
「うちは老舗だから、今さら組織の仕組みを変えるのは難しい」そう感じている経営者の方もいるのではないでしょうか。長年にわたって積み上げてきた文化や慣習があり、簡単には変えられないという感覚は当然のものです。しかし実際には、創業年数の長さそのものが変革の障壁になっているとは限りません。多くの場合、その正体は「ルールと構造のあいまいさ」という、年数とは切り離して解決できる課題です。「老舗だから変えられない」というわけではないことを、本稿で整理します。
識学の考え方:位置の錯誤と役割定義
識学では「位置の錯誤」とは、組織上の役割・責任の本来あるべき場所から、ずれた行動をとったり、認識がずれたりしてしまっている状態を指します。典型例は、管理職が判断すべき事項を経営者が直接判断する、部下が上司を飛び越えてさらに上の上司に相談をするなど、指揮命令系統が非公式なルートで迂回されている状況です。これが積み重なると、意思決定の遅延・経営者の現場介入・評価の不透明化などの不具合が起きやすくなります。識学では「誰が・何を・どこまで担当するか」を明確にする役割定義を整備することが、位置の錯誤を解消する最初の一手と考えています。
目次

老舗企業が「変わりにくい」本当の理由
老舗企業が組織変革に時間がかかるとすれば、その多くはルールと構造のあいまいさという解決可能な課題に起因している可能性があります。
長年運営してきた企業では、ルールが明文化されずに「暗黙の慣習」で動いていることが多くあるのではないでしょうか。「うちではこうしている」という慣行が積み上がり、誰も正式なルールとして定義したことがないまま組織が動き続けていたり、評価の基準が明文化されていないまま年数や関係性で判断されていたりすることも多く、指揮命令系統が複雑化して誰が最終決定者かが不明確になっているなどのケースが見られる傾向があります。
実際、株式会社識学が行った『組織アセスメント 経営指標アンケート』(2025年10月〜2026年6月、サービス導入1年以上の企業が対象)では、企業歴別に集計すると、創業50年以上が経過した企業グループでも「売上が増加した」と回答した企業の割合は63.4%(26/41社)に達しており、全体の66.9%(115/172社)と比べても遜色ない水準でした(各社の自己申告に基づく回答、※1)。創業年数の長さは、マネジメント改革の障壁とは限らないと言えるでしょう。なお、この数値は「50年以上」の企業グループ内での回答割合であり、全体の改善率(例:売上「増加」66.9%(115/172社))とは母集団・集計条件が異なります。
重要なのは、こうした問題は企業歴のせいではなく、「ルールの不在と構造の曖昧さ」という解決可能な課題だということです。問題の所在を正確に特定できれば、老舗企業でも変化は起きやすくなります。識学 経営指標アンケート回答より「組織図が明確になり、役割定義表でやるべきことが明確化され、数字が右肩上がりになっています。」というお声もありました。(※本コメントは識学導入企業の回答の一例であり、全体の傾向を示すものではありません。また、本事例は企業歴と関係なく、識学を導入されている企業様からの声です。)「役割が明文化される」という構造的な変化が業績につながるというプロセスになることが多く、老舗企業で長年あいまいだった「誰が何をやるか」が定義された瞬間、社員の行動が変わり始める傾向があります。
老舗企業が変革に成功するための3つの前提
今回のデータから、企業歴が効果の可否を決める根本要因ではないということが示唆されました。同じ「50年以上」の企業でも、改善した企業と改善しなかった企業がありましたが、その差は企業歴ではなく、「定着度」「継続期間」「評価制度の整備」という3条件の充足度と関係があると考えられます。
1つ目の「定着度」とは、識学のマネジメント手法が組織にどの程度浸透しているかです。形式的な導入にとどまらず、管理職・社員レベルまで実践が浸透しているかが問われます。2つ目の「継続期間」は、変化が積み上がるまでの時間軸です。老舗企業では長年の慣習がある分、変化に時間がかかることがあります。それを見越した時間軸が必要になることもあるでしょう。3つ目は「評価制度の整備」です。年功・感情から数値・事実ベースの評価基準への移行は、老舗企業における最大の課題の一つかもしれませんが、最も効果が出やすい領域でもあります。
「老舗だから変えられない」ではなく「老舗だからこそ積み上がった構造課題がある」という視点で現状を整理することが、改革の出発点になりやすいです。

まとめ
老舗企業が変わりにくい場合、多くはルールが明文化されず暗黙の慣習が積み上がっているという構造的な課題が原因として考えられるでしょう。この構造課題を正確に把握し、役割と評価の基準を明文化することが改革の起点になります。長年の慣習・暗黙ルールが多い企業ほど、まず現状の棚卸しを行うことが重要です。
実際、創業50年以上の老舗企業でも「売上が増加した」と回答した企業の割合は63.4%(26/41社)に達しており(各社の自己申告に基づく回答、※1)、企業歴の長さがマネジメント改革の障壁とは必ずしも言えないことを示しています。
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─ 脚注 ─
※1 【クロス集計】企業歴別の集計(母集団=識学導入企業、サービス導入1年以上の企業)。63.4%(26/41社)は「創業50年以上」グループ内で「売上が増加した」と回答した企業の割合。
出所:株式会社識学『組織アセスメント 経営指標アンケート』(回答期間:2025年10月〜2026年6月/サービス導入1年以上の企業が対象/有効回答数は指標ごとに異なる)。各社の自己申告に基づく回答であり、識学サービスの効果を保証・約束するものではありません。
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