昨今、労働者のパフォーマンスを向上させるために注目されているのがタレントマネジメントシステムです。
これは、効果的な人事異動、育成、評価のために従業員のスキルやノウハウ、希望職種、性格などを含めたデータを一元管理するシステムのこと。
今回はタレントマネジメントシステムの特徴と活用方法、さらには株式会社識学のタレントマネジメントシステム「ソシキサーベイ」についてお伝えします。
目次
タレントマネジメントシステムの注意点
労働者のパフォーマンス向上は重要ですが、注意しなければいけないのがタレントマネジメントシステムを活用して「適材適所」で組織運営しようとしてしまうことです。
適材適所の全てを否定するつもりはありませんが、従業員の持つノウハウや希望を優先して組織運営してはいけません。
「この社員はこの仕事を希望しているしノウハウもあるから任せてみよう」という判断をすると、実は現在の会社にとって必要のない業務だった、もしくは人材が特定の部署に偏ってしまった、または全ての従業員の希望を叶えることができないため、自分の希望や経験にあった仕事ができない人の不満が噴出してしまい、かえって社内が混乱してしまったなどの問題が起きてしまいます。
あくまでも経営戦略を成功させるための人材戦略が必要であり、両者の関係は横ではなく縦であるということを忘れてはいけません。
経営戦略
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人材戦略
考え方としては、適材適所ではなく「適所適材」として組織運営をしていく必要があります。
つまり、チームが勝つためにどんな経営戦略で行くのか、経営戦略を実現させるためにはどんなフォーメーション(組織図)で行くのか、組織図の各ポジションにどんな役割を設定するのかを明確にすることがスタートです。
その上で、従業員の特性を理解して人材を配置していく。この順番が重要となってきます。
時には従業員の希望や経験に合わない業務を実行してもらわなければなりません。
一時的に従業員の気持ちが落ち込むこともあるかもしれませんが、チームが勝利するために必要な役割を明確に設定し、役割を果たして従業員が成長できるようマネジメントするのがリーダーの務めです。
自分の希望する仕事でも経験のある仕事でもなかったが、設定された役割のなかで成長してチームに貢献できたという足跡を見つけたときにやりがいを見出す人も出てくるでしょう。
組織の状態を八つの評価軸で明らかにするソシキサーベイ
タレントマネジメントシステムには、従業員の特性を知るためにサーベイを実施して適性を測るツールがあります。
協調性、積極性、環境適応性などを図っていくツールですが、導入している会社からは「それぞれ個人が認識している特性と周りが認識している特性が異なり、結局活用ができていない」とか「マネジメントにどう活用してよいか分からないなど」の課題を抱えていると聞くことがあります。
そこで今回は弊社のソシキサーベイをご紹介いたします。ソシキサーベイは従業員に10分ほどのアンケートを実施することで、組織の状態を八つの評価軸で明らかにし、改善を促進するものです。その八つの軸について解説します。
自己評価意識
自分の評価を決めるのは上司や会社であるという認識ができていると点数が高くなります。
会社は市場から評価される存在です。
市場からの高い評価を得るために、会社は社員に目標を設定して社員を評価しなければなりません。社員が「頑張っているのに評価されていない」という自己評価の思考になっていては、他者評価を受け入れられず成長が止まってしまいます。
組織内位置認識
上司と部下の関係性を正しく認識できていると点数が高くなります。
上司が人間的に偉いわけではありませんし、上から目線でマウントを取ってもいけません。
ただし、上司はチームの責任を負う代わりに、部下を指揮命令する権限を会社から与えられています。にもかかわらず、「あの上司の指示には従いたくない」や「納得できない仕事はやりたくない」という思考に部下がなっていると、チームの生産性が下がってしまいます。
結果明確
自らが日々の業務において何をやるべきなのか明確な状態だと点数が高くなります。
自分はどんな結果を出せばよい評価を得られるのかが分かっていない、よい評価を得るために今何をやるべきか迷っている社員は集中できているとは言えません。
成果視点
「失敗したらどうしよう」などの不安を抱えることなく、集中して仕事ができている状態だと点数が高くなります。
野球で置き換えると、「打てなかったらどうしよう」と不安を抱いたままバッターボックスに入るようなものです。
このような状態を識学では、「不必要な恐怖」を感じていると言います。不必要な恐怖を感じていると個人のパフォーマンスは低下します。
免責意識
自らの仕事に対して自責で捉えていると点数が高く、他責の状態になっている、つまり言い訳を抱えていると点数が低くなります。
「結果が悪くても自分のせいじゃない、上司や会社、周りの環境が悪いんだ」と社員が責任を押し付けている状態です。自責で捉えて自らの不足を認識することが成長につながります。
変化意識
成長していく意思が強いと点数が高くなります。
成長する意思がある社員は、現状維持ではなく今よりも高い目標を設定してそれに向けて行動しようとします。
行動優先意識
考えてばかりで時間を費やすのではなく、まず行動に移り、結果を検証して改善しようという思考になっていると点数が高くなります。
考えてはいけないという意味ではありませんが、決断した後に行動しなければいけない状況のなかでまた考え出すようだと、結果が出るのも遅くなります。たとえ結果が悪かったとしても、早く改善することで正解に近づけるのです。
時感覚
時間短縮をする重要性を認識できているほど点数が高くなります。
時間は全ての人に平等です。そのため、時間当たりの生産性を上げることはどの会社にとっても価値を高めることになります。社員一人ひとりが今の業務を少しでも短縮するために改善しようと行動する必要があります。
ソシキサーベイは働いている個人がチームに貢献できるような思考状態になっているか、チームとして必要な業務に集中して取り組めているかを測るものです。この数値によって上司のマネジメント力を測ることもできます。
人の性格を知ることができても性格を変えるのは容易ではなく、正確に合わせたマネジメントにも限界があります。
ソシキサーベイで数値化できる八つの軸により、上司がどんなマネジメントをすれば組織が改善するのかが見えてくるのです。