言でいうと、アプリを作成できるプラットフォームです。
このプラットフォーム内で使用する仮想通貨のことを「イーサ」と呼びますが、日本ではプラットフォーム、仮想通貨のどちらも「イーサリアム」と呼ぶことが一般的になっています。
イーサリアムの3つの特徴
独自のプラットフォームを提供しているイーサリアムですが、日本で知られている仮想通貨の中でイーサリアムにしかない特徴は以下の3点です。
- スマートコントラクトを使っている
- DAppsでアプリを作成できる
- 独自トークンを発行できる
それぞれわかりやすく解説します。
スマートコントラクトを使っている
スマートコントラクトとは、あらかじめ設定しておいたルールに従って自動的に実行されるプログラムの事です。
従来、重要な契約や取引には中立な立場の仲介者を置くことで「信頼性」を担保していましたが、仲介者に対してかかる報酬、時間などのコストがネックとされてきました。
このネックを解消したのが、イーサリアムに搭載されたスマートコントラストです。
スマートコントラクトを使用することで、仲介者が必要なく、信頼性を保ちつつ、短時間、低コストで取引を進められるようになりました。
Dappsでアプリを作成できる
「Dapps」とは、ブロックチェーン上でソフトウェアを動作させるアプリケーションのことです。
一般的なアプリケーションには必ず運営者が存在しており、サービスの運営や停止を運営者が決定しています。一方で、Dappsはユーザー同士が意思決定をして仕様変更などの合意をしなければなりません。
このため、Dappsで作られたアプリケーションは、極めてユーザーに寄り添ったものとなります。
Dappsがスマホやパソコンのアプリと違う点は以下の3点です。
- 分散管理をしているため、常に稼働し続けられる
- 誰もがコードを検査でき、操作のログも全て記録される
- アプリのアップデートにはユーザーの合意が必要
Dappsは、一度プログラムがデプロイ(公開)されると、ユーザーの合意がなければプログラムを変更できません。一度公開してしまうとルールの変更は困難になってしまいますが、簡単に改ざんできないため、利用者はハッキングを恐れる事無く、安心してアプリケーションを利用できます。
独自のトークンを発行できる
イーサリアム上では独自でトークンを作ることができます。
トークンとは、既存のブロックチェーン技術を利用して発行される新しい仮想通貨の事です。
企業が独自のトークンを発行し、ユーザーが保有することで、以下の2点のメリットが生まれます。
- 運営をコミュニティ中心で行い分散させることで、常に稼働させられる
- 独自のトークン(付加価値)を付与できる
独自のトークンを発行し、魅力的なサービスを構築できれば、仮想通貨での資金調達も可能になります。
イーサリアムとビットコインの違い
イーサリアムと並び仮想通貨の中で有名なのがビットコインです。
この2つの違いは以下の通りです。
イーサリアム | ビットコイン | |
機能 | プラットフォーム | 決済手段 |
ブロック生成時間 | 約15秒毎 | 約10分毎 |
発行上限枚数 | なし | 2100万枚 |
参考:仮想通貨の時価総額上位にランクインするイーサリアム(ETHEREUM)とは?
ブロックチェーンは、取引内容が入ったブロックがチェーンのように繋がっており、ある程度繋がると、次のブロックが生成される仕組みとなっています。
このブロックの生成時間が、イーサリアムの処理速度は約15秒となっており、ビットコインと比較すると短くなっているのが特徴です。
イーサリアムには現在発行枚数の上限がないため、半減期がない(マイニングの報酬が減少しない)点も特徴です。
イーサリアムが今注目される理由
スマートコントラクトやDappsという独自の特徴の存在もあり、人気のイーサリアムですが、世界中に注目されている理由は他にもあります。
- Facebookが社名を「Meta」へ変更した
- テスラCEOイーロン・マスクが保有を公表した
- NFTへの注目が集まった
ここからは具体的にそれぞれの理由を解説します。
Facebookが社名を「Meta」へ変更した
新型コロナの影響で気軽に人と会えなくなった今「メタバース」が注目を集めています。
メタバースとは、アバターを介してコミュニケーションをとれる仮想空間の事です。
SNS大手のFacebookは社名を「Meta」に変更し、事業を大きく転換させる事を表明。社名の変更は大きな話題を呼びました。
メタバース関連の仮想通貨銘柄には、SANDやMANAがありますが、そのひとつがイーサリアムです。
メタバースの通貨としてもイーサリアムは使用されているため、これからメタバースが流行することで、イーサリアム の人気もより高まっていくことが期待されています。
テスラCEOイーロン・マスクが保有を公表した
米電気自動車のテスラのイーロン・マスクCEOはイーサリアムに投資していることを公表しました。会社としてビットコインを保有していることは公表していましたが、CEOが個人としてイーサリアムを保有していることは、世間を驚かせました。
その結果、公表の翌日にはイーサリアムの価格が10%以上上昇する場面も見られました。
テスラでは、ビットコインを決済方法として利用可能にする旨を発表した事があります。
この発表はすぐに取り下げられてしまいましたが、これからのイーサリアムの盛り上がりによっては、決済方法のひとつに加わるかもしれません。
NFTへの注目が集まった
昨今メタバースとともに注目を集めているのが、ブロックチェーンを利用したトークン「NFT(Non Fungible Token)」です。
非代替性トークンと呼ばれるNFTは、電子データでありながら唯一無二の存在であることが証明されるトークンのことです。
今まで、オンライン上のイラストや画像は簡単にコピーできるため、所有者を明確にすることが困難でした。しかし、ブロックチェーンの登場により、コピーと原本との違いを明確に区別できるようになりました。
NFTが今後盛り上がりを見せたことで、NFTの決済手段の1つであるイーサリアムも注目を集めているのです。
イーサリアムは将来価格が上がるシナリオがある
イーサリアムは将来価格が上昇するシナリオがあります。
その理由は以下の3つです。
- 企業連合に多くの有名企業が参加している
- アップデートが度々実施されている
- Defiが拡大している
それぞれ分かりやすく説明します。
企業連合に多くの有名企業が参加している
イーサリアムはビジネスに応用できる可能性があるため、それを企業活動にも活用しようとする「イーサリアム企業連合」という団体があります。
2017年に設立されたこの団体は、海外の企業だけでなく日本の企業も多数参加しています。
例えば、トヨタ自動車や三菱UFJグループ、海外企業では、マイクロソフトやインテルといった大企業が名を連ねています。
世界中の企業がイーサリアムの今後に大きな期待を寄せていることが伺えます。
【参考】トヨタ、三菱東京UFJなど国内6社、ブロックチェーン「イーサリアム」連合に加盟
アップデートが度々実施されている
イーサリアムは、誕生した際から段階的にアップデートしていくことが発表されていました。
イーサリアムがアップデートされることで需要は増加し、「イーサリアム」の価格は上昇する傾向があります。
実際、2021年8月5日に行われた「ロンドン」というアップデート実装前には約20万円だった価格はその後、約40万円まで価格が上昇しました。
このため、今後のアップデートでさらに価格が上昇する可能性があります。
Defiが拡大している
Defiとは「分散型金融」の事で、ブロックチェーン上で構築できる金融サービスのアプリケーションの事です。
DeFiのメリットは、仲介者がいらないため、手数料0での取引が可能な点です。
コストを抑えたい顧客にとってはメリットでしかなく、ユーザーのニーズがこれからも高まっていくと考えられます。
イーサリアムはDefiの開発に関わるプラットフォームであるため、今後DeFiの発展とともに需要が高まり、イーサリアム自体の価格も上昇することが期待されます。
まとめ
イーサリアムは、仮想通貨の中でもビットコインについで時価総額2位の仮想通貨です(2022年2月現在)。
イーサリアムの技術「スマートコントラクト」や「Dapps」を通じて、今後もイーサリアムへの注目はしばらく続くことが予測されます。
今後の日本、ひいては世界を変える可能性があり、その発展から目が離せないテーマなのです。