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人材育成で大事にしたい 不確実な時代に求められるアクティブ・ラーニングの考え方とは

不確実な時代に求められるアクティブ・ラーニングの考え方とは

ICTの普及にAIの登場、さらに2020年になってからは新型コロナウイルスへの対応など、ビジネスを巡る環境は余りにも目まぐるしく変化します。

急激な技術の進歩や未曽有の災害を前に、今までの常識的な考えや前例が通用しないということは、論を待ちません。

「正解」や「今までのやり方」にこだわった指導をしていては、状況の変化にうまく対応できる人材など、育たないでしょう。

では、不確実な時代に求められる指導力とはどのようなものなのでしょうか。

 

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教育現場で導入が進む「アクティブ・ラーニング」とは

 

インターネットの普及や人工知能の登場は、教育の世界にも大きな変化をもたらしました。

新しい学習指導要領では、急激な時代の変化への対応の必要性として、次のように述べています。

”予測できない未来に対応するためには、社会の変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していくことが重要である。”[1]

この文言からも、一方的に聞いているだけの受け身の学習から脱しようとする姿勢が読み取れます。

予測できない未来に対応できる力を身につける学びとして、最近注目されているのがアクティブ・ラーニングと呼ばれるものです。

アクティブ・ラーニングは、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」と定義されています。[2]

アクティブ・ラーニングでは、「主体的に学ぶ」ということが重要視されます。つまり、教師が中心になって引っ張るのではなく、学ぶ側が中心になって学習が進められるのです。

それでは、アクティブ・ラーニングにおいては、教師の立ち位置はどう変わるのでしょうか?

教師が一方的に教えるということをしていると、教わる側は受け身になりがちで自分で考えなくなってしまいます。よって、教師も教え子とともに学ぶという姿勢が大事になってきます。

また、アクティブ・ラーニングでは、「他者と協働的に学ぶ」ということも重視されます。学ぶ人が他者とうまくやり取りできるように、間に入って調整するということも求められます。

このように新たな時代の学びにおいては、教師の指導のやり方も大きく変わってきます。それに伴い、「指導力」に対する捉え方も大きく変わっていくことになります。

 

激動の時代を駆け抜けた松下村塾

 

時代の流れが大きく変わるときには、過去の常識や価値観は通用しなくなります。そうなってくると行き詰まりが生じるようになり、その行き詰まりを打破しようする人が現れるようになります。

「江戸」から「明治」に移り行く激動の時代の中で、日本は近代化をとげました。そんな時代のリーダーを数多く輩出したのが、松下村塾です。

松下村塾の教育期間は、安政三年八月から同五年十二月までの二年間とされていますが、実質的には塾舎が完成した安政四年十一月から一年間とも言われています。[3]

塾生の多くは貧しい家の子で、彼らは普段は生活に追われ、早朝あるいは深夜に塾に訪れていました。

このわずかな期間で、初代内閣総理大臣になった伊藤博文をはじめ、高杉晋作や久坂玄瑞といった人材を多数輩出しました。

これほど多くの偉人を輩出したわけですから、さぞかし厳しい指導が行われたのだろうと想像する人も多いに違いありません。

実際に松陰は、どのような指導を行っていたのかを見ていきましょう。[3]

松陰は、教えを乞う入塾生に対しては、「教授は能はざるも、君等と共に講究せん」と答えたと伝えられています。上から一方的に知識を教授しようとするのではなく、共に学ぼうとする姿勢は、今のアクティブ・ラーニングにも通じます。

また、学問に対しては「学者になつてはいかぬ。人は実行が第一である。」と教えられていたと言われ、実学重視であったこともうかがえます。これもまた、従来の知識をひたすら詰め込むだけの教育から脱し、主体的に行動できるようになることを目指すアクティブ・ラーニングの教え方に重なります。

さらに塾生同士の討論にも力を入れ、「沈黙自ら護るは、余甚だ之れを醜む」と述べ、積極的な議論をうながしました。まさに「協働的な学び」です。

そのような時代を先取りした教育を行った松陰とは、どのような人物だったのでしょうか?塾生とともに学ぼうとする姿勢から謙虚さもうかがえますが、それだけではありません。

人を教えるにあたっては、相手に逆らわずにその主張や行為を受け入れながら導く方法や、相手を屈服させる方法を使い分けたと伝えられています。

松下村塾の塾生の中には、かなりクセの強い不良少年であった高杉晋作のような人物もいたわけですが、そのような人物ですら感化することができたのも、松陰のこの柔軟さによるものではないかと言われています。

長らく続いた「昭和・平成」から、人工知能や5Gによって劇的に変化を遂げようとする「令和」へと移り変わりゆく中で、激動の時代を駆け抜けた幕末の志士に学ぶところは大きいのではないでしょうか。

 

世界トップクラスの大学の考えさせる入試問題

 

それでは現代においては、激動の時代を乗り越えるために、どのような教育が行われているのでしょうか?

それを知る手掛かりになるのが、世界トップクラスの大学であるオックスフォード大学とケンブリッジ大学の入試問題です。[4]

この入試問題を見れば、次の時代の指導とはどうあるべきなのかというヒントが見えてきます。では、実際にどのようなものなのか見ていきましょう。

「自分がカリフォルニアにいない場合、カリフォルニアが存在していることをどのように知りますか?」(オックスフォード大学)

一見すると、そんなことを聞いてどうしようというのかと思う問題です。地図やインターネットで調べれば済む話ではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。

この問題には、物事の存在を知るとはどういうことなのかという哲学的な問いが含まれています。

ネット社会においては、情報の真偽の判断が難しい場合というのがよくあります。特に最近では、人工知能によって精巧な画像を作りだすことが可能になったことにより、本物と全く見分けがつかないディープフェイクと呼ばれるものも登場しました。

そうなってくると、現物や現場を直接確認できないという場合、何を真実であると信じればいいのかという問題が生じます。

「知る」とはどういうことなのかという問いは、ネット社会のそのような問題と結びついているのではないでしょうか。

それでは、もう一つ見てみましょう。

「牛一頭には世界中の水の何パーセントが含まれていますか?」(ケンブリッジ大学)

こちらも一見すると、そんなことを知って何になるのかと思うような問題です。

ここで重要になってくるのは、答えそのものではなく、その答えを求めるためのプロセスです。この手の問題はフェルミ推定と呼ばれるもので、コンサルティング会社の面接試験ではよく出てきます。

フェルミ推定とは、正解を把握するのが難しく、ある意味荒唐無稽とも思える数量について何らかの推定ロジックによって短時間で概数を求める方法をいいます。[5]

インターネットの普及により、手に入る知識の量は爆発的に増えた一方で、情報への過度な依存から思考停止を招く危険性が指摘されました。いわゆる「コピペ」が問題になったことがあることからも、自分で考えてまとめるとはどういうことなのかを教える必要が出てくるわけです。

このようなフェルミ推定の問題は、過度に情報に依存することなく、自分で考えられる力をつけるうえで、非常に有益なツールとなります。

実はこの他にも、水と牛の間には重要な関係があります。牛の生育には大量の水が必要であり、たった百グラム強のビーフハンバーグを作るのに、平均約五千リットル近くの水が必要になるとされています。

もし、世界の牛肉の消費量が増えてしまうと、深刻な水不足の危機に直面してしまうと考えられます。この問題は、単に思考力を問うためだけのものではなく、環境問題について考えさせる問題でもあります。

このように、今までのような正解を求めるという問題から、哲学的な問いや、人類が直面する問題にどう対処していくのかが問われるようなものに変わってきています。

それゆえに、既存の知識や経験を一方的に教え込むという指導では、今まで経験したことのない出来事に対応できなくなります。

絶対的な答えのない問題に対していかに議論できるようにするのかというのが、大事になってきます。

自ら考え行動できる人材をいかに育てられるようにするのかが、次の時代の指導力を考えるうえで重要になってくるでしょう。

 

現代において求められる指導力とは

 

「人が育たない」、「すぐに辞めてしまう」と悩む経営者も少なくないでしょう。少子化の影響で多くの企業は人手不足の状態であり、時代の変化も激しいことから、人材教育に時間をかけてもいられません。

人を育て、離職率を下げるためには、どのような指導を心がければいいのでしょうか?

重要なポイントとなってくるのが、「モデリング」と「フィードバック」です。

モデリングとは、仕事ができる人の動作を徹底的に真似ることであり、その有用性も実証されています。できる人の動作をビデオ撮影して何度もチェックできるようにし、どこに注意すればいいのかが明確になれば、短期間での上達も可能になります。

実際にこのモデリングを導入し、今まで習得に6か月かかっていたスキルを1か月で身につけさせ、入社4年以内の離職率を5%以下に下げることに成功した事例もあります。[6]

また、的確なフィードバックを行えるようにするというのも重要です。

フィードバックをしっかり行うことで、活力、熱意、没頭の状態がそろったワーク・エンゲイジメントと呼ばれるものが高まるとされています。

このワーク・エンゲイジメントが高まることで、自発性や生産性の向上、離職率の低下、顧客満足度の向上といった効果があることも調査で明らかになっています。[7]

では、どのようなフィードバックをすればいいのでしょうか?

フィードバックを行う際には、具体的な行動について、行動した内容の重要性や意義について説明しながら、行動した直後に誉めることが重要であるとされています。[7]

これを踏まえたうえで、どのような力が必要になってくると考えられるのでしょうか?

まず、即座に、具体的に指摘するためには、観察力を身につける必要があります。

また、仕事の意義について説明するためには、教える側が仕事の意義についてちゃんと理解できているのはもちろんのこと、相手に分かりやすく説明する能力というのも求められます。

これからの時代に必要な指導力とは、相手に考えさせ、主体性を持たせる能力です。大きな時代の変化に対応するためにも、指導のあり方を変えていく必要が出てきます。

指導でお悩みであれば、ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

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[1] 出所)文部科学省「2030年の社会と子供たちの未来」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1364310.htm
[2] 出所)「アクティブ・ラーニング実践の手引き」田中博之著 P11,16
[3] 出所)「松下村塾」古川薫著 P23,33,44,45,98
[4] 出所)「オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題」ジョン・ファードン著 P158~165
[5] 出所)「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」細谷功著 P40
[6] 出所)「新たな”プロ”の育て方 なぜ左官屋で若者と女性が活躍できるのか」原田宗亮著 P42,47
[7] 出所)厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」 P191~192,237
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf

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