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心理的安全性の誤解3選!識学が考える成果に直結する本当の安心

「心理的安全性を高めようとしたら組織の規律が緩み、部下の言い訳が増えた」 そんな悩みはありませんか。昨今のトレンドを取り入れたものの、かえって組織の停滞を招いているケースは少なくありません。

本記事では、心理的安全性の「本来の定義」を再確認した上で、よくある3つの誤解を「識学理論」の視点から紐解き、心理的安全性を“本当に機能するシステム”へと変える方法を解説します。

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本来の「心理的安全性」とは何か?

近年、多くの企業が心理的安全性の向上に取り組んでいますが、多くの経営者や人事責任者が次のような実務上の壁に直面しています。

  • 「部下から言い訳や自己主張が増えた気がする」
  • 「職場の雰囲気は良くなったが、なぜか業績が落ちている」
  • 「厳しく指導できなくなり、管理職がマネジメントに戸惑っている」

こうした問題が起きる最大の原因は、心理的安全性という言葉の意味を「お互いに傷つけ合わず、居心地の良い職場を作ること」だと誤解されている点にあります。

心理的安全性(Psychological Safety)は、もともとハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授によって提唱された概念であり、正しくは「対人関係においてリスクのある行動をしても安全であるという、チームメンバーに共有された信念」と定義されています。つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる不安(対人関係のリスク)」を感じることなく、組織の成果のために必要な質問、失敗の報告、意見の提示が気兼ねなくできる状態を指します(参考:JMAM「心理的安全性とは」)。そのため、心理的安全性のとれた組織を作ること自体は目的ではなく、高い成果(成長)を達成するための「手段」なのです。この手段である心理的安全性を機能させるために、識学では個人や環境に左右されない「システム(仕組み)」で心理的安全性を構築することが鍵だと考えます。

誤解①:部下の感情に配慮した寄り添い型のマネジメント

最も見られる誤解が、「心理的安全性=部下の感情に配慮した寄り添い型のマネジメント」という思い込みです。
上司が部下の「感情」に過剰に配慮し始めると、組織における「それぞれの守備範囲」が曖昧になります。本来、会社組織における上司と部下の関係は、共通の目的を達成するために配置された「役割」の関係です。上司の役割はチームを勝利に導くことであり、部下の役割は与えられた責任を全うすることです。ここで、上司が部下に「嫌われたくない」「傷つけたくない」という個人的な感情や部下側の感情への配慮が行われると、本来求めるべき成果の基準が妥協されてしまいます。

例えば、期日までに成果物が提出されなかった際、寄り添い型のマネジメントを行う上司は「最近忙しかったからね」と、未達成の事実ではなく部下の状況や感情にフォーカスしてしまいます。すると、部下の中に「結果を出さなくても、事情を説明すれば許される」という誤解が生まれる可能性があります。

こうした「寄り添い型」のマネジメントは、部下によって対応を変える「個別対応」につながりやすく、「なぜあの人だけ?」という不平等感を抱かせる要因となります。つまり、心理的安全性を高めようとする個別配慮が、結果として組織の不公平感を生み、かえって本来の安心感を阻害してしまうのです。

【識学の視点】「役割」を軸に据えることが、組織の不公平感をなくす

上司と部下の関係においては、お互いの感情に左右されない「役割」を軸に据えることが大切です。これは部下の感情を否定したり、無視したりするということではありません。仕事の進捗や結果に対しては、感情的なアプローチではなく、あくまで発生した「事実」をベースにコミュニケーションをとります。こうした客観的な姿勢が部下に「誰に対しても明確な基準で評価されている」という安心感を与えます。

誤解②:何でも自由に意見が言える、風通しの良い職場づくり

2つ目の誤解は、「心理的安全性=何でも自由に意見が言える、風通しの良い職場づくり」という思い込みです。
もちろん、業務改善の提案やトラブルの報告が現場から上がることは重要です。また、上司側が意思決定に向けた情報収集の一つとして、部下に意見を聞くこと自体は問題ありません。しかし、「最終的な決定権は誰にあるのか」という認識が上司と部下の間で揃っていないと、部下は「自分の意見が組織の方針を左右するかもしれない」と誤解して、過度な責任を背負い込んでしまう可能性があります。「もし自分の意見のせいで失敗したらどうしよう」というプレッシャーは、かえって発言することへの不要な不安や恐怖を生み出します。意思決定の責任の所在を曖昧なまま、「誰もが発言しやすいように」と風通しの良さを目指した配慮が、結果として部下に不必要な心理的負荷をかけることになります。

【識学の視点】意思決定の責任を上司が明確に背負う

組織における意思決定の責任を負うのは、常に「意思決定者(上司)」です。この責任の所在を明確にして、たとえメンバーの意見が方針に採用されたとしても、それは「上司が責任を持って決断したことである」という認識をチーム内で揃えておくことが重要です。このように決定権のズレをなくすことで、部下は不要なプレッシャーから解放され、フラットに発言できるようになります。

誤解③:コミュニケーション量を増やせば達成できる

3つ目の誤解は、「心理的安全性=コミュニケーション量を増やせば達成できる」という思い込みです。
コミュニケーションをとる目的が曖昧なまま対話の量だけを増やしてしまうと、お互いの「評価の基準」にズレが生じる原因になることがあります。

例えば、日頃のプロセスや苦労話を上司がじっくり聞く環境の場合、部下は「これだけ自分の大変さや頑張りを分かってくれているのだから、きっと評価でも考慮してもらえるはず」という誤解(期待)が生まれやすくなります。しかし、実際の評価は「客観的な事実や成果」に基づいて判断されるため、事前の期待との間に大きなギャップが生まれてしまいます。その結果、部下は「あんなに話を聞いてくれていたのに、なぜ?」と、組織に対して不必要に強いストレスや戸惑いを感じてしまうことになるのです。「お互いを理解し合おう」とコミュニケーションの量を増やした配慮が評価への認識のズレを生み、組織への不信感を募らせる引き金になってしまいます。

【識学の視点】「事実」に基づく評価が迷いを消す

コミュニケーションの目的は「仲良くなること」ではなく「事実の認識を合わせること」です。プロセスではなく、結果に対する正当な事実評価を行うことで、部下は「何を達成すれば評価されるのか」に迷わなくなり、社内政治や上司の顔色を窺う必要のない、本当の安全性を手に入れます。

まとめ

これまでの内容を振り返り、経営者や人事担当者が陥りがちな心理的安全性に関する「3つの誤解」は以下の通りです。

誤解①:部下の感情に配慮した寄り添い型のマネジメント
• 誤解②:何でも自由に意見が言える、風通しの良い職場づくり
• 誤解③:コミュニケーション量を増やせば達成できる

これらの誤解に陥らず、組織における「心理的安全性」を確実に機能する「手段」として確立するために、取り組むべきことは以下の二つです。

「位置」と「役割」の明確化:意思決定の責任の所在をハッキリさせ、自分のポジションで果たすべき役割を迷いなく認識できる状態を作る。
「完全結果」による設定:「期限」と「状態」を明確に定義し、上司と部下で評価のズレが一切起きない客観的なゴールを設定する。

すべての社員が組織における正しい「位置」と「役割」を認識し、明確な「完全結果」に向かって集中できる組織こそが、「心理的安全性」の本来の目的である「チームの成果を最大化する」を達成することができるのです。

参考文献

心理的安全性とは?高める方法や具体的なアプローチ、測定方法を解説|JMAM 人材開発コラム

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