先日ある若手の経営者に、
「社員とバーベキューとかしちゃってんじゃないすか?」
と聞きました。
すると、苦笑いしながら、
「バーベキューはないですけど、みんなでスパに行ったりします……」
という答えが返ってきました。
私は休日に社員とバーベキューやスパに行くような経営者はちょっとマズいよとつねづね言っています。
それにはちゃんと理由があります。
目次
社長はよかれと思っているが……
休日に社員と出かける経営者は「よかれ」と思ってやっています。
「休日くらいのんびり遊びに連れていってやるか」というぐあいです。
しかし残念ながら、たいていの社員の本音は「休日くらい放っておいてほしい」というものだったりします。実は社員はそこまで乗り気じゃないのです。
「いやいや、うちは社員も楽しんでますよ」
そう反論されることもあります。
社長と社員の仲が本当によくて、社員もみんなで出かけることを楽しんでいる。そういうパターンもあるでしょう。
ただ、その状態こそがいちばん「最悪」なのです。
「社員が社長と一緒にいて楽しい」という状態がなぜ「最悪」なのか?
それは「上司と部下」という関係性が崩れている証拠だからです。平たく言えば、社長がナメられている。
すると社長の指示を聞かなくなります。部下が組織よりも自分のエゴを優先し始める。社員の成長は止まり、やがて組織の成長も止まります。
部下には「自分は今どういう立場に身を置いているか」を正しく認識させることが大切なのです。
社員のため? 嫌われたくないから?
上司と部下の立場をハッキリさせることが重要。
そう言うと、
- 「いや、社長なんてナメられてるくらいがちょうどいいんです」
- 「うちはフラットで自由な社風ですから」
とおっしゃる経営者もいます。
たしかに考え方は人それぞれですし、いろんな組織があっていいでしょう。ただ私が見る限り、そういう会社はたいてい業績が伸びづらいのです。
なぜ伸びづらいのか?
それは社長が「社員の成長」よりも「自分の人気」を優先してしまっていることが多いからです。
社員にナメられた「楽しい」状態をよしとするのは、「社員のため」と言いながら、実は「自分が嫌われたくないから」だったりします。
社長が気にするべきなのは「市場からの評価」です。それなのに「社員からの評判」を気にしてしまっているわけです。
仕事をした結果として、仲よくなればいい
それでも、
「いや俺はどうでもいいんだ。社員どうしの親睦を深めるために、休日のイベントを大切にしたい」
という経営者もいるでしょう。
社員が仲よく働くためにはレクレーションもある程度は必要だろう、と。
私も「社員が仲よくなる」ことを否定しているわけではありません。ただ、仲よくなることは、あくまで「結果として表れる」ものです。
まず仕事をする。その結果、自然と社員どうしの絆ができて、仲よくなる。それは大いに結構です。
しかし「仲よくなるために遊びに行く」というのはおかしな話なのです。
学生時代、厳しい部活ほどメンバーの仲はよかったはずです。これは苦楽をともにした「結果」として仲よくなったわけです。
「仲よくなるための時間を設ける」というのは少なくとも会社には必要ありません。目的を間違えてはいけないのです。
会社は「働く場所」である
最近はさすがに減りましたが、一時期「楽しい職場のほうがいい」という論調が強くなったことがありました。
しかし今の時代、「楽しい職場」を求めている社員は多くありません。
それよりも「成長して力をつけていきたい」「明確な基準で正当に評価してほしい」と考えている社員のほうが多くなっています。
この点で、未だに「会社側と社員側のすれ違い」をよく見ます。
会社側は「いい環境」を提供しようと思って、レクレーションを増やすのだけれど、実は働いてる側は、そんなものは求めていない。
会社はあくまで「働く場所」であり「お金を稼ぐ場所」。社員は「楽しさ」を求めて仕事をしているわけではないのです。
社員に必要なのは「成長できる」環境です。
生きていくための力がつく。スキルが身につく。結果を出したら、それに応じて正当な評価をもらえる。そういう環境です。
一見厳しく見えるような環境ですが、そういう会社を選びたがっている人は多いはずです。
休日も遊びに行けるような「楽しい会社」のほうがいいだろうと思っているのは、どちらかというと「雇用する側の勘違い」なのかもしれません。
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引用元:安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長note「社員とスパに行ってはいけない」
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