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マネジメントリーダーシップ部下育成 2026.05.07

仕事が嫌な時、私たちはどうするべきか——「働く意味」を考える

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仕事が嫌な時、私たちはどうするべきか——「働く意味」を考える

「仕事が嫌だ」「会社に行きたくない」と感じたことのない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

人間関係の摩擦、単調な作業の繰り返し、自分が何の役に立っているか分からない感覚。そうした悩みは、働く人なら誰もが一度は直面するものです。

では、そんな時に私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。

今回はSEOコンサルタント・玉村氏を聞き手に迎え、識学の尾崎幸一朗が、仕事が嫌な時の乗り越え方から、そもそも何のために働くのかという根源的な問いまで、率直に語ります。

逃げるべきか踏ん張るべきかの判断軸、単調作業に意味を見出すヒント、そして人生を「経営」するという視点。働くことに悩むすべての人に届けたい、実践的なヒントが詰まった対談です。

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仕事が嫌になる原因は「人間関係」だった

玉村氏(以下、敬称略):のっけからこんな質問で恐縮ですが、尾崎さんご自身、仕事が嫌だなと感じたことはありますか? 私は昔、日曜の夜になるたびに「明日の朝また日曜日に戻っていればいい」と思っていた時期がありました。いわゆるサザエさん症候群というやつですね。

尾崎:サザエさん症候群ですね。私はどちらかというと自分のやりたいことを選んで仕事をしてきた感覚が強いので、仕事の内容よりも職場の人間関係で疲れて嫌になる、というパターンでした。相手の言っていることがよく分からない、思うように仕事が進められない、良かれと思ってやったのに勘違いされてしまう。仕事が嫌だと感じる瞬間の90%以上は、人間関係に疲れた時でしたね。

玉村:それは本当によく分かります。私も流通にいた頃は毎月100時間を超える残業をしていましたが、正直きつかったのは残業の量よりも人間関係でした。半径5メートル以内の人とうまくいかないだけで、もう会社に行きたくなくなってしまう。いくら仕事の内容が面白くても、人間関係が壊れていると何もかもが色あせて見えてしまうんですよね。

尾崎:厳しいですね。本当にそれだけで職場全体の空気が変わってしまいますから。だからこそ、職場の人間関係や組織の仕組みを整えることが、個人のパフォーマンスや満足度にも直結するんだと思います。識学のコンサルで組織づくりに関わる中で、改めてその大切さを痛感しています。

仕事は「目的」ではなく「手段」である

玉村:逆に、働くことが好きだ、楽しいと思えた瞬間はどんな時ですか?

尾崎:難しいミッションをやってのけた時の達成感は確かにあります。ただ、私にとって仕事はあくまで「目的」ではなく「手段」なんです。自分の人生をこう作っていきたい、というビジョンに向かって、今の仕事でステップアップできているな、成長できているなと実感できたとき、「よし、しめしめ」という感覚になりますね。

それと、お客様から「ありがとう」をいただける瞬間は格別です。識学のサービスを導入したことで売上は変わらなくても利益が大きく残ったというお客様がいらっしゃいました。コスト削減の成果がサービス費用とほぼ同額になって、「本当にありがとう」と言っていただいた時は、家に帰って一杯が美味しいな、という気持ちになりました。

玉村:愛知の自動車部品メーカーにいらっしゃった頃は、楽しいと思えることはありましたか?

尾崎:当時はやらされている感がかなり強くて、正直なところ(楽しいと思えることは)あまりなかったんです。元々私は学校の先生になりたくて、社会経験を積んでから教壇に立とうという気持ちで一旦就職した。だから入社した時点でひとつの目的は達成してしまったような感覚になってしまい、20代前半の頃は「なんでこんなことをやらなければいけないんだろう」という思いが正直ありましたね。その感覚があって、自分で仕事を選べる道「起業」という選択につながっていったんだと思います。

仕事に行きたくない人は目的を明確にすべき

玉村:その経験も踏まえて、仕事に行きたくない、毎日しんどくてしょうがないという方へのアドバイスはありますか?

尾崎:気持ちが滅入っている人にむやみに「頑張れ」というのは無責任だと思っています。ただ一つお伝えできるとすれば、「仕事が目的になっていて、手段になっていないのではないか」という視点です。

お金を稼ぐことだけを目的に働いていると、人は自然と「楽して稼ごう」という方向に流れてしまいがちです。仕事である以上、大なり小なりお金は稼げます。大切なのは「何のためにこの仕事をしているのか」という目的を明確にすること。その目的のために、この職場でどんなキャリアを積んでいくのか。そのイメージを持てると、日々の仕事の見え方がガラッと変わります。

目の前の作業に追われて、先が見えなくなっているのが「しんどさ」の正体であることは多いですね。

単調作業に意味を見出す方法

玉村:工場の流れ作業など、毎日同じことの繰り返しという仕事をされている方には、どう伝えますか?

尾崎:昔の西洋に、A地点の石ころをB地点に運び、全部運び終わったらまたA地点に戻す。それを延々と繰り返すことによる死刑があったそうです。目的のない作業の繰り返しは、人をおかしくさせてしまう。これは本当にそうで、人間は「意味のないループ」に耐えられないんですよ。でも全く同じ動作でも、「ここに橋を架けるために運んでいる」「この教会が完成すればどれだけの人に喜んでもらえるか」という目的やゴールのイメージがあれば、運べば運ぶほどゴールが近づくのが分かるので、モチベーションはまったく変わってきます。

自分が今やっている作業の先にどれだけのお客様への貢献があるか。その絵を思い描けるかどうか。あるいは「今日はこの作業を昨日より速くやってみよう」という自分なりの小さな目標を設定して、達成を積み重ねること。それだけで、単調な作業は単調ではなくなっていきます。

玉村:管理職の立場から「この仕事はこういう意味があるんだよ」と伝えてあげることも、重要だと思います。

尾崎:そうです。ただ、言葉で伝えるだけでは届かない場合もある。それ以上に効果的なのが、数値で成長を見せてあげること。5ミリでも身長が伸びたら嬉しい、学生時代の身体測定と同じです。トヨタさんでも作業を秒単位で計測して改善していますよね。56秒が52秒になったという4秒の変化が、積み重なれば大きなコスト削減になる。「なんとなく良くなった」ではなく、具体的な数字で示してあげることが重要です。

逃げるべきか踏ん張るべきかは「前進か後退か」で判断する

玉村:昔は「石の上にも3年」と言いましたが、最近は「辛かったら逃げてもいい」という風潮も強まっています。続けることにも意味があると思う一方で、続けるべきでないケースもある。その見極めはどこにあると思いますか?

尾崎:「逃げ」かどうかというのは、結局その選択が前進しているのか後退しているのかという話に過ぎないと思っています。自分の人生における目的・目標の達成に向かって今いる場所が明らかに無駄だと判断できるなら、石の上にも3年どころか3秒でその場を離れた方がいい、とすら思います。前進するための選択であれば、それは逃げではありません。

一方で、目的や目標が不明確なまま、一時的な気分や感情の「嫌だから」で動くのは後退です。そういう状態で環境だけ変えても、「嫌だな」という感覚はどこに行っても必ずついて回ります。自分の都合が悪いことへの嫌悪感に振り回されるクセがある限り、どんな環境でも幸福にはなれない。そうなると、環境を変える前にまず自分自身を変えていく必要があります。

また、「オーバーワーク」と「ハードワーク」の見極めも大切にしています。車のエンジンもレッドゾーンに入り続けるとパワーダウンするように、体調を崩すまで追い込んでしまったらそれはオーバーワークです。そこは自分の適切な状態に調整する必要がある。ただ、まだまだ余力があるにもかかわらず「これが限界」と思い込んでいる場合も多い。部下には、まず思いっきり振り切ってやってみなさいとよく伝えています。本当に無理だったら、その時また相談してくれればいい、と。

玉村:締め切りの話でいうと、10日あれば10日みっちり使うけど、3日しかなければ3日でなんとかしようとして、実際にできてしまったりしますよね。

尾崎:まさに夏休みの宿題理論ですね(笑)。これを私たちは「時感覚」と呼んでいますが、上司が持つ時感覚以上に組織全体の時感覚が鋭くなることはない。上司が「3時間でやれ」と言えば、部下は3時間でどうするかを一生懸命考え始めます。無茶ぶりに見えることでも一旦振ってみると、部下は本気で頭を絞り出す。ギリギリまでやりきった先に劇的な結果が生まれる経験をした人は、「またそれをやってみたい」と思うようになる。バッファーをゼロにして挑む経験の積み重ねが、人を育てると思っています。

仕事の醍醐味は「リスクを超えたありがとう」にある

玉村:生活のために働く、それだけで十分なのでしょうか。あるいは働くこと自体が、生きる目的になり得るのでしょうか。私の両親は飲食店を経営していて、東日本大震災で店が全壊しました。それでも70歳を過ぎてから「仕事をしていないと生きている意味がない」と言って、また店を再建したんです。正直、自分にはそこまでの仕事への執着心がないので、その言葉の意味が長い間よく分からなかったんですね。

尾崎:深いですね。時代の違いも大きいと思います。戦後の復興を担った世代と、平成・令和の世代では、「働くことの意味」そのものが大きく変わってきている。ちなみに私の今の妻が14歳下で平成4年生まれなんですが、昔のリゲインのCMを聞かせたら「これブラック企業の歌だよね」って言ったんですよ(笑)。同じ歌を聴いても、育ってきた環境が違えばまったく違うものに見える。それぐらい、働くことへの価値観は世代によって変わってきているんだと思います。

ご両親の話で言えば、仕事そのものが目的ではなく、仕事という「手段」を通じて自分の人生を彩り続けていたのかもしれません。そしてその喜びの源泉は、やはり他者からの「ありがとう」にあるのではないでしょうか。人は感謝されたい生き物だと思うので。

ただ、ボランティアと仕事の決定的な違いがあります。ボランティアはサービスを受ける側がリスクを取らないので、何かしてもらうこと自体に感謝される。でも仕事は、お客様もリスクを取っています。そのリスクを超える価値を提供して初めて、本当の意味での「ありがとう」をいただける。結果にコミットして、社会から心の底から感謝される。それが仕事の醍醐味だと思っています。

玉村:私も今コンサルタントとして、いただく対価よりも常に大きなリターンをお客様に返せるよう努力していて、それを実感していただいた時が一番楽しい瞬間です。飲食店はPDCAが毎日猛烈な速さで回りますよね。お客様から毎日直接フィードバックをもらえる仕事だからこそ、自分の創意工夫がダイレクトに返ってくる。それが生きがいになるというのは、よく理解できます。

組織の中で存在意義を積み上げるには

玉村:自分が何の役に立っているか分からない、ただの歯車なんじゃないかと感じてしまう方へはどう伝えますか?

尾崎:お給金をいただいている以上、その先には必ず喜んでくださっている方や助かっている方がいる。これは事実としてあるはずです。ただそれが見えにくい場合は、せめて「今やっていることが自分の目的に繋がっている」という実感を持てるだけでも全然違います。

出世コースに関して言えば、問題はその評価制度が公平かどうかです。実力主義で、一度外れても戻れる制度なら、次に数字を作り直せばいい。でも上司の主観だけで決まる評価制度のもとなら、環境を変える選択も十分あり得ます。自分の管理下にないことで人生を左右されるのは避けたいですから。

組織の中での存在意義という意味では、RPGの経験値に近いですね。丸腰でラスボスに向かうより、できるところで経験値を積んでから臨む方がいい。職位が上がるほど仕事の抽象度は上がり、発想力が求められる。下積みで培った土壌がないと、経営陣から「目的地だけ示すからあとは自由に」と言われてもどうにも動けません。

「墓碑銘」から逆算して人生を経営する

玉村:最後に、働くことに悩み、自分の存在価値が分からないと感じている方へ、メッセージをお願いします。

尾崎:経営者の方と向き合っていると、経営理念やビジョンのない企業はまずありません。それと同じで、自分の人生を自分が経営する「株式会社・自分」だと思って、まず自分自身の経営理念を掲げてみることをおすすめしたいです。自分はどんな人生を生きたいのか。その方向性が決まれば、価値観や選択基準が生まれてきます。

考えるきっかけとして使っていただいているのが、「自分の人生の最後に、墓碑銘に何と書かれたいですか?」という問いです。「〇〇な男、ここに眠る」。そのまるまるに何を入れたいか。これをお風呂に入りながらでも考えてみてください。

私は「希望を与え続けてきた男、ここに眠る」と書かれたい。だからこそ、一社の経営者ではなく企業全体を変えることのできる今の仕事に、大きなやりがいを感じています。1000人規模の会社が変われば、その家族や知人まで含めれば社会そのものが変わる。それが私の仕事への向き合い方です。

まとめ

仕事が嫌だと感じる原因の多くは、仕事の内容よりも人間関係にあります。そしてそのしんどさの正体は、目的を見失い、先が見えなくなっている状態にあることがほとんどです。

対談を通じて一貫して強調されるのは、仕事を「目的」ではなく「手段」として捉えること。自分の人生をどこに向けたいのかという軸を持つことで、日々の仕事の見え方は大きく変わります。

逃げるべきかどうかも、その選択が前進か後退かで判断すればいい。環境を変えることより先に、自分自身の目的を明確にすることが重要です。

まずは「株式会社・自分」の経営理念を掲げ、人生最後の日に墓碑銘に何と書かれたいかを考えてみる。そのシンプルな問いが、働く意味を見つける第一歩になるかもしれません。

プロフィール

尾崎幸一朗

株式会社識学 上席コンサルタント。大学卒業後、愛知県の自動車部品メーカーに入社。SEとしてエンジンの開発に関わる。5年ほど勤務した後、26歳から副業的に講師業を始める。講師業が本業となり27歳で独立。32歳で東京へ進出し、教育事業の会社を設立。10年ほど手掛け、その後、識学に入社。

玉村 嘉隆氏(聞き手)

約20年の経験を持つフリーランスSEOコンサルタント。事業開発・経営企画から検索エンジン開発まで幅広いキャリアを経て独立。SEOを軸にリスティング広告・サイト制作ディレクションなど、集客全般をワンストップで支援している。

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