採用面接で優秀な経歴を持つ人材を選んだはずなのに、入社後に期待通りの結果を出せなかったり、会社の和を乱したりしたという経験はないでしょうか。多くの企業が「過去の実績」や「面接官の直感」に頼りすぎていることが原因です。本記事では、採用時のミスマッチを減らすために面接で尋ねるべきこと、そしてどのような視点で面接を行うのが良いかを詳しく解説します。
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【面接官必見】優秀な人材を見抜く採用面接時の質問とは?
目次
なぜ「過去の経歴」だけでは採用に失敗するのか
多くの面接官は、応募者の履歴書に書かれた「過去の成功体験」を重視します。しかし、前職での実績が自社でも再現されるとは限りません。なぜなら、成果というものは個人の能力だけで決まるものではなく、その会社独自の「ルール」「資源」「社風」「人間関係」といった環境に大きく依存しているからです。
例えば、前職で社内トップの営業成績を収めた人がいたとしましょう。前職の「ルール」「資源(予算や知名度)」「市場環境」といった外的な変数からも影響を受けて、その成果は作られています。例えば、大手企業で高い営業成績を収めた人が、リソースの乏しいベンチャー企業で同様の結果を出せるとは限りません。
また、面接官が「いい人そうだ」「自分と気が合いそうだ」と直感で選ぶことも、採用においては注意が必要です。もちろん、直感は不要というわけではありません。しかし、人間性を短時間で見抜くことは、熟練の面接官であっても容易ではありません。主観的な評価は人によってバラつきが生じやすく、組織全体で統一された採用基準を設けることを妨げてしまいます。採用のミスマッチを防ぐ第一歩は、「過去」や「印象」といった不確かな情報への依存度を下げ、候補者の「組織への適応力」に焦点を当てることです。
この視点を持つことは、単に個人のスキルを測るだけでなく、組織全体の文化を守ることにも直結します。一人の逸脱者が組織に与える不利益は、一人の優秀なプレイヤーがもたらす利益を容易に上回ってしまうからです。そのため、面接官は「この人は自社の文化に馴染めるか」という抽象的な問いを、「この人は自社のルールを受け入れられるか、ルールを守る姿勢があるか」という具体的な問いに変換して評価しなければなりません。これは、多様性を否定することではなく、組織を運営するための必須条件です。

面接の主導権を握り、応募者の「思考の癖」をあぶり出す
面接において、面接官がただ応募者の話を聞き、用意された質問に淡々と答えるだけでは不十分です。採用側がしっかりと主導権を握り、応募者の本音や思考のプロセス、さらには隠れた価値観を引き出す必要があります。
ここで有効なテクニックが「質問に対して質問で返す」という手法です。例えば、応募者から「御社の残業時間はどのくらいですか?」という質問が出たとします。これに対し、すぐに「月平均20時間です」と回答するのではなく、「残業時間が気になられるのは、前職で何か課題があったからでしょうか?」と問い返してみるのです。これにより、会話の主導権を面接官側に戻すと同時に、なぜ応募者がその懸念点を持ったのか確認することができます。
このように問い返すことで、応募者が何を不安に感じているのか、どのような価値観で仕事を選択しようとしているのかという「思考の背景」が見えてきます。もし前職で「ルールが曖昧で、ダラダラと残る文化が嫌だった」という理由であれば、規律を重んじる姿勢に共感してくれる可能性があります。一方で「とにかく楽をしたい」という意図が見えるのであれば、自社で求める成果への意欲に疑問符がつくかもしれません。
面接を「応募者が自分を売り込む場」から「面接官が応募者の思考を分析する場」に変えることが重要です。相手にボールを渡し、自分の言葉で語らせることで、履歴書には決して現れない「思考の癖」や「判断の基準」を確認することができます。面接の主導権を維持することで、応募者の「面接用の回答」の裏側にある、「責任感の有無」や「他責傾向の有無」をも見極めることが可能になります。

組織を崩壊させないための「ルール順守」の確認
組織において避けるべきは、個人の能力は高いが組織のルールを守らない人物を採用してしまうことです。どれほど優秀なプレイヤーであっても、決められたルールに従わない人間が一人いるだけで、組織全体の規律は歪み、他の社員への悪影響が生じます。その結果、マネジメントコストが増大し、本来注力すべき事業成長にリソースを割けなくなるのです。
しかし、面接で「あなたはルールを守りますか?」とストレートに聞いて「いいえ」と答える人はいません。そこで、過去の行動事実に基づいた具体的な質問が必要になります。有効な質問例としては、「前職のルールの中で、なぜこんなことをしなければならないのか、と疑問に思ったルールはありましたか?」というものがあります。
この質問に対する回答で注目すべきは、不満に思ったルールの内容そのものではなく、その不満に対する「行動」です。「納得いかなかったので、自分の判断で無視しました」あるいは「影で文句を言いつつ適当にこなしました」という回答は、自社に入っても自己流を優先させるリスクを示唆しています。一方で、「納得はいかなかったが、組織の決定事項なのでまずは実行し、その上で適切な手続きを経て改善案を提案した」という回答であれば、組織人としての適応力と論理的な思考能力が高いと判断できます。
会社とは、共通のルールのもとで一つの目的に向かって成果を出す集団です。その前提を理解し、自分の感情や好みに左右されずルールを遵守できるかどうかを確認することは、抽象的な「人間性」を探ることと同等以上に重要な選考基準となります。ルールを守れる人材は、最終的には組織にとって不可欠な戦力へと育っていきます。このような基準を徹底することで、組織内の「当たり前」のレベルが向上し、結果として自走できるチームへと近づくことができるのです。
未来のゴール設定:入社後の「期待値」を徹底的にすり合わせる
採用の真の成功とは「入社させること」ではなく「入社後に定着し、成果を出し続けること」です。そのためには、過去の確認よりも「未来の話」に多くの時間を割かなければなりません。多くのミスマッチは、入社前に抱いていた「期待値」のズレから生じます。
応募者が「入社したら自分のやりたいことができる」と思い込み、会社側が「入社したらこの役割でこの成果を出してほしい」と考えている場合、そのギャップが早期離職に直結します。面接では、会社が求める役割と成果を具体的に提示し、それに対して応募者がどのように貢献できると考えているかを問う必要があります。
具体的には、以下の3点を面接時にすり合わせます。
1つ目は、会社が求めている具体的な成果(KGI/KPI)は何であるか。
2つ目は、その成果を出すために守るべきルールは何であるか。
3つ目は、応募者が将来的にどのようなキャリアを描きたいと考えており、それが自社の提供できる環境で本当に実現可能か、という点です。
これらを明確に提示し、「この条件と環境で、成果を出す覚悟があるか」を正面から問いましょう。ここで少しでも躊躇や曖昧な返答が返ってくるようであれば、採用を見送る勇気も必要です。このプロセスを経ることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」を未然に防ぐことができます。

【まとめ】
採用面接は、会社にとって未来の資産となる人材を選ぶ重要な経営プロセスです。本記事の内容をまとめると、成功する採用のポイントは以下の3点です。
第一に、過去の実績を過信せず、自社の環境での再現性とルール適応力を重視すること。第二に、質問を質問で返すことで主導権を握り、応募者の本音を引き出すこと。
第三に、入社後の成果と役割を具体的に示し、未来のゴールについて合意を形成することです。
採用にかかるコストと時間は、企業にとって大きな投資です。一度誤った採用をしてしまうと、その修正には金銭的・精神的に多大な労力が必要となります。個人の感情やその場の雰囲気に流される面接を卒業し、組織運営の論理に基づいた「ルール」と「未来」を問う面接を実践することで、組織はより強固で成長し続けるものへと進化していくでしょう。採用基準を明確にし、全社で共有することこそが、強い組織を作るための第一歩なのです。
プロフィール
東北大学大学院卒業後、製薬企業・食品企業・技術移転企業での営業を経験し、その後保健指導の外部委託企業にて営業部門および運用部門に所属する30名ほどの部下のマネジメントを経験。
マネジメントにて様々な課題に直面する中で識学に出会い、ルールの不足と認識のズレが課題の原因の多くを占めていることを実感。
マネジメントに識学という原理原則があることを広め、組織の仕組み化を進めることで多くの組織の課題解決に貢献したいと考え入社を決意。

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