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属人化しやすい業務とその予防策

我々の至上命題は組織の仕組み化です。一方で仕組み化と真逆の環境は「属人化」と呼ばれる状態です。大きな組織になればなるほど、この属人化の弊害は「ロスタイム発生」「中長期的な組織成長の阻害」という観点で顕著に現れます。


組織コンサルタントとして多くの経営者に関わらせていただき早いもので8年が過ぎましたが、仕組み化に際しての最大の障壁の一つとなる「属人化」しやすい業務(組織)には一定の傾向が見られることが分かってきました。
今回は、その中でも特に属人化しやすい業務とその予防策を述べていきます。

属人化を招く組織の特徴

これから「属人化しやすい業務」を上げていきますが、前提として「属人化業務」が発生する組織は「属人化を招く原因となる環境」を必ずと言っていいレベルで設定してしまっています。つまり、意識的に環境を整えている組織においては、属人化しやすい業務でも属人化が起こらないこともあるということです。

では、属人化を招きやすい組織とはどのような組織でしょうか?それは「役割・ルールが曖昧である」組織です。ルールには全社ルール以外に組織図、マニュアル、評価制度も含まれます。

敢えて役割やルールを曖昧にすることで自由度や多様性のある環境を目指している経営者も見かけますが、はっきり言って百害あって一利なしです。その百害の一部が「属人化を促進する」ことに他なりません。

属人化しやすい業務

属人化しやすい業務ですが、今回は以下の3つの業務に絞りたいと思います。

  1. 社長業務
  2. 管理職業務
  3. ベテラン社員に任せている業務

もちろん上記以外にも該当する業務は存在しますが、私の経験上のトップ3に絞ったイメージになります。

①②はその業務の複雑さと情報に溢れた環境が相まって、ほとんどの組織で属人化されている印象です。むしろ、属人化せざるを得ない業務であると思われていると言った方が正確かも知れません。

③は当然属人化する業務ではありますが、むしろその予防策がポイントになってきます。

以下、それぞれの業務での原因と予防策について触れていきます。

そもそも経営者である社長は、その組織の中で誰よりも優秀で経験豊富で覚悟も定まっており、経営の全責任および全権限を有しています。よって、組織の中で起こっている様々な問題や意思決定事項の全てを把握し、全てに自身の意思決定を通す必要性を感じ、実際にそのような組織運営をされている傾向が強いです。

社長業務が属人化する理由と予防策

特に階層型組織化されている組織はその規模も数十名~多ければ100名を超える状態となっており、ここで起こっている問題や意思決定事項をトップの経営者を通そうとなると分かりやすく待ち時間というロスタイムが発生します。

また、人事評価などもトップが最終的に行うとなると、そのパフォーマンスをあまり把握せずにざっくりとした印象のみで実施されることとなります。

これこそが社長業務が属人化する理由であり、同時にその弊害もお伝えしました。特に組織規模の大きな組織になればなるほど、その弊害の大きさも比例することはご理解いただけると思います。

では、ここに対する予防策はどんなものになるのでしょうか。経営の全責任および全権限を有しているため、代表者しか意思決定できない選択や未来への方向決めは社長が属人的に実施すべき業務となります。一方で、組織全体の仕組み化(全社ルール、組織図、マニュアル、評価制度)を行い、不必要な社長に関する待ち時間を排除することこそが大切な予防策となります。

管理職業務が属人化する理由と予防策

中間管理職を筆頭に、いわゆる「マネジメント業務」の属人化が非常に目立つようになってきました。経営者に比べれば役割責任や権限も限定されますが、その手法は多岐に渡っており、「マネジメント」とネットで検索すると数えきれないほどの回答案が列挙される状態です。

この中から自分なりの答えを見出すことは至難であり、見出せたとしても同じ会社の同じ役割であるにも関わらずそれぞれのマネージャーによって真逆のマネジメントを実施していることも散見されます。まさに「属人化」状態です。

では、どうすればこの属人化を予防できるのでしょうか?

大前提として中間管理職のポジションにつく人は、経営者に比べて様々な経験や知識が劣っています。また、与えられている責任範囲も経営者に比べれば狭い状態です。

このような中間管理職の方々に「コミュニケーション能力の高さ」「リーダーシップと決断力」「育成力」などの様々なマネジメント業務を自身で考え方針を決めさせることは現実的ではありません。つまり、このタイミングでこれら全てを兼ね備えたリーダーを育成しようにも再現性のあるノウハウは存在しないということです。

そうなると、どんな人が中間管理職になっても必ず実施できる再現性の高いマネジメントスタイルの必要性がご理解いただけると思います。端的に表現すると「部下と距離感を保ち、事実で管理をするマネジメント」となります。

ルールを淡々と守らせ、部下との馴れ合いの飲み会には参加せずに部下との距離感を保ち、アドバイスや同行営業ではなく、部下の責任範囲の領域は部下に任せ、不足が出たときにその不足を埋めるために考えさせる環境を作ることこそが再現性の高い正しいマネジメントスタイルとなります。これを会社のマネジメントの軸として設定(仕組み化)することが正しい予防策となります。

ベテラン社員に任せている業務が属人化する理由と予防策

理由については言うまでもありませんが、一人の従業員に長く仕事を任せているとその業務は属人化します。このような属人化は多くの組織で常態化されており、課題として認識している経営者も少なくありません。
この属人化解消の難所は部下が自身の存在意義の獲得や変化を嫌うなどの理由で意図的に抱え込むといういわゆるブラックボックス化にあります。こうなってしまうと、いくら指示をしても一筋縄ではいかない状態となり、現時点では業務がスムーズに回ることも手伝い、上司側が諦めてしまっているケースが多い印象です。

では、この属人化をいかに予防(もしくは対策)していくべきなのでしょうか。ポイントは評価制度です。具体的には、評価制度に「自身の抱えている業務の標準化、マニュアル化」という項目を設け、その進捗を上司が管理することが必要になります。つまり、「事実」で管理して評価することがこの属人化への一番の予防(対策)となります。

まとめ

いかがだったでしょうか?経営者の意識や覚悟一つで「属人化しやすい業務」の「属人化」は未然に防ぐことができます。「属人化」環境の問題は、そもそも今という時間軸では大きなデメリットが発生しない点にあります。時間軸を未来に置き、そこでのなりたい組織を明確にイメージし、そこへの覚悟を持てるかどうかこそが最大のポイントかも知れません。

我々識学では、このような属人化対策としての組織運営の在り方を知識と実践の両面でサポートしております。ご興味がありましたら是非ともご相談ください。

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