リーダーがメンバーとの関係を良好に保つことは、チームの運営をする上でとても大切なことです。
メンバー同士で仲が悪ければ、足の引っ張り合いなど、別のことに気をとられて、結果を出すことが難しい状態になるのは言うまでもありません。
しかし、リーダーがメンバーと“仲良く”してしまうことで、結果を出すことができない「弱いチーム」を作ってしまうこともあるのです。
本日は、私の体験談を元に「業務に集中できる環境作り」について、お話ししていきます。
目次
メンバーと距離の近いマネジメント
とある女性のチームリーダーの話しです。
そのリーダーは人懐っこくとても温和な性格なため、上司や部下問わず、周囲の人から慕われる存在でした。
チーム内でもその人懐っこさを活かし、メンバー一人一人とも距離の近いマネジメントをすることで、チームの雰囲気を良好に保っていたのです。
しかしチームを任されてから2年、その女性はチームリーダーを外されてしまうことになります。
とくに勤務態度が悪かったわけでもありません。
チーム内からも疑問の声があがるほどでした。
なぜ、上司部下からも評判のいいその女性は、チームリーダーを外されてしまったのでしょうか。
女性はチームリーダーを外されてしまった理由
原因は、チームとしての“成果”を出せていないことにありました。
当たり前に聞こえますが、注目すべきは“どうして成果を出せるチームつくりができなかったのか”という原因にあります。
そのリーダーはメンバーに対して、一緒にランチにいったり、休日に一緒に出掛けたりなど、友人のように接していました。
いくらプライべートとはいえど、共通の“仕事”の話題をさけることはできず、メンバーたちがとくに知る必要のない、業務の件や上司について共有をしてしまっていたのです。
それが、このチームにとって悪影響を及ぼす原因となってしまいました。
距離感による弊害
その結果、チーム内では業務中にも関わらず、
「○○さん、この間お話ししたあれ、いつ行きますか?」や
など、プライベートな話が多くかわされるようになりました。
また、
「前に言ってた『上司からの無駄な業務』が、また回ってきたんですね!」
など、以前お酒の場で思わず言ってしまった上司の愚痴についても皆に知れ渡ってしまっている様子。
しかし、リーダーはそれに対しとくに注意をせず、むしろ「自分のことも心配してくれるとても良いメンバーだ」「チームの雰囲気は良好である」、と信じていました。
しかし、メンバーAさんが業務中にミスをした際に言い聞かせていた時のこと。
リーダー「○○ちゃんは比較的にここのミスが多いと思うの。だから、改善策を今日中に考えて提出してくれないかな?」
Aさん「・・・。」
不服そうにするAさんをみて、本人が未納得のまま放置したらよくないと思い、リーダーは理由を尋ねました。
リーダー「何か問題でもあった?」
Aさん「・・・リーダーはBさんがミスをしていたとき、何も言わなかったじゃないですか。」
リーダー「え?そうだった?」
Aさん「Bさんと仲がいいから、差別しているんじゃないですか?」
リーダー「仕事においては、私情を挟んでいるつもりはないよ。」
Aさん「Bさんはいつも評価も高いし、依怙贔屓しているとしか思えません。」
リーダーはこの誤解をとくために、その日は何時間もかけて、話し合ったそうです。
このように、リーダーがメンバーたちと距離を縮めてしまうことによって、普通に注意したつもりでも「依怙贔屓なのではないか」という疑念を抱かせてしまったり、納得させようとして明らかに無駄な時間を過ごしてしまう結果になってしまいました。
また、普段友達のように接してしまっているため、指示が自然と「お願い形式」になってしまったりなど、実は業務を円滑に進める上で支障が出てしまうことに繋がっていたのです。
結果、チームとしての成果がなかなか出せずに、リーダーの女性は外されてしまったのでした。
まとめ
メンバー同士、仲良くなることが、業務を円滑に進めることにおいて大切になってくるとよくききますが、必ずしもそうとは限りません。
とくに、リーダーがメンバーと距離を縮めることによる弊害は多いです。
人間関係などで悩むなど、業務外のことに気が散ってしまう環境をつくってしまうと、
上手く進められることも進まなくなっていきます。
業務に集中できる環境つくりに、リーダーは集中するべきです。
そのため一見冷たく感じますが、リーダーの役割である、チームをゴールへ最短で導くためには、メンバーとの距離感を十分に保つ必要があるのです。