昨今アルバイト社員による不適切な行為を撮影した動画が世間を騒がせています。
いわゆる「バイトテロ」のような行為は昔から存在していたと思われますが、ここ10年ほどのインターネットの普及とYouTubeなどにおける個人のメディア露出によって、バイトテロが明るみに出る機会が多くなりました。
いずれにせよ、バイトテロが企業に与える影響は非常に大きく、ちょっとしたいたずらでは済まなくなってきています。
今回は、バイトテロが起きる原因とその防止策についてお伝えします。
アルバイトと正社員の違い
そもそも、不適切な行為をするのはアルバイトだけではないのに、バイトテロとは言っても「社員テロ」という言葉は聞きません。
社員による不祥事は、プライベートで何か問題を起こしてしまったとか、粉飾決算をしたとか、横領をしてしまったというような話です。
これらは当然企業に対して大きな損害をもたらす行為であり、企業のイメージは悪くなりますが、基本的にその問題の焦点が個人となるケースが多く、サービスや製品の質を下げる行為とは言えないでしょう。
サービスや製品、会社そのものを傷つける行為をする正社員は少ないのです。なぜでしょうか。
それは、正社員がアルバイトに比べ組織に対する共感と情を持っているからです。
正社員とアルバイトでは、所属の意識に差があるので、組織に対する共感と情のレベルが異なります。
組織とアルバイトの関係性は、言ってみれば「いつか切れる関係性」です。
これが悪いということではなく、その状態を双方が望んでいるためにそういう関係性になっているというだけのことですが、それがゆえに「その組織に所属している意識」は軽いものになります。つまり、バイトテロとは所属意識が低い従業員によって組織の看板が汚されてしまう行為なのです。
一方で、正社員は「できればずっとつながっていたい関係性」です。
同じ会社で勤務し続けることがいかに美徳であるか語るつもりはありませんが、雇用関係が続くということは双方がメリットを享受し続けられているということなので、望ましい状態ではないでしょうか。
また、その状態を双方が望んでいるので、アルバイトでも業務委託でもなく、正社員として契約し、その契約を履行し続けていることになります。
「ずっとつながっていたい関係性」において、相手の損害は自分にも影響します。
YouTuberに代表されるような個人の台頭が進んでいる昨今においては、そんなシンプルで当たり前のことすら軽んじられているのではないでしょうか。バイトテロは自身がその組織に所属し、さまざまな有益性を組織から得ているという事実を軽視し、個人の欲求や利益を優先させた行為なのです。
組織への共感と情を醸成するために
個人の台頭が進む世の中でチームワークや組織への共感、情という言葉は非常に古臭いように感じられるかもしれませんが、社会で何かを成すには国であれ会社であれ必ずチームが必要です。
そして、チームが最大のパフォーマンスを発揮するためには、全員が同じ目的に向かっていると認識していなければなりません。これが「所属の意識」です。
この所属の意識を強く持たせ、組織への共感や情を醸成するためには、以下を明確にしていく必要があります。
・組織がどこに向かっているのか
・それは何のためなのか
・そこに属する個人はどのような瞬間に所属の意識を認識するのか
・組織内ではどのような役割を与えられているのか
・その役割に対してどのようなパフォーマンスを発揮したのか
・どのような成長があったのか
これらが明確であればあるほど組織と個人の結び付きは強くなり、自然とテロ活動のようなことは起こりにくくなっていきます。こんなことはきれいごとだと思う方がいるかもしれませんが、そう思われた方こそ、上記について考えてみてください。