人間関係の悩みは尽きないもの。「どうすればもっと信頼し合える関係を築けるのだろう」「もっと仲良くなりたいと思っているのになかなか距離が縮まらない…」と感じている方は多いのではないでしょうか。この記事では、組織マネジメント理論「識学」のエッセンスを、個人間の人間関係に応用する方法を紹介します。相手と向き合い、実のある関係を築くための具体的なアプローチを実践することで、自身にとって有益な人間関係を維持継続できるようになりましょう。
<<あわせて読みたい>>
部下と信頼関係を築く傾聴の姿勢とは?
目次
識学的アプローチの基本は「相手へのギブ」
「識学」は、組織の目標達成に焦点を当てたマネジメント理論ですが、この考え方は個人間の関係性においても極めて有効です。なぜなら「識学」は、個人の意識上に起こる思考プロセスを体系化した理論だからです。その考え方をベースとして、人と仲良くなる上で重要なのは、「相手が求めているものを正しく認識し、提供する(ギブする)」という行動です。
多くの場合、私たちは「仲良くなりたい」と思うあまり、自分の話を聞いてもらおう(自分のことをわかってもらおう)としたり、「共通の趣味」を探そうとしたりします。しかし、真に良好な関係構築は、「私はあなたにメリットを提供します」という姿勢から生まれます。
マネジメント理論としての識学では、組織における「位置(ポジション)」とその「役割(ミッション)」を明確にし、個人は役割を全うすることで組織に貢献する、ということを伝えています。このことは、組織から求められている役割に個人が応える(=組織にとってのメリット)ことによって、個人は組織から評価(=個人にとってのメリット)されることを意味します。
これを個々の人間関係に置き換えると、あなたが誰かと仲良くなりたい(=あなたにとってのメリットを獲得すること)と思うのであれば、あなた自身も相手から仲良くなりたい(=相手にとってのメリット)と思ってもらえる存在になる必要がある、ということになります。相手から「仲良くなりたい」と思ってもらうためには、まずは相手が「どういう人と仲良くなりたいと思っているのか」を知る必要があります。
相手の「求めているもの」を具体的に知る
例)何かに悩んでいる相手に対して、単に「助けを求めている」だけでなく、「話を聞いてほしい」「仕事のアドバイスが欲しい」「気分を盛り上げてほしい」などの具体的なニーズを、観察したり質問を通じて把握する。
その上で、あなたが相手に対して提供できるギブを考え、行動に移すのです。
「ギブ」の内容を吟味する
例)言葉だけでなく、「時間」「知識・情報」「労力」「共感」「承認」など、あらゆるものがギブの対象。相手が最も価値を感じるものをギブすることが重要。
この「ギブ」の行動は、相手に「この人と関わると自分にとって良いことがある」というメリットを感じさせることに他なりません。このメリット提供の継続こそが、関係性を維持し、深めていくための基盤となるのです。「ギブ」の行動のポイントとしては、「まずはこちらからギブする」ことです。

マウントとプライドは関係性を阻害する「壁」
識学が組織運営において注意すべき対象として挙げているものに、「感情」や「主観」の介入があります。これらは言い換えると「個人の思い込み」なのですが、人間関係においても不要な思い込みが相手との間に分厚い壁を作り、健全な関係構築を妨げる要因となります。
特に自分を優位に見せようとするマウントや高慢なプライドは、相手に対して自分を必要以上に「よく見せなければいけない」という思い込みから発生する行為であり、「相手に自分を認めさせよう」といった「奪う(=テイク)」行為に他なりません。前述した「ギブ」の姿勢とは真逆の行為であり、相手は「自分は下に見られている」「利用されている」と感じ、あなたから離れていってしまうことにつながりかねません。
マウント行動を意識的に止める
例)「それは知っている」「自分はもっと良い方法を知っている」「自分の過去の成功体験をひたすら語る」など、相手の価値を下げ、自分の価値を上げようとするような行動は厳禁です。
プライドを「価値提供」のエネルギーに変える
例)「失敗を認められない」「知らないことを聞けない」といった見栄のためのプライドは捨てましょう。自分本位なプライドは、「相手の求めているものをギブすることに徹する」という価値の提供に昇華させるべきです。
識学における組織マネジメントでは、「事実」と「個人的解釈」を分けて考えます。人間関係においても、「自分の方が優れている」というような優位性の誇示を排除し、「相手にとって何が一番良いか」というギブに集中することが、相手と仲良くなるための鍵となります。
「聞く姿勢」が信頼と実のあるコミュニケーションを育む
マウント行動を止めることやプライドを「価値提供」のエネルギーに変えるためにポイントとなるのが、「聞く姿勢」です。識学では、上司と部下の関係において、部下から上がってくる事実情報を正確に把握することが、課題解決や意思決定の必須要素と伝えています。これは、人間関係においても同様です。ただし聞くことは、単に「耳を傾けること」だけを指している訳ではありません。相手の「考え」や「想い」、「ニーズ」を正確に把握しようとする真摯な姿勢そのものでもあるのです。
目的を持って聞く
ただ時間を費やすのではなく、「相手の抱える問題の解決策を見つけるため」「相手の夢や目標を理解するため」など、具体的な目的を持って質問し、耳を傾けましょう。
共感と質問で深掘りする
相手の話を遮らず、まずは共感の姿勢を示します。その上で、「それは具体的にどういうことですか?」「その時、あなたはどう思いましたか?」など、具体的な質問を投げかけ、話を深掘りします。
この「聞く姿勢」によって、相手は「この人は自分を理解しようとしてくれている」「自分のことを考えてくれている」と感じます。これが「信頼」の土台となり、関係性は表面的なものではなくなっていきます。「実のあるコミュニケーション」には、「相手は、自分のことをどう思っているのか」ということをこちら側が正しく理解した上で、相手に対するギブの行動につなげることが大切です。
関係性を「維持・継続」させるためのPDCAサイクル
仲良くなることは、関係性のスタートラインに過ぎません。一時的に仲良くなれたとしても、その関係性が維持・継続されなければ結果としては同じことになります。マネジメント理論としての識学の目指しているものが「継続的な目標達成」であるならば、人間関係構築の目指す先は「良好な関係性の継続」です。この「継続」のためには、お互いが相手に感じている「メリットの内容・分量」に変化がないかどうか常に確認することが大切です。その際、PDCAサイクルを回す考え方が役立ちます。
人間関係の維持・継続におけるPDCAは、例えば以下のようになります。
- Plan(計画): 相手の次のニーズを予測し、次に何をギブするかを具体的に計画します。「来週誕生日だって言っていたから、おいしいごはんに連れていってあげよう」など、具体的な行動を立てます。
- Do(実行): 計画したギブを実行します。実行する際は、「相手の期待を少しでも上回っているかどうか」を意識しましょう。
- Check(評価): ギブの結果を評価します。「相手は本当に喜んでくれたか?」「提供したものが、相手の求めていたものとズレていなかったか?」など、相手の反応や結果をチェックします。
- Action(改善): チェックの結果に基づき、次のプランを改善します。「食事は悪くなかったけど、がやがやしていて話がしにくかったな。個室がある店のほうが喜ばれたかもしれない」など、より効果的なギブに向けて修正します。
このPDCAサイクルを継続的に回すことで、あなたは常に相手のニーズを把握し、相手に対する「メリットの内容と分量」が合致しているかどうかを確認することが出来ます。これにより、相手との関係性は「仲の良い状態(お互いにメリットが得られている状態)」で継続できるのです。

記事のまとめ
人と絶対仲良くなれる識学的アプローチは、「相手へのギブ」と「思い込みの排除」に集約されます。
- 相手の求めていることを把握し、こちらからギブすることで、関係性の土台となる信頼を築きます。
- マウントやプライドといった「奪う」行為を捨て、聞く姿勢を持つことで、「実のあるコミュニケーション」へと昇華させます。
- 関係性を維持・継続させるために、相手のニーズに合わせたギブのPDCAサイクルを回し続けます。
今日からあなたにやっていただきたい行動は、「最も仲良くなりたい人のニーズ・メリットを3つ書き出し、具体的な行動(ギブ)を計画・実行すること」です。この小さな一歩が、あなたの人間関係を良好なものへ変える大きな力となるでしょう。
プロフィール
関東を中心に展開している高級食品スーパーに入社。
首都圏の店舗で主任、店長を務め、アルバイトスタッフを中心とした20名ほどのマネジメントを経験。
自身の働き方や育成方法に疑問を感じ転職を考えていた際、株式投資の対象としていた識学に入社。

<<あわせて読みたい>>
コミュニケーションを円滑にする方法を徹底解説!
記事を読んで、もっと識学を知る。
あなたの組織課題に、識学がどう応えるのか。次の一歩を選んでください。
5,000社以上の導入実績/60分・完全無料のマネジメント相談を受付中



