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仕事における「代案なき反対者」の取り扱い方について。

仕事を進めているときに、「代案なき反対」に遭遇することがある。
管理職やチームリーダーであれば、誰もが一度は経験したことがあるのではないだろうか。

例えばこんな具合だ。

営業部門において、

「今月は一人当たりのお客さんの訪問回数を普段の倍にしてほしい。サービスの継続率が若干、低下しているからね。」

と、リーダーが依頼したところ、部下の一人から、

「それは難しいと思います。」

という反対があった。

リーダーは、施策を徹底する旨を上から命じられていたため、部下に尋ねた。
「なぜ難しいのですか。」

部下は言った。
「今の忙しさでは無理です。」

リーダーは、「忙しい」というのは言い訳だと考えた。
というのも、彼のアポイントの入り方を見ると、他の営業に比べて、それほど忙しいとは思えなかったからだ。

また、それ以上に忙しい別部署では、先月から既存客訪問の回数を増やすことに成功している。今回の施策は、その成果を見た、部長からの命令なのだ。

リーダーは、「忙しい」という営業マンに再度、尋ねた。
「何が忙しいのですか。具体的に何にどの程度、時間を使っているのですか。予定表を見る限りは、それほど忙しいとは思えないですが。」

部下は言った。
「訪問したって、サービスの継続率は上がらないですよ。」

「質問に答えてない」と、リーダーは突っ込みたくなったが、単に、やりたくないだけなのだろう、とリーダーは悟った。

そこで彼は言った。
「3課のほうでは、訪問回数を挙げることで、サービスの継続率があがっているというデータが出ています。それについてはどう思いますか?」

部下はすぐに反駁した。
「3課の方でどうだったかは知りませんが、うちのお客さんは訪問回数を増やしてもダメだと思います。むしろ来ないでくれって言われそう。」

リーダーは言った。
「では、どうすればサービスの継続率が上がるか、案を出してもらえますか?お願いします。」

部下は言った。
「さあ……。もっと機能を充実させればいいんじゃないですかね。」

リーダーは
「機能の充実は、開発部隊の方で取り組んでいて、我々の管轄外です。我々ができることを案として挙げなければいけないのでは。」
と言った。

部下はふてくされたように言った。
「わかりましたよ、やりますよ。」

この部下は最後、議論が面倒になって「やります」と言いはしたものの、読者諸兄のご想像の通り、結果は出ないだろう。

しかも「反対」の理由を聞いても答えず、やりもしないうちから「どうせ無駄ですよ」と言い、代案も出さない。
リーダーからすれば、扱いにくいことこの上ない部下である。

このような「代案なき反対者」の扱いをどのようにすればよいのか。

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「反対を表明すること」は悪くない

まず前提として、反対意見が出ることそのものは悪くない。
むしろ、「反対意見が出ない状態」は、あまり良くない。

現場の感覚は往々にして正しいし、日々顧客に接している営業から顧客の動向を知ることもできる。
上述の部下が「訪問しても継続率は上がらないですよ」というのも、あながち間違いではないだろう。

だから、上のやり取りが問題なのは「反対」そのものではない。

では、何がまずいのか。

問題なのは、一つは「ではどうする」がロクに話し合われていないこと。
そしてもう一つは、部下が「賛成の時だけ、決定に従えばよい」と思っている点だ。

この2つの事象があると、チームはまったく機能しない。

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「ではどうする」をうまく話し合う

もちろん、上のやり取りにおいて、上司に非がないわけではない。

最もマズいのは、怒りに任せて、
「では、どうすればサービスの継続率が上がるか、案を出してもらえますか?」
と言ってしまったことだ。

「やりたくないです」という部下に憤るのはわからなくはないが、
これでは売り言葉に買い言葉であり、話が前に進まない。

上司の役割は仕事を前に進めることであるから、
残念ながらこのコミュニケーションは落第点である。

では、上司はどのようにすればよかったか。

簡単である。
上司は代案を部下に丸投げせず、
「サービスの継続率をもっと上げたいのですが、一緒に考えてもらえないですかね」
と言うべきだった。

「俺の言うことが聞けないんだったら、お前はもっといい案があるんだろうな」
と、高圧的に出るのではなく、
「やり遂げたいので協力してくれませんか」
という態度で臨めば、大抵話し合いはうまくいく。

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決定事項には全力を尽くす

そして部下が悪いのは、「賛成の時だけ決定に従えばよい」と考えている点だ。
つまり、責務を放棄している。

米国のエリート兵士部隊である「海兵隊」には、次のような掟があるそうだ。

「司令官が決定を下して表明するまでは、部下は、たとえ上官の意見と異なっても、専門家として正直な意見を述べることがみずからの義務だと考えるべきである。しかし、ひとたび決定が下ったら、部下はそれを自分自身の決定であるかのように支持しなければならない」

出典:アメリカ海兵隊のドクトリン 芙蓉書房

金を受け取っているプロフェッショナルであれば、子供のように「じゃ僕はしらなーい」と言うことが許されるはずもないことは、誰でもわかるだろう。

企業内で「代案なき反対」が横行する理由は、上司と部下の両方に問題がある。
冷静に物事を前に進めるために、協力して事に当たる文化を醸成しなければ、いつまでたっても同じことが繰り返されるだろう。

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