「複業」とは、いくつかの仕事を並行して進める働き方です。
働き方改革が推進され、働き方が多様化する近年、この「複業」に注目が集まっています。
本記事では複業について
- 企業と従業員のメリット・デメリット
- 副業やパラレルキャリアとの違い
- 現状や複業が増える背景
- 認める際の注意点
などを解説していきます。
目次
複業とは
複業とは、本業をいくつか持つ働き方であり、近年注目を集めています。
同時に2つ以上の仕事を進めることで、さまざまなスキルや経験、学びを得られるだけではなく収入アップなどいくつものメリットが得られます。
従業員のスキルアップや経営視点を得られるということから、企業も従業員の複業を認めるケースが増えているのです。
複業のメリット
複業をすることで得られるメリットを従業員側と企業側に分けて解説していきます。
従業員のメリット
まず従業員側のメリットを見ていきましょう。
スキルアップ
いくつもの仕事を経験することで、1つしか仕事をしない場合と比べて、より早くスキルアップできます。
今までやってきた仕事で身につけたスキルや知識を、新しく始めた仕事で活用できたり、新たな発見につながったりします。
収入源を分散してリスクを下げられる
いくつかの収入源を持つことで、万が一のときのためのリスク分散につながります。
現代は「大企業に勤めているから安心」といった大企業神話は崩壊しつつあり、どのような企業でもいつどうなるかはわかりません。
収入源がひとつの時と比べ、安心感が生まれるでしょう。
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新しい挑戦ができる
収入源が1つしかなければ、なにか新しい仕事に挑戦したくなってもそう簡単にはいきません。
しかし、いくつかの収入源を持つことで新たな挑戦をしたくなった際に、柔軟に動くことができます。
企業側のメリット
続いて企業側を解説していきます。
人材育成につながる
従業員に複業を認めることで、企業はコストをかけずに人材育成につなげられます。
自分で仕事を選び、複数の仕事を同時並行することはスキルアップにつながるだけではなく、経営者視点や管理者視点なども学べます。
労働生産性が上がる
複業を始めると、それまで以上に時間の使い方を意識するようになります。
これにより、決まった時間のなかで効率的に仕事を進めるようになるため、労働生産性の向上につながります。
組織改革につながる
企業が複業を認めることで、結果として企業はより柔軟な組織に生まれ変わります。
自社だけではなく他社でも活躍できる優れた人材で組織が構成されることとなるので、柔軟な体制を整えなければ人材が流出してしまうからです。
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複業のデメリット
続いて、複業のデメリットを見ていきましょう。
従業員側のデメリット
まず従業員側が抱える問題点などを解説していきます。
自己管理能力が必要
同時に複数の企業で働くということは、それだけ関わる業務や人間が増えるということでもあります。
これにより、これまで以上に時間の使い方やスケジュール管理能力が重要になります。
したがって、自己管理能力がなければ仕事をうまく進められないでしょう。
長時間労働に陥る
いくつもの仕事を同時に進めると、働く時間が長引き、長時間労働に陥りやすいです。
従来は休み時間にあてていた時間を仕事に使うようになったり、家に帰っても残業をしたりすることにより、働きすぎてしまうことが原因です。
関連記事:長時間労働とは?4つの基準や原因、企業が被るデメリット、対策を解説
企業側のデメリット
続いて企業側が注意するべき問題を解説していきます。
労力が分散する
複業をすることで従業員は自社の仕事だけではなく、他社の仕事にもエネルギーを使うことになります。
これにより労力が分散してしまい、集中してほしい業務がある場合は問題となるでしょう。
機密情報の管理コスト
従業員が他社と仕事をする際は、秘密保持義務や競業避止義務などをどのように管理するかといった、管理コストが発生します。
さらに機密情報が漏えいするリスクもあるため、企業は注意しなければなりません。
複業と副業の違いとは
複業と混同されがちな言葉として「副業」が挙げられますが、これらはどのように異なるのでしょうか? 違いを解説していきます。
副業とは
副業には法的に定められた明確な定義はありません。
しかし、本業とは別の収入源を得ることを目的に行う仕事を指すことが一般的です。
また、複業はどの仕事も本業として扱いますが、副業は本業に対するサブの仕事という扱いになります。
パラレルキャリアとは
混同されがちな言葉として「パラレルキャリア」も挙げられます。
パラレルキャリアは、仕事や収入アップ以外を目的としており、本業と並行して自分の好きな分野で第二のキャリアを築くことです。
関連記事:パラレルキャリアとは?副業との違いや始め方を解説『人生を豊かにするために!』
日本における複業の現状とは
株式会社リクルートの調査によると、兼業・副業を認める人事制度を導入している企業は49.5%、社外から兼業・副業人材を受け入れているのは49.9%だったことがわかっています。
一方で2019年に同社が行った調査では、兼業・副業を容認・推進している企業は30.9%だったため、複業を認める企業が増えていることがわかります。
同社は「2つの調査結果を単純比較できるものではない」としていますが、近年の働き方改革の推進や人手不足などにより、今後はさらに拡大していくでしょう。
(参考:「兼業・副業に関する動向調査 2020」データ集を公開丨株式会社リクルート)
(参考:兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)丨株式会社リクルート)