目次
概要
2006年の設立からわずか10年で、従業員数約2,500人という西日本エリア最大級のコールセンターを運営する組織へと成長を遂げた企業。それが、株式会社カスタマーリレーションテレマーケティングだ。
豊富な実績と営業ノウハウを武器に、商品やサービスを提供する企業が顧客との間に長期的・継続的で「親密な信頼関係(リレーションシップ)」を構築すること。そして、その価値と効果を最大化することで、顧客のベネフィットと企業のプロフィットを向上させることを目指し、総合的なサービスを展開。常時2,000名以上のスタッフが稼働し、顧客から高い評価を得ている。
この大きな組織をまとめ上げている同社の代表取締役・小林 祐樹氏が、識学で得た「気づき」とは。そして、識学のトレーニングを経て、手に入れた「武器」とは。詳しく話を伺った。
目の前のフィルターが外れたら世界が180°変わって見えた
御社は「コールセンター」という事業の性質上、「人」を上手く扱うことができるかどうかが経営においても特に重要なポイントですよね。
そうですね。だからこそ、「マネジメントは得意だ」というそれなりの自信がありました。しかし、僕のマネジメント手法にはいくつか大きな間違いがあった。そう気づかせてくれたのが識学だったんです。
気づきを得たきっかけは何だったのでしょうか?
識学を受けるまで、僕は「どうして部下は、自分で判断して動けないんだろう?」という悩みを抱えていました。その悩みを講師の方に打ち明けたところ、「今の組織の状態では、下は動けないでしょうね」ときっぱり言われてしまったのです。その原因の1つとして、僕も含め、経営陣が、「決めること」に臆病になっているからだ、という指摘を受け、ハッとさせられました。
お互いが相手の顔色を見ながら決断をしていたため、目標や責任の所在も曖昧になっていて・・・。そんな状態では、部下が自主的な行動をするはずがないということを、講師の方からとても分かりやすくアドバイスしていただき、識学の理論や考え方に興味を持ちました。
識学のトレーニング全体を通じて、ご自身にどんな変化がありましたか?
会社を立ち上げて10年が経ちましたが、目の前の景色や人の見え方がガラリと変わりました。これは、識学の理論を学び、事実で物事を見極めることができるようになったからだと思います。例えば、今まではあまり優秀とは思っていなかった部下が、識学の理論に当てはめてマネジメントをしてみたら、実はしっかりと結果を出す存在であると気付いたり、また、その逆もあって、優秀だと思っていた部下が、経過を良く見せていただけであったということに気付いたり・・・。
ここまで見え方が変わるというのは、今までにない感覚でしたね。ずっと取り付けられていたフィルターが外れて、これまでと見え方が180°逆転する……なんてことが起こりえるのが、識学の面白さであり、魅力だと思います。
誤ったマネジメントは部下の生存能力を奪い「死」に向かわせる
特にどんなお話が印象に残っていますか?
すべてのトレーニングが非常に刺激的だったのですが、一番胸に刺さったのは「あなたのマネジメントは、部下の生存能力を奪っています。彼らを死に向かわせているも同然ですよ」という言葉ですね。
例えば、部下ができなかったことやトラブルを僕が巻き取ってやってしまうと、部下は、自分ができなかったことを正しく認識できず、いつまでもできるようになれない。その結果、市場の成長についていく事ができず、部下の価値は目減りしていく……。
「部下ができないことを何とかするのが社長の仕事だ」と、よかれと思ってやっていたことが、部下の成長を阻害する要因になっていたという事実があまりにも衝撃的すぎて、しばらく立ち直ることができませんでした。気持ちの整理をつけるために、次のトレーニングに進むのを1週間遅らせてもらったほどです(笑)。
ご自身の中でその衝撃をどのように整理されたのかお聞かせください。
人は誰だって周りからの評価を気にすると思うんです。ことさら、経営者の方々は「人気者になりたい!」「頼りにされたい!」という思いが強いと思います(笑)。その感情を取り払うのは、本当に難しいことだと思います。私自身も、識学を受けるまではそうでした。
しかし、「人望のある社長」が「会社や部下を成長させることができる社長」なのかというと、全くイコールではないと今は断言できます。例えば、アスリートは結果がすべて。人気を集めたくて、スポーツに取り組んでいるわけじゃない。陸上選手ならば、タイムをコンマ1秒縮めるために、野球選手であれば1本でも多くのホームランを打つために、日々トレーニングに励んでいる。その上で結果が出れば、ファンが増え、人気が後からついてくる。それはビジネスも同じです。
リーダーの人気があれば、推進力が増す、業績が上がる……なんていうのは大きな勘違いなのだということに、識学のトレーニングを受けると気づかされますね。どのようにマネジメントを変えていったのでしょうか?
まず、評価について、大きく変更しました。今までの評価には数字目標以外に「何となくの評価」「何となく期待していること」が含まれていました。何となくの評価というのは、「頑張っている」など、プロセスも加味されています。この「何となく」というのが、私のフィルターとなっていましたし、お互いの認識にズレをもたらす要因になっていたため、「あなたに期待することはこれで、“良い”とする基準はこれ」と明文化したものを渡し、「1年後にこの部分を評価するから」と伝えました。
他には、経営に大きな打撃を与えるような事態でないかぎりは、「巻き取らない」。これを徹底しました。また、以前は何か問題が起きたときに、「俺だったらこうする」というアドバイスもしていたのですが、こういった経過への口出しも、一切しなくなりました。「社長が言ったとおりに進めれば、結果悪くても自分は悪くない」という「他責」の思考を発生させ、また「失敗しても社長がまたアドバイスをくれるだろう」というような、自走しない状態を作ってしまうからです。
はたから見ると、突き放したようなマネジメントだと感じられるかもしれませんが、こういったことを継続していくと、面白いことに各部門の目標達成に向けた行動量やスピードが猛烈に増しました。
「役割を明確にする」ということは「誰が何をするか」を整理するだけではない。
今後の展望についてお聞かせください。
誰からの評価を得ないといけないのか?ということを全員が理解し、実践できる組織にしたいですね。例えば、コールセンターのオペレーターの業務は、個人の目標件数に向けて電話を掛けることと、電話を受けること。役割が明確な分、目標の達成に向けてまっすぐ走ることができます。
一方、管理職になると、色んなタスクを抱える上、色んなステークホルダーがいます。管理職は優秀な人が多く、周りに気が遣える分、周りからの評価も気にしてしまうのですが、これが、管理職の行動を阻害する“迷い”を生みだしています。一般的な『役割を明確にする』では、「誰が何をする」を整理するだけで終わることが多いと思うんです。
ところが、識学を学ぶと、「役割を明確にする」=「誰からの評価をどのように獲得するか」まで整理できます。例えば、取締役の評価者は社長である僕で、社長の評価者は顧客や株主など市場です。
それ以外の評価は一切気にする必要はなく、評価者の評価を得ることに集中し、それに向けて動けばいいだけです。逆に同僚や部下からの評価を気にすると、迷いが生じ、それら全てがロスタイムとなります。これを、全員か実践できれば、とても強い組織になれると僕は思っています。
現在は自社の中長期計画に向けて動いている段階ですが、マネジメントにおいて識学という新しい「武器」を手に入れた今、これからの自社の成長がとても楽しみです。当初予定していた5カ年計画も、前倒しでキャッチアップできるのではないかと感じられるようになりました。
どんな方が識学を受けると効果を期待できるでしょうか。
「俺がいないと会社が回らない」と思っている方。「若手が伸びない」と愚痴をこぼすことが多い方。「俺だったらこうする」と口出ししてしまう方。これらのうちどれかに当てはまる経営者は、一度識学の講師に会ってみるとよいのではないでしょうか。
いかに自分が組織のマネジメントにおいて大きな「勘違い」をし続けていたのか、痛感するきっかけになると思い ます。そして、勘違いというフィルターが外れると、こんなに物事の見え方が変わるのかという体験も、きっとできるはずですよ。