今回は、短時間で簡単な打ち合わせなどを行う「ハドルミーティング」について考察します。
一般的な企業では、長時間の会議が長時間労働の元凶となっているケースも多く、短時間で行うハドルミーティングは生産性向上に有効な取り組みです。
この記事では、ハドルミーティングの定義やメリットデメリット、ミーティングに使えるツールなどについて詳しくご紹介します。
【この記事の要約】
- ハドルミーティングとは、少人数で集まる短時間で効率的な会議のこと
- ハドルミーティングは。自由な意見を言いやすいなどメリットが多い
- ハドルミーティングは、深い議論ができないなどのデメリットが存在する
- 効率よくハドルミーティングを行うには、オンラインツールなどの導入がおすすめ
目次
ハドルミーティングとは「少人数で集まる短時間で効率的な会議のこと」
「ハドルミーティング」とは、少人数で15分程度の話し合いを行う会議のことを指します。
一般的な会議とは違い、短時間で終了し、会議室などではなくミーティングスペースやオンラインツールを利用して行われる事が多いのが特徴です。
「ハドル」の由来と「ハドルミーティング」の定義
アメリカンフットボールで、チームメンバーが円陣を組み、試合の戦略などを話し合う光景を見たことのある方も多いのではないでしょうか。
これが、まさに「ハドルミーティング」です。
ハドル(Huddle)という言葉は、おもにスポーツの世界でよく使われることが多い用語ですが、最近ではビジネスの世界でも使われるようになりました。
ビジネスの世界での「ハドル」や「ハドルミーティング」でも、ラグビーと同じように立ち話で打ち合わせをしたり、zoomなどのオンラインツールを使って短時間に打ち合わせを済ませます。
ハドルミーティングは、目的を絞って短時間の打ち合わせを重ねるため、「次第にチームメンバーの結束力が高まる」といったメリットがあるミーティング方法です。
また、ダラダラと長時間行う会議とは違い、短時間で結論を出すことで組織全体の生産性向上にも寄与する打ち合わせ方法ともいえます。
ハドルミーティングの特徴や一般的な会議との違い
ハドルミーティングは「短時間で実施される」「不定期かつ頻繁に開催される」「カジュアルな雰囲気で行われる」といった特徴があります。
長時間深い議論をする一般的な会議とは、その方法も違えば、得られる効果にも違いがあります。
ミーティング時間が短い
ハドルミーティングの主な特徴のひとつとして「短時間で終わる」点があげられます。
ハドルミーティングは、通常15分程度で終了します。
一般的なハドルミーティングでは、ひとつのテーマに絞って話し合いを行うため、短時間で集中力を保ちながら議論ができるのが特徴です。
一方で、一般的な会議は通常30分~1時間程度行われる場合が多く、なかには3時間以上続く会議もあります。
会議時間が長すぎると集中力も途切れ、次第に意見も出なくなり、なんのための会議だったのかわからなくなるケースも多いでしょう。
会議テーマが簡単なものなら、わざわざ会議設定をせず、短時間で関係者だけが集まって結論を出す、ハドルミーティングがおすすめです。
不定期で頻繁に行うミーティングが多い
ハドルミーティングは「不定期で頻繁に行われる」という特徴があります。
電話やチャットなどで招集をかけ、「10分後にミーティングスペースに集合」といったように、気軽に打ち合わせを実施します。
いつ実施されるかわからないハドルミーティングですが、いつでも実施できることで「迅速な意思決定ができる」メリットが生まれます。
カジュアルな雰囲気やオンラインで行われる
ハドルミーティングは、オープンスペースで実際に会って話すこともあれば、Zoom、Microsoft Teamsなどのオンラインツールを使用して行うこともあり、どちらにせよカジュアルな雰囲気で行うのが特徴です。
一方、一般的な会議は会議室で席次が決まっているケースもあり、かしこまった雰囲気で行われます。
会議室を限定したり時間を決めたりすると、何らかの理由で会議がキャンセルされた場合、再度時間や場所の調整が必要になります。
ハドルミーティングではカジュアルな雰囲気で打ち合わせが行われるため、普段会議室で出なかった面白いアイデアが出る場合もあります。
またzoomやMicrosoft Teamsなどのオンラインツールを使えば、普段対面では言えない意見も出し合えるかもしれません。
最近では、働き方改革でリモート勤務も当たり前になってきました。
オンラインで行われるハドルミーティングなら、リモートワークをしているメンバーも気軽に参加できます。
チームやプロジェクトメンバーだけが参加する
限定されたチームやプロジェクトメンバーだけが集まるのも、ハドルミーティングの特徴です。
打ち合わせ内容に直接関係するメンバーだけが集まるため、短時間で打ち合わせは完了します。
一方、一般的な会議では、議題には直接的に関与しないメンバーや幹部陣が参加することも多く、場合によっては会議時間が長引いたり、議論の焦点がズレたりするケースもあります。
プロジェクトメンバーだけで結論が出せる内容に関してはハドルミーティングで話し合い、「経営層に決済を仰ぐ必要がある」など、重要な案件は会議で行うといいでしょう。
ハドルミーティングのメリットデメリット
ハドルミーティングは短時間で結論を出せるため、組織の生産性向上に寄与するなど、いくつかのメリットがあります。
しかし、その一方で「深い議論ができない」点や、「オンラインミーティング用のツールが必要になる」などのデメリットも存在します。
ミーティングを実施する場合は、議題やオフィスの環境などをよく考えて、どちらの方法がいいか決めるといいでしょう。
メリット「時間効率の向上」
ハドルミーティングの大きなメリットのひとつに「時間効率の向上」があります。
ハドルミーティングでは、数人が短時間で集まり解決策を出すため、次のアクションに素早く取りかかれます。
また、ビジネスの現場では経験値の浅い新人層が、仕事の進め方について悩む場面も多いでしょう。
身近な先輩と手軽にハドルミーティングを行える職場なら、その場ですぐにアドバイスがもらえ、個々の成長のスピードもさらにあげられます。
メリット「迅速な意思決定」
ハドルミーティングのふたつ目のメリットは「迅速な意思決定ができる点」です。
変化の激しい市場環境や、競合他社の状況などにより迅速な判断が求められるケースでは、即時決断ができる点は大きなメリットといえます。
また、ハドルミーティングの場でリーダーが部下の意見を引き出し、素早く決断を下す姿を見せることは、部下の成長にもつながるでしょう。
会議で部下を成長させるマネジメント術などについては、下記の関連記事もぜひご覧ください。
関連記事:会議で部下を成長させるマネジメント術
メリット「コミュニケーション向上」
ハドルミーティングは、メンバー間のコミュニケーションを促進するうえでもメリットの大きい方法といえます。
ハドルミーティングは、お互いがリラックスした状態で短時間の打ち合わせを頻繁に実施します。
そのため、メンバー同士の本音を聞ける機会も増え、回数を重ねるごとに相手への理解も増していくでしょう。
個々のメンバーが出した意見が採用され、ビジネスとして成功体験を積めるようになれば、お互いを尊重するようになり、チームとしての士気はますます向上します。
デメリット「深い議論はできない」
ハドルミーティングはメリットが多い反面、「深い議論はできない」というデメリットもあります。
ハドルミーティングは短時間で行うため、深い議論や複雑な問題の解決には向いていません。
そのため、議題によっては結論が出ずに別の会議を再度設定する必要が出てきます。
どのような場所や方法で会議をするかは、議題や期限、そして決済権限者などをよく確認してから判断するようにしましょう。
デメリット「オンラインミーティングなどのツールが必要」
ハドルミーティングでは、会議室の確保や時間を気にせず打ち合わせをするため、オンラインミーティングツールやミーティングスペースが必要となるケースがあります。
わざわざ会議室に集まるわけではないため、オフィスのスペース内に簡単な打ち合わせテーブルや椅子、パーティションなどが必要になるかもしれません。
また、オンラインミーティングを行うためには、zoomなどのITツールやオンラインブース、インカムなどのハードウエアの準備も必要です。
用意する設備によっては費用もかかります。
会議の進め方やオンラインツールでミーティングする場合の注意点については、下記の関連記事も参考にしてください。
関連記事:全社会議とは?web会議やオンライン上で行う注意点や目的・意味を解説
ハドルミーティングを効果的に行うコツ
ハドルミーティングを効果的に行うには、いくつかのコツがあります。
ミーティングのゴールを設定しておくことや、話しやすい環境を作る点などについては、もっとも注意しておくべきポイントといえます。
目的を明確化する
「どのような点について打ち合わせするのか?」「ミーティング終了後のゴールはなにか?」など、ハドルミーティングの目的は明確にしておきましょう。
本来のハドルミーティングの目的は「短時間で結論を出すこと」です。参加者全員が同じ目的意識をもって参加できるよう努めましょう。
話しやすい環境を用意する
ハドルミーティングでは話しやすい環境を用意する点も、効果的に行ううえで大切なポイントといえます。
はじめの1~2分でアイスブレイクしたり、ミーティングを仕切るリーダーがメンバーからの意見を集めるなど、オープンなコミュニケーションが取れるように配慮するといいでしょう。
参加者を限定する
ミーティング参加者は。できるだけ限定的なほうがいいでしょう。
関係性の薄い他部署のメンバーや上層部を参加させてしまうと、意見がまとまりにくく自由なアイデアも出なくなります。
ハドルミーティングは、必要なメンバーだけに声をかけ、少人数で行うのがポイントです。
終了時間を決める
ミーティングを開始したら、冒頭で終了時間を宣告するようにしましょう。
例えば10時からハドルミーティングを実施するのであれば「この打ち合わせは10時15分までですので、各自積極的に意見を出してください」と言うと、良い意味でも緊張感が高まり、生産性の高い打ち合わせができます。
アジェンダを事前に共有する
ハドルミーティングの実施前には、できるだけアジェンダを事前に共有しましょう。
打ち合わせの場所に集まってからアジェンダに目を通しているようでは、時間内に終了できないかもしれません。
事前にメールや口頭でアジェンダを共有しておけば、参加メンバーもある程度の考えをまとめたうえで参加できます。
ハドルミーティングに最適な環境や便利なITツール
効果的なハドルミーティングを実施するためには、コミュニケーションを取りやすい環境や、オンラインツールなどが必要です。
最後に、おすすめのオフィス環境や、Zoom、MicrosoftTeams、Slackなどの便利なITツールについて詳しくご紹介します。
オープンなミーティングスペース
短時間で集まって頻繁に打ち合わせをするなら、会議室などの特別な部屋ではなく、オフィス内の一部にオープンスペースを用意しておくといいでしょう。
イメージとしては、ファミリーレストランなどにあるようなテーブルと椅子、パーティションだけで仕切られているようなスペースが理想的です。
部屋で隔離されていないため自由に集まることができますし、わざわざ会議室を予約する必要もありません。
まわりの声が気になるなら、少し背の高いパーティションで仕切っておくといいでしょう。
ZoomやMicrosoft Teams
ZoomやMicrosoft Teamsは、オンラインでのハドルミーティングに最適なツールです。
短時間のオンラインミーティングであれば、無料のZoomアカウントでも十分です。
ZoomやMicrosoft Teamsなどの汎用オンラインツールなら、音声や画面を共有しながらのミーティングはもちろん、ファイル共有も簡単です。
リモートワークをしているメンバー間同士、スマートフォンからでも参加できるため、時間と場所を気にせず、いつでもハドルミーティングがおこなえます。
参考:ZOOM公式サイト
Slack
Slackは、チーム間の迅速なコミュニケーションに役立つツールです。
チャット機能が使いやすいため、わざわざ集まるまでもない簡単な議題なら、Slackのチャット機能ですぐに解決できます。
Slackにはハドルミーティング機能があり、音声やファイル共有機能がすぐに使えるようになっています。
Slackのフリープランなら2人までしか参加できませんが、有料プランなら50人までのミーティングが可能です。
ハドルミーティングの使用事例などについては、下記公式サイトをご覧ください。
GoogleMeet
Google Meetは、Googleの各種サービスとの連携しやすいミーティングツールです。
Google Meetなら、Gmail・Google Calendar・Google Driveなどの他のGoogleサービスとのシームレスな連携が可能です。
例えば、Googleスプレッドシートを開いた状態から関係者を招集し、スプレッドシートを見ながらすぐに会議を開始するといったこともできます。
Google Meetは、Googleアカウントを持っていれば誰でも参加でき、人数は100人まで、時間は60分までの会議なら、費用もかかりません。
参考:Google Meet公式サイト「どこでも誰とでもビデオチャット」
GoToMeeting
GoToMeetingは、大規模なチームや複雑なミーティングを開催する場合に最適なツールです。
一般的なオンラインミーティングに必要な機能はもちろん、優れたセキュリティ機能を備えている点も評価できます。
パスワード保護や会議ロック機能を使って、安全なオンラインミーティングを開催できる点は、安心できるポイントといえます。
無料トライアル期間も14日間用意されているため、実際に使ってみて自社組織に合うかどうか見極めることも可能です。
Adobe Connect
Adobe Connectには、仮想のハドルルーム作成機能があります。
対面で会議しているような感覚で仮想環境を作ることができ、ファイル共有やチャットポッドを使いながら効率よくミーティングを進められるのが特徴です。
Adobe Connectには、メインの会議室を小会議室に分割できる機能があります。
小さい会議室でハドルミーティングを行い、そこで決まった内容を大会議室に持ち込んで、さらに重要な会議をすることも可能です。
まとめ
ハドルミーティングは、変化が激しく迅速な意思決定が求められる現代において効果的な打ち合わせ方法といえます。
今回は、ハドルミーティングの概要やメリットデメリットを詳しく解説しました。
短時間で頻繁に実施するハドルミーティングを重ねることで、仕事の効率性も上がり、メンバー間のコミュニケーションも深まるでしょう。
ただし、いくら簡単に会議ができるからといって雑談に終わってしまうようでは、理想的なハドルミーティングとはいえません。
会議の目的とゴールを明確に決め、ミーティングの進行責任者が責任をもって進めるよう心がけましょう。