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ここでいうジョーカーとは、ババ抜きのジョーカーではなく、七並べやポーカーのジョーカーである。

ワイルドカードともいう。

どのカードの代わりにもなるカードのことだ。

ジョーカーありのポーカーなら、ジョーカーがあればAが5枚のファイブカードとかもできたりする。

さて、会社員時代の私は「七並べのジョーカー」のような役割を担っていた。

本業はシステム運用なのだが、手が足りない場合は総務、経理、広報……。

誰もやらない、やりたがらない業務をこなしていた。

会社は私の仕事をきちんと評価してくれたし、出世したし、 何より難しい仕事を任されること自体、私にとっては大きな「やりがい」でもあったわけだ。

しかしその一方で、帰宅時間は常に22時を過ぎていたという状況でもあった。

昔はそんな日々そんなこともあったのだが、先日このようなXの投稿を見かけた。

「できない」という人

現場には、業務遂行能力が業務にどうしても追いつかず、すぐにパンクしてしまう人が一定数存在する。

また、中にはそれを逆手にとって「私にはできないので、お願いします。」と平然と言い放ってしまう同僚などもいた。

 「できない」のは事実かもしれない、いや彼・彼女の能力ではできないだろう。

やらせたとしてもフォローに時間を奪われ、結局は「自分でやった方が早い」と私が巻き取るはめになる・・・。

その結果、すべてのシワ寄せが自分に集まってくる。

そんな悪循環があったのでこのイラストの左側の人の言うことはよくわかるのである。

23時を過ぎても、たまった仕事をおかしくなったテンションでこなしている。

私に仕事をおっかぶせた同僚はとうの昔に帰宅している。「お疲れ様ぁ~。」

といって帰る同僚に対して感じた「イラ立ち」を言語化するとこんなイラストみたいな感じになりそうだ。

当時の上司もこの状況を十分理解してくれていたものの、現場仕事が売上に直結する業態ゆえ、安易に稼働を減らすことはできない。

そして待遇面での制約から、有能な即戦力を採用することも難しい状況だった。

また、Excelスキルなどを駆使して、業務の効率化を図ったりしても時間があればあった分だけ仕事は増えて(常に積み残しの仕事が溜まっているから)結局仕事の総量は減らない。

じゃあ、どうすればよかったのか?

当時の状況において「どうするべきだったのか」を考えてみたい。

「断る」

これに尽きる。

・何とか回せる

・あいつがやってもうまくできなくてみんなが迷惑する

とかは考えない。

勝間勝代の「断る力」という本がかつて大ベストセラーになった。

「すべての人から嫌われないようにするのは無理だ」と割り切って、嫌われてもいいから断るものは断ったほうがいい。というもの。

これは確かに理にかなっている。

なんでも仕事を引き受けてしまうと、結局はすべてこなせなくなって誰かに迷惑をかけてしまう。

私も引き受けたものの迷惑をかけてしまったことも一度や二度ではない。

また、私は体が丈夫で、会社を休んだりすることはほとんどなかったが、やはり休息をとらないと体を壊す。

体を壊したりして長期に休んだりすると結局仕事に穴が開くし、何より同僚などよりはるかに大切な家族や自分自身に害を及ぼすのである。

とはいえハードワークは無駄ではない

とはいえ、私としてはまずは全部やってみるという時期があってもいいと思うのである。

無理だと思えるほどの業務量をこなすと、それが当たり前にできるようになるのだ。

筋トレなどのトレーニングでは限界の負荷をかけていくと、体力がアップして前まではできなかった負荷のトレーニングが楽々できるようになっている。

「仕事力」も体力と同じで、自分の力の限界までやるから伸びることは間違いない。

種々雑多な仕事を大量にこなしてきた経験が、現在の私の最大の武器になっている。

現在、私はSEOコンサルタント(GoogleやYahoo!といった検索エンジンから集客することを支援するコンサルタント)をしているのだが、SEOだけでなく、インターネット集客という枠も超え企業の業務全般を俯瞰し、具体的な施策に落とし込むことを得意としている。

何にでも化けられる」「とにかく仕事をこなせる」という実戦経験は独立した現在では、他の人が真似できない提案力、引き出しの数につながっている。

これも「仕事力」がアップしたおかげである。

また、大量に仕事があったとしても、集中力を発揮して一気にこなせば6時間ぐらいであらかた片づけることができる。

様々な不定形の仕事において「過去の類似の業務から完成への最短の筋道が見えるようになったこと」「業務の状況を可視化して優先順位を付けられるようになったこと」「ITをツールとして使いこなすこと」これらが寄与している。

「現在の自分の力の範囲で、定時でこなせる量だけをやっていたら」仕事力はあまり高まらないと思うのである。

普通にやっていたら終わらない、じゃあどうしよう、ということでそこで考えたり、集中力を高めたりすることが仕事力の向上につながるのだ。

会社からの信頼に応え、難しい仕事、膨大な仕事に取り組むことは苦しい筋トレと同じで、仕事力を高め、自分の財産となると考えている。

しかし、何でもかんでもとにかくやればいいかというとそうではない。

もし「体や心を壊しそうだ」「先に受けた仕事ができなくなる」仕事には勇気を持って「NO」と言うべきだ。

最後に管理職や経営者の皆さんにお伝えしたいこととして、できる社員だからこそ、彼らが健全に走り続けられるよう「責任の境界線」を明確に引き、雑務の炎上から守ってあげてほしいものである。

私はそれでもたまたま潰れなかったが、それで潰れてしまったら会社の大きな財産を失ってしまうからだ。

識学的解釈

こうした問題は、実際に起きています。一方、このようなワイルドカード人材に負担をかけ、離職に追い込まないようにするためには、どうすればいいのか、識学観点からもコメントをします。

1. 「巻き取り」は成長機会の奪取である

「できない人の分を巻き取る」という行為は、一見フォロースルー(助け合い)に見えますが、識学ではこれを厳しく律します。

本来、その業務の責任を持つべき人間が「未達(できない)」という結果に直面し、その不足を埋めるために変化することこそが成長です。

誰かが代わりに行うことで、本来の担当者は「やらなくてもなんとかなる」という免責の状態になり、成長が止まります。

ジョーカーの疲弊は、組織全体の「不足の隠蔽」から生じています。

2. 「断る」とは、責任を全うするための決断である

「断る力」を、単なるマインドセットの問題にしてはいけません。 

識学において「責任」と「権限」は常に一致していなければなりません。

22時、23時まで働かなければ回らない状況は、「与えられたリソース(時間)に対して、過剰な責任(業務量)を負っている」という機能不全です。

有能な社員が「NO」と言うべきなのは、感情的に嫌だからではなく、「このままでは本来自分が負うべき主要な責任(結果)にコミットできなくなる」という、プロとしての判断基準に基づくものであるべきです。

3. 「負荷」の質を正しく管理する

ハードワークそのものが悪ではありません。

筆者が述べる通り、限界の負荷をかける「筋トレ」の時期は成長を加速させます。

しかし、それが「他人の穴埋め」という受動的な負荷なのか、自らの市場価値を高めるための能動的な負荷なのかによって、その後の資産価値は大きく変わります。

経営者・管理職への提言

組織に「ワイルドカード」がいることは強みですが、彼らに甘え、責任の境界線を曖昧にすることは、優秀な人材を使い潰すリスクを孕んでいます。

上司の役割は、個人の能力に依存して「何でもやらせる」ことではありません。

  • 誰が、どの結果に対して責任を負うのか。
  • その責任を果たすための権限(時間や資源)は適切か。

この「位置」の整理を徹底することこそが、ジョーカーを「疲弊する便利屋」から「圧倒的な価値を生む戦略兵器」へと変える唯一の道なのです。

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