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全社員に直接指示を出す経営者へ識学を勧めたい アートグリーン株式会社 代表取締役社長 田中豊氏

胡蝶蘭の生産から販売まで手がけるアートグリーン株式会社。2015年に名古屋証券取引所セントレックス市場へ上場を果たした同社は、2025年を目途に東京証券取引所での株式公開を目指している。目標達成に向け、組織改善を図るべく創業社長の田中豊氏は識学導入を決めた。なぜ識学を選んだのか。田中氏にその理由を聞いた。

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組織改善を図りたかった

事業内容についてお聞かせください

当社は、1991年に創業した「胡蝶蘭屋」です。一般的にフラワービジネス業界では、花の生産、輸入、中卸、小売りをする企業は別々ですが、当社はこれらすべてを自社で手がけています。加えて、エンドユーザーへ花を届ける物流事業も自社の領域です。

胡蝶蘭の贈答に関連する市場の規模は、現在年間で約250億円と言われ、当社のシェアはその10%程度です。当社を設立した頃、祝い事があれば胡蝶蘭を贈答するという文化が世の中に浸透し始めていました。胡蝶蘭は贈答花のなかでは高価なもので、胡蝶蘭の流通量が拡大するにつれて当社も成長していったのです。

なぜ識学を導入しようとお考えになったのでしょうか

2015年に名古屋証券取引所セントレックス市場に株式上場しました。そして、2025年を目途に東京証券取引所で株式公開したいと考えています。識学を導入したいと思ったのはこの点が関係しています。

私は、かねてより東証銘柄に名を連ねるまで社格を上げたいと考えており、そのために組織改善を図らなければならなかったのです。というのも、名証セントレックスに上場する前は、上場を目指して社員全員が一丸となれたのですが、上場した途端社員の気が抜けたというか、当時に比べると会社の空気が緩んでしまい、立て直せずにいました。

原因が私にあることは間違いないと思っていました。なぜなら、全社員に私が直接指示を出していましたからね。しかし、どうしたらよいものか、はっきりした答えを見つけられなかったのです。

識学導入以前はどのような組織だったのでしょうか

もともと、当社にはエースと呼ぶべき社員が5人いて、そのエースたちが中心となって仕事を獲得してくれていました。これに対して、若い社員たちは何か新しい商売を生み出そうとせず、「与えられた仕事をこなせばよい」と考えてしまっていたのです。

しかし、エースたちは年齢が若くなく、いずれ引退の時期が来ます。ルートセールスだけでも今後数年はある程度の売り上げと利益を見込めるのかもしれませんが、新規顧客の開拓をしなければいずれ立ち行かなくなる恐れもあります。この状況に危機感を抱いている若い社員がいませんでしたね。

問題はまだありました。細かなルールがない、あっても守られていない会社だったことです。花は夜間に配達しなければならないときもありますし、母の日の前だと3日間家に帰れないチームもありました。だから、社員はいつ休んでいてもよいことにしていたのです。部署が黒字で回っていればよいものとし、社員がどこにいるのか、何をしているのかが分からない状態でした。

このような状態だと、エース社員がルール違反をし始めるようになるんです。「成績を残しているんだから文句ないだろう」という考えでしょう。

それでもこの社員に辞められては困るので、私は何も言えなかったのです。一方、他の社員にしてみれば、そんな社員がいる会社に愛着など湧かず、「業績が悪くなったら、別の会社に移ろう」と考えるはずです。

私は自分の子供に会社を継がせる気はなく、社員に継いでもらいたいと思っています。しかし、このような状態のままでは次の社長にバトンタッチすることなどできるわけがありません。なんとかしなければと思っていたのです。

識学理論を社員が共有すれば社長が誰でも組織運営は上手くいくはず

どのような経緯で識学のことをお知りになったのでしょうか

私が参加している一般社団法人東京ニュービジネス協議会に識学社を誘いたいという話があったのです。それで、協議会で安藤広大社長とお会いしました。

当時、経営者仲間が皆識学を受講していると聞いていました。識学社は上場する前でしたが、安藤社長は、「創業4年目に上場する。上場できなければ、自分が言っていることに説得力が生まれない」という話をしていて、そして本当に上場したのです。すごい人だなという印象を持ちました。

一対一でお話ししたことはありませんが、セミナーで安藤社長の話をお聞きしていると、一本の筋が通っている人物だと分かります。安藤社長の、「国語、算数、理科、識学と言われるほど必要とされたい」というお話を聞いたときに、この人は高い志がある本物の経営者だと思いましたよ。私も30年経営をやっていますから、いろいろな人にお会いします。地に足が付いている人か、浮ついているうたかたの商売人なのかくらい、見れば分かります。

そんな人の経営論ですから、私も識学を学んでみたいと思い、まずはDVDを購入しました。なかなかの値段がしましたが、大金を払ったからこそ最初から最後まで真剣に見ました。そうすると、当社に足りないことばかりでしたね。それで、本格的にご依頼することになったのです。これが1,000~2,000円のものだったら、買っても真面目に勉強しなかったかもしれません。

識学を導入するにあたって何か不安は感じませんでしたか

これといって不安はありませんでした。意外なことに、社員の反発もあまりなかったのです。取り組んでいない社員はまだいますが、私がやり抜けば、彼らの姿勢も変わると信じています。

ただ、私と安藤社長で違う考え方をしている点もあります。例えば、安藤社長は社員とまったく飲みに行かないそうですが、私はよく行きます。社員と互いの人生について語り合うのは好きですから。もし、それが識学の最も肝心な点だったら、最初から識学の実践は無理だと思ったかもしれません。しかし、そんなことはありませんね。

識学の導入によって何か変化はありましたか

あり過ぎるくらいありましたよ。まず、必ず守らねばならないルールを設けたことによって、社員の意識が変わりました。組織の一体感が生まれたのです。私たちは同じ組織に属しているのだと。

そして、識学の教えにある「権限と責任は一緒にしなければならない」というくだり。これがものすごく効果がありました。それまでは、権限はあるけど責任は問われない社員やその逆の人もいました。しかし、責任を求める分しっかり権限を持たせ、部門ごと成績に応じて賞与を出すという仕組みに変えてから予算決めを行いました。

さらに、売り上げと利益の目標を年、月、週で設定しました。そして、毎週経過分析を行うようにしたのです。以前は、毎月一回役員会議の場で各部門の成績を確認していましたが、目標との乖離があっても、単に仕方がないねと言って済ませていました。

以前は、予算達成率20%でも「黒字だから文句言うな」という部署のリーダーがいましたね。その部署のメンバーは、「会社が求める売り上げと利益なんて達成できっこないよ」と常々漏らしていました。しかし、今は違います。例えば、今月の売り上げを1としたら、これをどうやって1.2に増やすか、それを達成するための意欲がすごく強くなりました。権限を与えたことによって、社員が生き生きしてきたのです。

私自身のことで言えば、社員一人ひとりに直接指示を出さなくなりました。権限を与え、責任を持って取り組んでほしいと伝えるだけです。途中で口を挟むことはもうしません。私がやりたいことは直轄下にいる3人に話しています。

そもそも、適当に話を聞く管理職より、「はい、分かりました」と聞いてくれる人に直接話をしたくなってしまうんですよね。でも、そんなことをするからこそやる気が削がれるということは、識学に出会うまで知りませんでした。

各リーダーにも、社員にも「社長は変わった」と思われているでしょう。今まで私のところへ話を聞きにきていた社員がリーダーのところに来るわけですから。組織図も変えて、誰が自分の上司で、評価者なのかはっきり分かるようにしました。以前は、評価者なんて表現もありませんでしたし。

私がこの年齢でも勉強しているということに対して、社員たちは思うことがあるのかもしれません。アートグリーンのためにお金を払って勉強しているのだと。少なくとも私が子供に会社を継がせる気がないことは伝わったと思います。

社員たちのなかから新しいリーダーが出てくれることが楽しみですね。今は心配要りません。識学の理論を社員が共有すれば、社長が誰であっても組織の運営は上手くいくはずです。

識学を疑わずに受け入れることが大事

識学以外のコンサルサービスを受けたことありますか

ないですね。社員をセミナーに派遣したり、知り合いの会社の新人研修に参加させたりしたことはありますが、自分からお金を投じてコンサルティングを受けたいと思ったのは識学が初めてです。人の話を聞いてすぐできるんだったら、あなたがやってみなさいよという考えでしたから。人に聞かないと分からないなら経営者などできるわけがないとも思っていました。

上場企業の社長はそういう思考の持ち主が多いのではないでしょうか。私の場合、自分がやっていたこととまったく逆のことをするようにと言われたから響いたのです。衝撃でしたね。ただ、頭のどこかで「そうだよね」と納得がいく気持ちもありました。それで、識学の教えをすべて受け入れ、実践していったのです。今考えれば、これが大事ですね。

例えば、識学では「社員のモチベーションは上げなくてよい」と教えていますよね。これだけを聞いた人は、識学はおかしな理論だと思うでしょう。こういうところはクローズアップされやすいですが、じっくり話を聞いたら、言わんとすることが分かります。つまり、できなかったことをできるようにしてあげられるシステムを構築すれば、社員のモチベーションは勝手に高まっていく。モチベーションは上げるのではなく獲得するものだと。本当にその通りだと思います。

どのような方に識学はお勧めでしょうか

素直な人なら誰でもおすすめです。識学理論を疑って、「これだめでしょ」って言うだけで受け入れない人は伸びませんよね。「識学なんてやっても意味ない」と考えてしまうでしょう。

特におすすめしたい人を挙げるなら、部長や課長がいるのに、全社員に自分が指示を出さないと気が済まない人です。それから、代替わりしてもずっと会社を存続させたい人ですね。こういう経営者は受講した方がよいと思います。

識学社はこれから東証プライム市場を目指すそうですね。もしそれがかなわなければ説得力はなくなりますから、すごいプレッシャーでしょう。でも、達成すると思います。東証マザーズ市場に上場したときも、安藤社長はそれを公言して実際に達成しました。そんな経営のプロが言っていることが識学ですから、世の経営者は取り入れたらよいと思います。

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