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カーネギーの「人を動かす」を12分で要約!現代ビジネスに応用できるポイントまとめ

カーネギーの「人を動かす」

デール・カーネギー(1888~1955)が1937年に著し、世界で1,500万部を販売した名著「人を動かす」は、ビジネススキルの参考書として、コミュニケーション技術の教科書として知られています。

「人を動かす」は古典ではありますが、「十分現代でも通じる」どころか「現代のビジネスパーソンこそ読むべき書」といえるでしょう。

そこで本稿では、単に「人を動かす」の内容を紹介するだけでなく、この本のエッセンスが現代ビジネスに応用できることを証明していきます。


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カーネギーの人物像

カーネギーは1888年、アメリカ・ミズーリ州の農家に生まれました。大学は学芸大学に進みました。

大学卒業後は教師、セールスマン、行商人、そして役者をしていたこともあります。どれもうまくいかなかったカーネギーは、大学時代に熱を入れて学んだ弁論術のスキルを活用し、教育機関で弁論術講座の講師になりました。

そこでの講義が評判を呼び、カーネギーは有名企業の顧問になったり、大企業の社員研修を担当したりするようになりました。カーネギーが教えていたのは、人間関係のつくり方です。

カーネギーは専門分野の知識を深めようと人間関係論の分野の参考書を探しましたが、適当なものがないことに気が付きました。そこでカーネギーは、自分で調査して得た情報で、業務用の資料をつくっていきました。

その資料は膨大な量になり、まとめる必要が出てきました。そのまとめたものこそ、「人を動かす」なのです[1]。

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目次がすでに教訓

「人を動かす」は5部構成ですが、最終の第5部は付録ですので、ビジネスに関係するのは前半の4部となります。

以下、主要4部について考察していきます。

「人を動かす」には多くの教訓が含まれているのですが、目次がすでに含蓄のある言葉で埋められているので、それをすべて引用してみます。

■第1部 人を動かす3原則
1 盗人にも五分の理を認める
2 重要感を持たせる
3 人の立場に身を置く■第2部 人に好かれる6原則
1 誠実な関心を寄せる
2 笑顔を忘れない
3 名前を覚える
4 聞き手にまわる
5 関心のありかを見抜く
6 心からほめる■第3部 人を説得する12原則
1 議論を避ける
2 誤りを指摘しない
3 誤りを認める
4 穏やかに話す
5 「イエス」と答えられる問題を選ぶ
6 しゃべらせる
7 思いつかせる
8 人の身になる
9 同情を寄せる
10 美しい心情に呼びかける
11 演出を考える
12 対抗意識を刺激する■第4部 人を変える9原則
1 まずほめる
2 遠まわしに注意を与える
3 自分の過ちを話す
4 命令をしない
5 顔をつぶさない
6 わずかなことでもほめる
7 期待をかける
8 激励する
9 喜んで協力させる引用:「人を動かす 文庫版」(デール・カーネギー著、山口博訳、創元社)以下、四角枠のなかの文章はすべて同書からの引用

ビジネスパーソンの行動指針

この計30の見出しは、このまま社是にしてもおかしくないくらいの内容です。新人社員からベテラン社員、経営者まで、すべてのビジネスパーソンの行動指針になりえます。

本書の目的はタイトルとおり、読者に人を動かす術を身につけてもらうことです。ビジネスパーソンが顧客やクライアントを動かすことができれば、ビジネスは成功に近付きます。また経営者や管理職が社員やスタッフたちを動かすことができれば、企業やチームは事業を順調に進めることができるでしょう。

人を動かす3原則(第1部)と人を動かすためのテクニック(第2、3、4部)で構成

第1部の見出しは、本のタイトルと同じ「人を動かす」となっていますので、第1部の3原則は、30原則のなかで特に重要であることがわかります。

そして第2、3、4部には、人を動かすために必要な「テクニック」が書かれてあります。

つまり人を動かすには、

・盗人にも五分の理を認め(第1部 第1原則)

・重要感を持たせ(第1部 第2原則)

・人の立場に身を置き(第1部 第3原則)

・人に好かれ(第2部)

・人を説得し(第3部)

・人を変えなければならない(第4部)

のです。

本書の構成を理解できたところで、内容を詳しくみていきましょう。

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「第1部 人を動かす」から学べること

最も重要な第1部「人を動かす」には3つの原則が紹介されています。その肝心要の第1原則のタイトルが実にユニークで、「盗人にも五分の理を認める」となっています。

 カーネギーの教え

「盗人にも五分の理を認める」の章では、凶悪殺人犯が刑務所の電気椅子に座わらされたとき、最期に

「自分の身を守っただけのことで、こんな目にあわされるんだ」

と言った、というエピソードが紹介されています。

カーネギーはこの凶悪殺人犯が、本心でそう思っていると分析しています。そしてこのエピソードから、凶悪殺人犯ですら自分は正しいと考えるのだから、一般の人はさらに、自分が間違っても自分が悪いとは思わないはずだ、と推論するのです。

そしてカーネギーは、次のような教訓を読者に与えます。

・他人のあら探しは役に立たない

・相手の欠点を指摘しても、相手はすぐに防御体制を敷いて自己を正当化する

・自尊心を傷つけられた相手は、反抗心を起こし危険な存在になる

「第1部 人を動かす」の2番目の原則は「重要感を持たせる」です。重要感は聞き慣れない言葉ですが、これは「偉くなりたいという願望」や「重要人物になりたい欲求」のことです。カーネギーの論理はこうです。

・相手を動かすには

・相手に動きたくなる気持ちを起こさせるしかなく

・相手はほしいものを与えられると動きたくなる

・相手が最もほしいものは重要感だ

ここで得られる教訓は「相手に『自分は重要な人物だ』と思わせよ」となります。

「第1部 人を動かす」の3番目の原則は「人の立場に身を置く」です。

カーネギーはイチゴが好物でした。しかし彼は、釣りをするときに針の先にイチゴはつけません。針の先にはミミズをつけました。それは、魚はイチゴではなくミミズが好きだからです。つまりカーネギーは、釣りをするときに「魚の立場に自分の身を置いている」のです。

カーネギーがいいたいことはこういうことです。

人が相手に何かをしてもらいたいとき、大抵は「こうしてほしい」といいます。しかし相手がそれを気に入らなければ、どれほど強く「こうしてほしい」と頼んでも動きません。

しかし相手がしたいことを探し、それをするよう依頼すれば、相手は動きます。

「相手にしてもらいたいこと」と「相手がしたいこと」を一致させよ、といっているのです。

カーネギーは自身の講演会を、20日間連続行うことがありました。ある日、いつも使っているホテルの支配人から、今後、会場の使用料を3倍にするといわれました。その通告は、カーネギーがすでに講演会の案内を関係者に郵送した後でした。

しかしカーネギーは支配人に対し「3倍にしたらもう二度と講演会に使わないぞ」とはいいませんでした。彼は支配人に、会場使用料を3倍にすることの利益と不利益を伝えたのです。

<ホテル側の利益>

・3倍の使用料は支払えないので、私は会場を使わない。だから会場が20日間空くのでビジネスチャンスが広がる

・ホテルはその20日間、会場でパーティーや集会などを開くことができ、主催者から使用料が入る

<ホテル側の不利益>

・私からの使用料を失う

・私の講演会の参加者である知識人や文化人の評判を失う

ホテル側が20日間にわたってパーティーや集会を開く主催者を集めることは不可能でした。したがって、ホテル側の利益は実質ゼロです。

しかし不利益のほうは、収入減とハイクラス層からの評判低下の2つもあります。

ホテルの支配人はカーネギーに、3倍ではなく5割増しではいかがかと提案し、カーネギーはそれを受け入れました。

このエピソードからは、自分が成功するには相手の利益を考え、それを与える必要がある、ということを学ぶことができます。

「第1部 人を動かす」を現代ビジネスにどう活かすべきか

「第1部 人を動かす」の教えを現代ビジネスにどう応用すべきでしょうか。

パワハラ問題を考えてみましょう。

パワハラをする管理職のなかには「部下に仕事を教えたいから」「部下を成長させたいから」という親心を持っている人もいます。

しかしパワハラは結局、部下の心を壊したり、部下の退職を招いたりします。

それでも信念でパワハラを続けているパワハラ上司は「自分も自分の上司から厳しく鍛えられてここまで成長した」と主張するでしょう。

しかしパワハラ上司は、「自分を厳しく鍛えた元上司がライバルと社長の椅子を狙っているとき、元上司を支援するだろうか」と考えてみるべきでしょう。

元上司への恨みもありますし、元上司が社長になったら暴君ぶりに拍車がかかって社内が混乱するかもしれません。

したがってパワハラを受けた部下は、パワハラ上司によって成長できたとしても、「社長や役員にしたくない」という気持ちになるのです。

つまりパワハラ上司は、部下をパワハラで鍛え上げても得られる成果はほとんどなく、さらに社内で活躍できないリスクも高まってしまうのです。

パワハラは周りに迷惑をかけるだけでなく、自分の価値を落とす行為なのです。

自分が管理職になったとき、仕事ができない部下や成長しない部下を持ったら、「第1部 人を動かす」の教訓を思い出し、以下の3項目を行動指針にしてみてはいかがでしょうか。

・部下の欠点を指摘しても反抗されるだけだから指摘しない

・部下に仕事をさせるために「自分は重要な人物だ」と思わせるようにする

・部下の利益を考え、それを与える

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「第2部 人に好かれる」から学べること

本書の日本語タイトル「人を動かす」は、とても優れた訳ですが、かなり意訳しています。英語の原題は「How to win friends and influence people」で、これを直訳すると「友達を獲得する方法と人々に影響を与える方法」となります。

本書の第2部は「人に好かれる」となっています。この第2部こそ「友達を獲得する方法」に大きく関係する内容となっているのです。

カーネギーの教え

第2部もカーネギーらしいユニークな説でスタートします。カーネギーは、友を得るには犬に学べというのです。

カーネギーは5歳のとき、犬を飼います。ティーピーと名づけました。ところが5年後、ティーピーは雷に打たれて死んでしまいます。カーネギー少年は終生忘れない悲しみを抱えることになりました。

カーネギーはこのエピソードから、ティーピーは何の働きもせずカーネギー少年を友達にした、と考えます。牛は乳を出し、鶏は卵を産むことで人間に飼われて餌をもらいますが、犬だけは人に愛情を捧げるだけで餌をもらえるのです。

しかしカーネギーは、犬が飼い主に示す愛情は、普通の愛情ではないと考えています。愛情に次の要素が含まれていなければ、友達を獲得することはできないのです。

・相手に純粋な関心を寄せる

・夢中になって好意を示す

・魂胆や下心を持たない

・相手の関心を引こうとしない

カーネギーは人に好かれることで、ビジネスが順調に進むと考えています。そして相手から「君は友達だ」と思ってもらうことこそ、最上の好かれ方だと考えているのです。

そして「君は友達だ」と思ってもらうためのテクニックとして、次の方法を紹介しています。

・笑顔を忘れない・名前を覚える・聞き手にまわる・関心のありかを見抜く・心からほめる

これは「やろう」と思えば明日からできることですので、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

「第2部 人に好かれる」を現代ビジネスにどう活かすべきか

それでは「第2部 人に好かれる」の教えを、現代ビジネスに活用してみましょう。

第2部の第4原則「聞き手にまわる」の章に、現代ビジネスが抱える問題とまったく同じ内容のエピソードが紹介されています。つまり80年以上前のアメリカで、現代日本で起きているトラブルとまったく同じもめごとが起きていたのです(「人を動かす」の最初の出版は1937年です)。

それはモンスター級のクレーマーです。

1930年代のニューヨーク電話局の管内に、交換手泣かせの電話加入者がいました。交換手に罵詈雑言を浴びせたり、請求書の金額が間違っているから電話料金を支払わないと主張したり、新聞に投書したり、公の機関に苦情を持ち込んだり、ニューヨーク電話局を相手取り訴訟を起こしたりしました。

2019年の日本に、次のようなクレーマーが存在することを、日本経済新聞が報じています[2]。

・ある小売店に何度も同じ男から「対応が悪い。インターネットに書き込むぞ」という電話がかかってくる。1回に話す時間は数時間に及ぶ。

・あるコンビニ定員は、レジ袋や割りばしが必要か尋ねただけで怒鳴られて買い物かごを投げつけられた。

このほかにも、店員に土下座を強要し、それを携帯カメラで撮影してインターネットにアップするといった事例も報道されたことがあります。

モンスター級のクレーマーに法的手段を取るときの費用を補償する保険も登場したほどです[3]

話をニューヨークに戻します。

ニューヨーク電話局のある職員が、このクレーマーをなだめ、滞っていた料金を支払わせ、訴訟を取り下げさせることに成功しました。

この職員が行ったことは、このクレーマーと4回会うことでした。1回の面会時間は3時間に及び、その間その職員はひたすら聞き役に徹したのです。職員がそのとき心がけたのは「相手の身になって聞くこと」だけでした。

それだけでこのクレーマーは、この職員を親友のように扱い始めたのです。

カーネギーは、この職員が成功したのは聞き役に徹しただけでなく、相手に純粋な関心を寄せ、相手に「自分は重要な人物だ」と思わせたことであると分析しています。

日本アイラック株式会社(本社・東京都新宿区)という会社は、企業のクレーム処理を代行するサービスを展開しています[2][4]。同社のスタッフは、必要に応じてクレーマーの自宅まで行って話を聞きます。半年間話を聞き続け、ようやく執拗なクレーム電話を辞めさせたこともあります。

悪質なクレームがひとつのビジネスモデルを生み出したのは皮肉ですが、日本アイラックの手法がカーネギー方式に似ているのはとても興味深いことです。

「第2部 人に好かれる」の第4原則「聞き手にまわる」は、そのまま何の修正を加えることなく、日本の現代ビジネスに使えるわけです。

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「第3部 人を説得する」から学べること

「第3部 人を説得する」の最初の教えは「議論を避ける」です。これは意外な印象を受けるのではないでしょうか。アメリカ人は非を認めない、という印象を持っている日本人は少なくないでしょう。[5]議論をつくし、相手を言い負かしたほうが勝つのがアメリカ社会のような気がします。

それなのに生粋のアメリカ人であるカーネギーが、しかもビジネス書で「議論を避けよう」とアドバイスしているのです。

カーネギーは「人を説得する」ことがビジネスを成功に導くと考えているのに、その重要ツールといえそうな議論をなぜ否定するのでしょうか。

カーネギーの教え

カーネギーは、人は議論に負けても自分の意見を変えない、という法則を発見しました。だから議論では人を説得できないのです。

議論に勝って得られるのは、勝利の満足感だけです。しかしビジネスで重要なのは、相手の好意を得ることです。

カーネギーは、相手の好意を得るために「相手の誤りを指摘するな、自分の誤りを率直に認めろ」ともいっています。

さらにテクニックとして「穏やかに話す、相手にしゃべらせる、同情を寄せる、演出させる」などを紹介します。

「第3部 人を説得する」には12の原則が紹介されていて、どれも現代ビジネスに有益ですが、そのなかから「第7原則 思いつかせる」にフォーカスしてみたいと思います。

「第3部 人を説得する」を現代ビジネスにどう活かすべきか

「第3部 第7原則 思いつかせる」の教えを要約すると「人から押しつけられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうをはるかに大切にする」となります。

この教訓は企業の若手社員育成に活用できそうです。

人材ビジネスを手掛ける株式会社リクルートマネジメントソリューションズによると、現代の若手社員には、成果や納期を確認せず自分の基準で仕事を進めたり、意味を感じないと進んでやりたがらなかったり、失敗や間違いを恐れて消極的になったりする特徴があります(*6)。

同社が若手社員約100人に調査をしたところ、仕事での成長に影響を与えるのは「ものの見方」であることがわかりました。

つまり、若手の育成に苦労している企業の経営者や管理職は、若手のやる気や能力を引き出そうとするのではなく、ものの見方を変えさせたほうがよいのです。

良いものの見方の具体例としては、「仕事がうまくいかなくても経験から学ぶことができればよい」「少しずつ進めば結果は出るはずだ」「周囲の力を借りることも必要だ」などがあります。

現代の若手社員たちに、ベテラン社員が「意見を押しつけても」うまくいかないでしょう。若手社員に対する介入は、ものの見方を変えさせることだけでよいのです。

ものの見方さえ変えれば、若手は「自分で意見を思いつくようになり」、成長していくはずです。

企業の人事部の担当者は、新入社員や若手社員には「人から押しつけられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうをはるかに大切にする」傾向が強いことを知っておいてください。そして、若手社員たちが「自分で思いつく」ことができる研修プログラムを組んでいってはいかがでしょうか。

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「第4部 人を変える」から学べること

「人を動かす」を1ページ目から熱心に読んできた読者なら、「第4部 人を変える」に突入したら、「いよいよ来たか」と胸が高鳴るのではないでしょうか。

カーネギーは第3部まで、「人の立場に立て、笑顔でいろ、自分の誤りをすぐに認めろ」と、温厚なアドバイスを繰り返してきました。

しかしとうとう第4部に来て、「人を変えろ」というのです。

本書の目的は、人を動かせばビジネスで成功できることを証明することでした。しかしそもそもなぜ人を動かさなければならないのでしょうか。それは、相手の現状が、自分にとって都合が悪いからです。「人を動かす」目的は「相手に現状を変えてもらうこと」なのです。

したがって読者は、カーネギーがどのようにして周囲の人を変えていくのか、そのテクニックを知りたいはずです。

「人を変えさえすれば人はこちらの意のままに動いてくれるようになり、自分は成功できる」といった期待をもって第4部を読んでみましょう。

カーネギーの教え

「第4部 人を変える」の最初の原則は「まずほめる」となっています。そして同じ第4部の第6原則は「わずかなことでもほめる」とあります。

それだけではありません。第2部第6原則にも「心からほめる」とあります。

カーネギーは「人を動かす」のなかで、3度も「ほめろ」と教えているのです。

カーネギーは、ほめることは歯医者の麻酔と同じだといいます。麻酔をしてしまえば、歯をいくら削っても痛くありません。ところが歯医者が麻酔を使わなければ、誰も歯を治療しないでしょう。そうなれば、歯医者は収入を得られませんし、患者は虫歯に苦しみます。

つまり麻酔は、「虫歯の治療を受けない」という行動を、「虫歯の治療を受ける」という行動に変えているのです。そのように人(ここでは患者)を動かせば、成功(ここでは治療費の獲得)できます。

そして、ほめることは、麻酔と同じように相手の苦痛を和らげる効果があります。

会社に仕事ができない社員がいたら、仕事ができるようになってもらわなければなりませんが、カーネギーは「まず相手をほめろ」といいます。最初に苦痛をやわらげれば、その後に「本当は苦痛が発生するはずの指示」を行っても、苦痛を感じずに、むしろ喜んでその指示に従うからです。

「第4部 人を変える」を現代ビジネスにどう活かすべきか

東京都港区に本社があるユニポス株式会社というITベンチャーが、「ほめる」ビジネスを展開しています(*7)。

同社が開発したのは企業向けのスマホのアプリ「ユニポス」です。

ユニポスを導入した企業はまず、社員全員のスマホにユニポスをダウンロードさせます。ユニポスはチャットのような機能を搭載していて、社員間で「ピアボーナス」というポイントを送受信できます。

例えばある社員が同僚の助けを借りて仕事を成功させたとします。そのときその社員は、同僚にピアボーナスを送信し、お礼のメッセージも添えるのです。ピアボーナスのやりとりやお礼のメッセージは社員全員が閲覧することができます。それを読んだ別の社員が、「よい連携をしているな」と感じたら、その社員と同僚に「拍手」を送ることができます。

社員には毎週月曜日に、400ピアボーナス(ポイント)を付与します。この手持ちピアボーナスを感謝したい同僚たちに送信するのです。

そしてユニポスを導入した会社は、獲得したピアボーナスに応じて、現金を支給します。支給額は導入企業が決めることができるのですが、ユニポス社は1ピアボーナス=1~5円程度を推奨しています。

つまり1人の社員が週400円の「原資」を使って、同僚たちにボーナスを配るわけです。これによりお金目的の要素が減り、感謝の気持ちが純粋化されるのです。

職場内で同僚をほめたりお礼の言葉をかけることは、かなり強く感謝していても意外に難しいものです。しかしスマホを使って「ピアボーナスを送信するだけ」なら、躊躇なくできます。ピアボーナスを送ることができれば、それに一言添えることもできるようになるでしょう。

サイバーエージェントやDeNA、メルカリといった著名な企業もユニポスを導入しています。

ユニポス株式会社によると、アプリ・ユニポスを導入した企業は、組織風土が変わり、従業員のモチベーションが向上し、若手の育成が進んでいるといいます。

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まとめ 「人を動かす」について

ビジネス書には数多くの古典があります。「古典」という言葉には「現代に通用する真理が含まれている」というニュアンスがあります。そのため、古い本なのに現代でも販売されているのです。

しかし「人を動かす」ほど、その内容をそのまま現代ビジネスに応用できる古典は少ないでしょう。多くの古典は内容を現代風に解釈してからでないとビジネスで使えませんが、「人を動かす」はその手間をかけず、読んだ次の日の朝から本の内容とおりに仕事を進めることができます。

例えばカーネギーは「人の名前を覚えなさい」と教えています。

なぜなら

人間は他人の名前などいっこうに気にとめないが、自分の名前になると大いに関心を持つものだ

からです。

そして

自分の名前を覚えていて、それを呼んでくれるということは、まことに気分のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果がある

からです。

人を動かすことができていないビジネスパーソンは、ここから始めればいいのです。

参照

[1]「人を動かす 文庫版」(デール・カーネギー著、山口博訳、創元社)
[2]真相深層 悪質クレーム プロが対応 働き手守るサービス続々
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40263380R20C19A1EA1000/
[3]近年急増中の悪質なクレーマー 企業を守る弁護士保険が日本初登場
http://news.livedoor.com/article/detail/15067992/
[4]日本アイラック株式会社
http://www.i-rac.co.jp/
[5]アメリカ人は反省しない?
https://www.huffingtonpost.jp/rochelle-kopp/american-never-regret_b_8887026.html
[6]個を生かす安心と信頼のマネジメント 今の時代の新人若手の生かし方・育て方
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000576/
[7]「ほめポイント」で社員やる気 同僚が頑張り評価
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38622200W8A201C1KNTP00/
[8]共に働く仲間と送り合う新しい成果給のカタチ
https://unipos.me/ja/

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